会社が従業員を懲戒できる根拠

2026/03/12|771文字

 

懲戒(ちょうかい)とは、従業員が会社のルールに反したときに会社が科すペナルティのことです。

たとえば「けん責」「減給」「出勤停止」「懲戒解雇」などが代表的です。

では、会社はなぜ従業員に懲戒を行えるのでしょうか。

その根拠は大きく 3つ に整理できます。

 

<労働契約に基づく「指揮命令権」>

従業員は会社と労働契約を結ぶことで、会社の指示に従って働く義務を負います。

これを 「労務提供義務」 といいます。

一方、会社は従業員に仕事を指示し、職場の秩序を維持するための権限を持ちます。

これが 「指揮命令権」 です。

従業員がこの義務に反した場合、会社は職場秩序を守るために懲戒を行うことができます。

 

<就業規則に基づく「懲戒権」>

会社が懲戒を行うためには、就業規則に懲戒の種類と具体的な理由が明記されていることが必須です。

例としては、次のような規定があります。

・無断欠勤が続き業務に支障を来した

・会社の備品を故意に壊した

・ハラスメント行為をした

・業務上の秘密を漏らした

就業規則に書かれていない処分を勝手に行うことはできません。

つまり、懲戒の根拠は 「就業規則に書いてあるかどうか」 が最も重要です。

 

<労働契約法・判例による「合理性・相当性の原則」>

会社が懲戒できるといっても、何でも自由に処分できるわけではありません。

法律や裁判例では、懲戒に次の2つの要件が求められます。

  • 合理性

処分の理由が客観的に見て妥当かどうか。

(例)1回の遅刻で懲戒解雇は合理的ではない。

  • 相当性

処分の重さが行為の内容に見合っているか。

(例)軽いミスに対して重すぎる処分は無効になる。

このように、懲戒は「会社が好き勝手に行えるもの」ではなく、法律上の厳しい制限のもとで行われるものです。

 

つまり、懲戒は「会社の権限」ではありますが、就業規則に基づき、法律の範囲内で、必要最小限に行うものです。

PAGE TOP