2024/05/30|716文字
<パート社員の試用期間>
たとえば、1年間の有期労働契約にして、最初の3か月間は試用期間とすることが行われます。
3か月間の働きぶりを確認して、とても勤まらないと判断すれば、そこで解雇しようという意図がうかがえます。
しかし、試用期間中であれ、試用期間終了時であれ、やむを得ない理由がなければ解雇できません。
日常用語で「本採用拒否」などと言われますが、これは法的には解雇です。
このことは、きっちり雇用契約書を交わして本人の了解を得ていたとしても、結論に変わりはありません。
<正しい方法>
最初は3か月契約として、契約更新の条件に会社が意図する「本採用」の条件を定めておけば良いのです。
この「本採用」の条件は、正社員に対しても、入社時に文書で明示しておくと労働トラブルの防止に役立ちます。
<実務の視点から>
法令の規定とは違った経営者個人の「常識」や同業他社の「慣行」に頼った対応が、思わぬ結果をもたらしたり、意図した効果が得られなかったりで、労働トラブルとなることがあります。
特に、下記の条文中の「やむを得ない事由」を安易に認めてしまうことによるトラブルが跡を絶ちません。
会社の中で当たり前になっていることも、一度、信頼できる社労士にチェックさせることをお勧めします。
〔労働契約法第17条第1項〕
使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
〔民法第628条〕
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。