2026/10/19|841文字
最低賃金法違反で有罪判決を受けることはあります。 実際に、最低賃金を下回る賃金を支払った事業主が、労働基準監督署の是正指導に応じないなどの場合に、書類送検され、有罪となった事例もあります。
最低賃金法に違反した場合、単なる行政指導だけで終わるとは限りません。最低賃金法第40条では、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった使用者に対し、50万円以下の罰金が定められています。
そのため、従業員に支払っている賃金が最低賃金を下回っている状態が判明した場合には、不足額を支払うだけで済むとは限らず、悪質なケースでは刑事責任を問われる可能性があります。
特に次のような場合はリスクが高まります。
- 長期間にわたり最低賃金を下回る賃金を支払っている
- 対象労働者が多数に及ぶ
- 労働基準監督署の是正勧告や指導に従わない
- 故意に最低賃金法を無視している
- 賃金台帳の改ざんや虚偽説明を行う
実務上は、まず労働基準監督署から是正指導を受け、不足賃金の支払を求められるケースが多いのですが、是正しない場合や悪質性が高い場合には、事業主や法人が書類送検されることがあります。その結果、裁判で有罪となれば罰金刑が科されます。
また、最低賃金を下回る部分については、使用者は最低賃金額との差額を支払わなければなりません。さらに、企業名が公表された場合には、採用活動や取引先・金融機関・お客様との関係に悪影響が生じる可能性もあります。
したがって、最低賃金法違反は「不足分を後から支払えば問題ない」というものではなく、場合によっては刑事罰の対象となる法令違反です。毎年改定される最低賃金額を確認するとともに、パート・アルバイト・契約社員を含めて賃金額を定期的に点検することが重要です。
最低賃金法違反の送検事例では、月給制や日給制の労働者について時間額換算を誤った結果、気付かないうちに違反していたケースもあります。このため、最低賃金改定時期(多くは毎年10月頃)に合わせて、全従業員の時間額換算チェックを実施することをお勧めします。