2023/07/06|1,053文字
<有期労働契約>
有期労働契約は、契約期間に限りのある労働契約をいいます。
正社員の場合には、労働契約の期間を区切らず定年年齢まで契約が続くのに対して、正社員以外の場合には期間を区切って契約するのが一般的です。
<休職制度>
長く働き続ける予定の労働者が、個人的な事情で働けなくなったとします。
働けない事情について、育児や介護など法令に定めがある場合には、育児休業や介護休業など、基本的には、その法令の定めに従い運用することになります。
しかし、法令に定めが無い休職について、これを認めるか認めないかは、会社の就業規則などの定めに従うことになります。
具体例としては、次のような流れになります。
ある人が休日のドライブで事故に遭い長期間働けない
→ 本来なら退職するしかない
→ 会社にとって貴重な人材なので何とかしたい
→ 会社から対象者に休職命令を発する
→ 定めた期間中に復帰できなければ退職
多くの場合、法令に定めの無い休職では、会社が命ずるのであって、労働者から権利を主張できるものではありません。
<結論として>
同じ有期労働契約であっても、契約期間以外の労働条件は、会社により、労働者によりバラバラです。
休職制度も、法定のものを除き、会社により、労働者によりバラバラです。
ですから、有期労働契約の従業員に休職制度が必要かどうかは、会社の実情と労働契約の内容から具体的に判断しなければなりません。
また、休職制度にこだわらないのであれば、労働契約の内容を変更することや、一度退職して、その後条件が調ったとき優先的に採用するという制度も考えられます。
<別の観点から>
労働契約法には、次の規定があります。
【解雇】
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。 |
【契約期間中の解雇等】
第十七条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。〔以下略〕 |
こうした規定の趣旨からすると、有期労働契約の従業員を契約期間中に解雇するのは簡単ではありません。
経営者の個人的な「常識」に従った解雇が、法令違反となり無効とされる場合も多いのです。
会社の実情と目的をふまえ、どのように対応すべきか、どのような制度を導入したら最適かについて、迷ったら信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。