待期期間がある理由

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2021/04/11|1,343文字

 

<待期期間の不思議>

健康保険の傷病手当金、労災保険の休業(補償)給付、雇用保険の基本手当(昔の失業手当)には、待期期間があります。

給付の理由があっても、最初の一定の日数は給付されません。

しかし、その理由は意外と知られていませんので、ここにご紹介させていただきます。

「待機期間」ではなくて「待期期間」です。

「待機」は、準備を整えてチャンスの到来を待つことです。

待機児童、自宅待機、待機電力の「待機」はこの意味で使われています。

「待期」は、約束の時期を待つことです。

待期期間の「待期」はこの意味で使われています。

 

<傷病手当金の待期期間>

健康保険の傷病手当金は、ケガや病気で働けなくなっても最初の継続した3日間は待期期間とされ支給の対象とされません。

これは、仮病による支給申請を防止するためだそうです。

3日間の無給を犠牲にしてまで、嘘のケガや病気で傷病手当金の申請をしないだろうという考えによります。

ただ、年次有給休暇の取得も考えられますから、効果は疑わしいと思います。

 

YouTube傷病手当金の書類を会社が書いてくれない

https://youtu.be/cuSdiy6H6Mg

 

<休業(補償)給付の待期期間>

労災保険の休業(補償)給付は、ケガや病気で働けなくなっても、最初の継続または断続した3日間は待期期間とされ支給の対象とされません。

仮病による支給申請の防止というのは、傷病手当金と同じです。

しかし、年次有給休暇のこともありますし、通勤災害による休業補償給付ではなくて、業務災害による休業給付ならば、最初の3日間は事業主が労働基準法の規定により休業補償を行うことになりますから、ますます効果は疑わしいものです。

 

<雇用保険の基本手当の待期期間>

ハローワークに離職票を提出し求職の申し込みをした日から7日間は、待期期間とされ基本手当の支給対象期間とされません。

本当に失業状態にあるといえるのかを確認するために設けられているとされます。

しかし、失業状態にあることの確認は、わずか7日間の待期期間を設けるだけでは不十分でしょう。

なお自己都合退職者には、7日間の待期期間の後、さらに最大3か月の給付制限期間が設けられています。

これは、自分の都合で退職しているので、経済的な備えなどができるはずだということで設けられています。

不思議なことに、この給付制限期間のことを待機期間・待期期間と呼んでいる人もいます。

 

<解決社労士の視点から>

火災保険や自動車保険その他の損害保険では、免責金額が設定されているのが一般的です。

免責金額以下の損害に対しては保険金が支払われないのです。

保険会社から見ると、少額の損害で保険金を支払ったり、そのための手続や処理をしたりで経費を使わなくてもよいので助かります。

また、保険加入者にとっても、その分だけ保険料が安くなるわけです。

健康保険、労災保険、雇用保険で、1日限りの休業や失業に対してまで給付をするというのでは、手続にかかわる人々の人件費が大変です。

また、ある程度以下の給付は切り捨てて、その分だけ保険料を安くするという要請は公的保険という性質上、大きいものと考えられます。

以上のことから待期期間は、損害保険の免責金額のような役目を果たしているものと思われます。

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