2023/06/16|1,156文字
<年々減少する参加者>
若者を中心に、会社の行事に参加したがらない社員が増えています。
社員旅行などは、かつて当たり前のように行われていたのですが、現在では行う会社がかなりの少数派になってしまいました。
せっかく社員間の親睦を図るために会社が用意しているのに残念なことです。
<自由参加の場合>
自由参加とした場合には、社員に参加義務がありませんから、不参加を理由に会社が何らかの対応を取ることは困難です。
就業中の協調性が欠けていることについては、本人への注意が必要ですし、人事考課で「協調性」の評価が低くなることは当然です。
しかし、自由参加の会社行事に欠席した事実については、原則として評価の対象外となります。
それでも、一定以上の役職の管理職で部下を持つ社員など、自ら積極的に会社の行事に参加すると共に、他の社員に対しても参加を呼び掛けるべき立場の者が、正当な理由なく欠席した場合には、「指導力」などの項目で、評価が低くなる原因とされるのは不当ではありません。
<業務命令の場合>
忘年会や新年会などの行事が、原則全員参加であるなど、会社の業務命令になっている場合には、正当な理由なく欠席することが業務命令違反となります。
会社は、参加しない社員に対しては、注意し改善を求めることになります、
また、懲戒処分を検討すべき場合もあります。
この場合、忘年会や新年会などの内容は、会社によってかなり異なりますので、参加命令が労働契約の範囲内であることの確認が必要です。
懲戒処分の内容は、初めての欠席であれば最小限に留めるべきでしょうし、注意し改善を求めても繰り返し欠席するような場合や、他の社員にも欠席するよう促している場合には、重い処分が必要になってきます。
<業務命令となる条件>
参加対象者は、明確であることが必要です。
全員参加であれば明らかですが、社員の側から見て、自分が参加対象者かどうか分からないようでは、業務命令が及ぶ範囲も不明確になってしまいます。
参加している時間は、賃金の支払い対象とされていることも必要です。勤務時間外の行事であれば、割増賃金も必要になってきます。
したがって、誰が参加し、誰が欠席しているかの確認も必要です。
<会社の行事一般について>
何の目的で参加しなければならないのか、参加しなくても構わないのではないかという疑問は、目的意識のはっきりした社員ほど強くなり、気持ちが不参加の方に動いてしまいます。
新年会といえばその趣旨はだいたい分かるだろうということではなく、日時・場所の他、その目的や内容、自由参加か強制参加かなど、具体的にイメージできる情報も提供しておくべきです。
そして、強制参加であれば、不参加の場合に理由を添えて事前に届け出るなどの手続も明確にしておきましょう。