正社員の労働条件通知書

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2020/06/10|1,116文字

 

<労働条件通知書の交付義務>

労働条件のうちの基本的な事項は、労働者に対して書面で通知するのが基本です。

この書面が、労働条件通知書です。

 

【労働基準法第15条第1項:労働条件の明示】

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

これが労働基準法の定めです。

そして、1件につき30万円以下の罰金という罰則もあります。〔労働基準法第120条第1号〕

最近の傾向として、非正規労働者に対しては、きちんとした労働条件通知書を交付しているものの、正社員に交付する労働条件通知書に必要な項目が漏れているケースが散見されます。

是非、再確認していただくことをお勧めします。

 

<労働条件通知書の保管義務>

労働条件通知書は3年間の保管義務があります。

「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない」〔労働基準法第109条〕

そして、こちらにも1件につき30万円以下の罰金という罰則があります。〔労働基準法第120条第1号〕

 

<労働条件変更時の労働条件通知書>

時給が上がった、契約期間が更新されたなどの場合、就業規則や賃金規定に具体的な規定があって、その規定を見ればだいたいのことが分かるという状態であれば、労働者の包括的な合意があるともいえます。

こうしたことから、前掲の労働基準法第15条第1項の「労働契約の締結に際し」というのは、一般には、新たに雇い入れる場合のことを指していると解釈されます。

ですから、就業規則などの範囲内での労働条件変更であれば、新たに労働条件通知書を交付する法的義務は無いということになります。

それでも、多くの会社で、有期雇用の労働者に契約更新の都度、労働条件通知書を交付するのは、常に現状の労働条件を明示してトラブルを防止するためです。

正社員についても、昇給や人事異動があった場合には、トラブルを防止するため、労働条件通知書を交付することをお勧めします。

 

<労働法上の義務を超えて>

労働基準法だけでなく、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法、パートタイム労働法から改正されたパートタイム・有期雇用労働法などなど、経営者に課せられた法的義務は把握するだけでも大変な状況です。

しかし、形式的な義務だけ果たしていても、労働トラブルを防止することはできません。

法的義務を超え、トラブル発生の予防を図ることで、経営者自身を護ることにつなげましょう。

 

解決社労士