2026/10/28|1,296文字
「こども性暴力防止法」(通称:日本版DBS)は、子どもと接する仕事に従事する人の性犯罪前科の有無を確認し、子どもへの性暴力を防止するための法律です。2024年に成立し、2026年12月25日に施行されます。
この法律は学校や保育所だけでなく、学習塾やスポーツクラブなどの民間事業者にも大きな影響を与えます。
1 どの企業が影響を受けるのか
法律上の義務が課されるのは、学校、認可保育所、認定こども園、児童養護施設などです。
一方、民間企業でも次のような事業は影響を受けます。
- 学習塾
- スポーツクラブ
- スイミングスクール
- ダンス教室
- 放課後児童クラブ(学童)
- 認可外保育施設
- 子ども向け習い事教室
これらの事業者は、国の認定を受けることで制度に参加できます。
2 採用や人事管理への影響
最も大きな影響は採用です。
対象事業者は、子どもに接する業務に就く従業員について、性犯罪前科の有無を確認することになります。確認の対象は正社員だけではなく、パート、アルバイト、契約社員、業務委託なども含まれる場合があります。
そのため企業は、採用手続の見直し、同意書の取得、採用スケジュールの見直し、配置転換ルールの整備などが必要になります。
3 就業規則や社内ルールへの影響
企業は、前科確認だけではなく、性暴力防止のための仕組みづくりも求められます。例えば、次のような項目です。
- 服務規律の整備
- 子どもと1対1になりにくい環境づくり
- 従業員研修の実施
- 相談窓口の設置
- 事案発生時の対応手順の整備
就業規則や各種規程の見直しが必要になる企業も少なくないでしょう。
4 個人情報管理への影響
性犯罪前科の情報は極めて重要な個人情報です。
企業は、閲覧者の限定、保管方法の明確化、情報漏えい防止、保存期間や廃棄ルールの整備を行わなければなりません。
情報管理が不適切であれば、企業の社会的信用を失うおそれがあります。
5 企業にとってのメリット
負担ばかりではありません。
制度に適切に対応していることを示すことで、次のようなことが期待できます。
- 保護者からの信頼向上
- 企業イメージの向上
- 子どもの安全確保
- 従業員を不当な疑いから守る効果
特に子ども向けサービスを提供する事業者では、保護者から「安全への配慮が十分な事業者」と評価される可能性があります。
6 一般企業への影響は
製造業、建設業、小売業など、子どもへの教育・保育等を行わない一般企業は、通常は直接の対象ではありません。
しかし、次のような事業を行う企業では、将来的に安全管理体制の整備が求められる可能性があります。
- 子ども向けイベントの開催
- 子ども向け教室の運営
- 社会貢献活動としての学習支援
こども性暴力防止法は、単に「性犯罪歴を調べる法律」ではありません。子どもに関わる事業者に対し、採用、人事管理、研修、相談体制、情報管理などを含めた総合的な性暴力防止対策を求める法律です。
子ども向け事業を行う企業は、2026年12月の施行に向けて、就業規則や社内規程の見直し、人事担当者への教育、個人情報管理体制の整備を早めに進めることが重要です。子どもの安全を守るだけでなく、企業の信頼向上にもつながる制度といえるでしょう。