2024/08/08|1,130文字
<労働問題解決の手順>
労働問題の解決は、1.事実の確認、2.問題の抽出、3.解決策の立案、4.解決策の実行 という4つのステップで行うのが基本です。
我々人間だけでなく、すべての生物は事実を頼りに判断しています。
ですから、最初に事実を徹底的に確認すべきです。
これが不十分なまま、先に進むのは時間の無駄ですし、対応について悩んでしまうことになります。
次に、確認した事実の中から問題を抽出します。
ここでは、法令や判例などの法的知識と、人間関係に関する知識・経験がものをいいます。
知識・経験が不十分なまま問題を抽出しようとしても、やはり悩んでしまうことになります。
そして、解決策の立案では、a.目の前の問題を収束させる即効性のある解決策、b.長期的視点からの改善策、c.再発防止策 の3つを明確に分けて考える必要があります。
この3つのうちの1つでも欠けていると、問題が再燃し悩んでしまうことになります。
あとは、解決策を計画化して実行するだけです。
<1.事実の確認>
「おそらくこうだろう」という推測を排除して、客観的な事実の収集と、関係者からの聞き取りを行います。
関係者からの聞き取りでは、事実と感想・意見を明確に分け、あくまでも事実を中心に確認します。
社員に対して下手な聞き取り調査をしてしまうと、重要な証拠を消されてしまったり、人権侵害の問題が発生したりで、悩みの種が増えてしまいます。
慎重かつスピーディーに、効率良く行うことが求められます。
<2.問題の抽出>
確認した事実の中から問題を抽出するには、法的知識が必須ですから、人事部門が法務部門と連動して行うべきです。
これが難しいのであれば、労働問題の経験が豊富な弁護士や、特定社会保険労務士の力を借りるのが安全です。
こうした専門家は、法的な問題点を「争点」と呼んで数多く把握しています。
<3.解決策の立案>
解決策を考える場合、どうしても目の前の問題を収束させる方法だけに意識が集中してしまいます。
しかし、問題の発生には背景があるわけですから、その背景を改善しなければ、当事者だけの解決に終わってしまい、全社的な解決にはなりません。
同じ背景をベースとする別の問題が発生する危険、同じ問題が別の人に発生する危険を解消できないのです。
また、発生した問題について再発防止策を講じることも大事です。
抽出された問題の一つひとつについて、原因、原因の原因、そのまた原因を追究して、それを消滅させる必要があります。
<4.解決策の実行>
長期的視点からの改善策や再発防止策は、ついつい後回しになる傾向にあります。
これでは、いつまで経っても、労使トラブルが減少しません。
どの解決策も、計画を立て、スケジュール通りに実行しましょう。