2024/01/24|865文字
<最低賃金法の罰則>
最低賃金法に示された都道府県別の最低賃金を、単なる指針や目安であると勘違いしている事業主の方もいらっしゃいます。
しかし違反に対しては、罰金や懲役刑といった罰則が規定されています。〔最低賃金法第39条、第40条、第41条〕
そして、実際に適用されることなど無いようにも思われがちですが、書類送検の事例は労働局のホームページなどに公開されています。
<居酒屋経営者を逮捕・送検>
労働基準監督署が、経営者を最低賃金法違反の疑いで逮捕し、検察庁にこの経営者を身柄と共に送検し、法人も書類送検したというニュースは時々目にします。
ここで分かることは、労働基準監督署によって、本当に逮捕・送検されてしまうということだけではありません。
罰則は、経営者と法人の両方に適用されるのです。〔最低賃金法第42条〕
<逮捕・送検の理由>
たった1人でも、1か月でも、最低賃金を下回れば違法です。
これを労基署から指摘されたなら、素直に不足分の賃金を支払って、「今後は最低賃金法を順守します」と約束すれば良いのです。
ところが、実際に逮捕・送検されるような事例では、悪質な事情があります。
会社の退職者から、勤務した最後の月の給料が支払われないという申告があり、労基署が会社に対して賃金を支払うよう行政指導を行ったのに、これを無視してしまいます。
そこで労基署は、この会社の社長に対して出頭を要求します。
ところが、この社長は再三の出頭要求に応じず、証拠隠滅の恐れもあって、逮捕され送検されるというような事情です。
<実務の視点から>
そもそも、賃金は後払いが基本です。〔民法第624条〕
「退職者に給料を支払う必要は無い」と勘違いし、退職後に支払われるはずの給料を支払わない社長もいます。
その中には「昔からこれでやっていて問題は無かった」と考えている人もいます。
労働法違反によって、会社や経営者がどのような不利益をこうむるのか、今まじめに働いている社員に対する影響はどうなのか、少しでも疑問を感じたら信頼できる社労士にご相談ください。