2024/01/10|992文字
退職の翌月に、会社から社会保険料の本人負担分の請求が来ることもあり、来ないこともあります。
どのように場合分けされているのでしょうか。
<保険料徴収の仕組み>
社会保険料は、本人負担分を給与から控除し、会社がこれに会社負担分を足して納付します。
直接の納付義務は会社にあります。
そして、保険料の納付期限は翌月末です。
たとえば、4月分の保険料の納付期限は5月末です。
これが原則ですが、土建国保のように当月末が納付期限のものもあります。
<退職と保険料の発生>
退職者は原則として、退職日の翌日に社会保険の資格を失います。
そして、資格喪失日の前日が属する月までの社会保険料を負担します。
ですから、月末に退職した場合には、その月の保険料を負担します。
しかし、月末以外の日に退職した場合には、前月までの保険料を負担します。
4月30日に退職した場合には、4月分の保険料を負担するのですが、4月29日に退職した場合には負担しません。
<給与から控除される保険料>
たとえば、給与が毎月20日締切、当月25日支払だとすると、4月に支給される給与から控除される保険料は、通常の場合3月分です。
もし、4月末退職だとすると、5月に支給される給与から、4月分の保険料が控除されます。
5月に支給される給与は、4月21日から4月30日までの給与ですから、月給の3分の1程度でしょう。
またたとえば、給与が毎月25日締切、当月末日支払だとすると、4月に支給される給与から控除される保険料は、やはり通常の場合3月分です。
もし、4月末退職だとすると、5月に支給される給与から、4月分の保険料を控除したいところですが、5月に支給される給与は、4月26日から4月30日までの給与ですから、月給の6分の1程度でしょう。
この少ない給与から、住民税や所得税などと共に社会保険料を控除するのは、ちょっと無理かもしれません。
ですから、別途退職者に請求する場合があるのです。
退職日が予めわかっている場合には、最後の給与から2か月分の保険料を控除することもあるのですが、急な退職の場合などには間に合いませんから、退職後の請求になりやすいのです。
<実務の視点から>
具体的なケースについて迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。
また、急な解雇は不当解雇となり、訴訟トラブルとなりやすいものです。
これについても、信頼できる社労士にご相談ください。