2026/10/30|815文字
在宅勤務の場合の通勤手当をどのように支給するかについて、法律上の「正解」が一つに決まっているわけではありません。重要なのは、就業規則や賃金規程に支給ルールを明確に定め、その運用を公平かつ合理的に行うことです。
通勤手当は、一般的に従業員の通勤に要する実費を補填する目的で支給されるものです。そのため、完全在宅勤務で出社がほとんどない従業員に対し、従来どおりの定期代相当額を毎月支給し続ける必要はありません。
在宅勤務制度を導入している企業では、主に次のような方法が採用されています。
① 出社日数に応じて実費精算する方法
最も合理的で分かりやすい方法です。
- 出社した日のみ往復交通費を支給する
- 月末に出社実績を確認して精算する
週の大半が在宅勤務である場合には、定期券代よりも実費精算の方が企業・従業員双方にとって実態に合った方法となります。
② 一定日数以上出社する場合は定期代を支給する方法
- 月15日以上出社する場合は1か月定期代を支給
- 月15日未満の場合は実費精算
定期券利用の方が経済的な場合には、会社のコスト管理の観点からも合理性があります。
③ 通勤手当を縮小し、在宅勤務手当を支給する方法
近年増えている方法です。
- 通勤交通費は実費精算
- 在宅勤務者には通信費や光熱費の補助として月3,000円を支給
在宅勤務に伴う従業員の負担増に配慮できるため、従業員満足度の向上にもつながります。
通勤手当は法律上必ず支給しなければならない手当ではありません。しかし、就業規則や賃金規程に支給基準が定められている場合には、その内容に従って支給する必要があります。
したがって、これまで全員に定期代を支給していたが、在宅勤務導入後に実費精算へ変更したいという場合には、賃金規程や就業規則の改定が必要になることがあります。
また、一部の従業員だけを不合理に不利に取り扱うと労使トラブルの原因となるため、勤務形態ごとの支給基準を明確にして全従業員に周知することが重要です。