2024/06/09|886文字
<労働条件の通知>
アルバイトでも、パートでも、人を雇った使用者は、法定の労働条件を書面で交付する義務があります。〔労働基準法第15条〕
労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書など名前はいろいろです。
名前はどうであれ、交付しないのは労働基準法違反の犯罪であり、30万円以下の罰金刑が規定されています。〔労働基準法第120条〕
この場合、1人あたり30万円の罰金を科されたうえに、マスコミやネットの書き込みの威力で、立ち直れなくなる可能性があります。
労働条件が不明確なら、年次有給休暇の付与日数も、取得した場合の給与計算の方法も不明です。
月給制なら、残業手当の計算方法もわかりません。
労働条件を書面で交付しないのは、「年次有給休暇も残業手当もありません」と自白しているようなものです。
<契約の更新>
有期労働契約であれば、こうした書類に契約期間が明記されています。
契約期間の終了が迫っているのに、なかなか契約更新の話が無いのでは、雇われの身としては不安で仕方がありません。
契約期間が過ぎて、何の話も無ければ、このまま働いていて大丈夫なのか疑問に感じてしまいます。
こういう場合に備えて、民法には次の規定があります。
「雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する」〔民法第629条第1項本文〕
つまり、契約切れなのに勝手に働いているのだから、賃金支払義務は無いということではないのです。
(このほか労働契約法第19条にも一定の場合の契約更新が規定されています)
<契約更新期が近づいたら>
とはいえ、遅くとも契約期間満了の1か月前になったら、使用者からでも労働者からでも、気づいた方が契約更新の話をもちかけるべきです。
必ず前回と同じ内容で更新というわけではなく、出勤日や勤務時間の変更、賃金の改定など検討する余地があるかも知れません。
そして、「こういう変更をしても問題ないか?」という疑問があれば、信頼できる社会保険労務士(社労士)にご相談ください。