2025/09/28|896文字
在宅勤務制度は、業務効率や柔軟な働き方を目的として導入されるものですが、すべての社員に一律に適用されるわけではありません。特に「問題社員」に対しては、業務遂行や組織秩序の観点から、在宅勤務の適用を除外することが検討される場合があります。
<法的根拠と裁量の範囲>
在宅勤務は「労働条件」ではなく「業務遂行方法」に関する事項であり、原則として使用者の業務命令権の範囲内で決定できるものと解されています。
ただし、就業規則や在宅勤務規程に基づいて運用されるため、除外の可否はその内容に依存します。
このことから、多くの企業では、在宅勤務規程に「適用除外事由」が定められています。
業務指示に従わない、成果が著しく低い、勤怠不良が継続している、コミュニケーションに支障があるなど、これらの事由が明記されていれば、合理的な理由に基づく除外が可能です。
<適用除外の判断基準>
適用除外の判断基準ですが、就業規則などに規定があることを前提として、次のようなものが考えられます。
業務指示に従わない、報告義務を果たさない、成果が著しく低いなど、業務遂行に支障がある場合は除外の対象となります。
また、勤務時間中に連絡が取れない、無断欠勤がある、虚偽報告があるなど、信頼性に欠ける行動が見られる場合も同様です。
さらに、ハラスメント行為、職場の混乱を招く言動などがある場合、在宅勤務によって監督が困難になるため除外が検討されます。
<会社の実務対応>
根拠が必要ですから、就業規則や在宅勤務規程に「適用除外事由」を明記します。この場合「一定期間成果が確認できない場合」など、客観的な基準を設けることが望ましいといえます。
勤怠記録、業務報告、指示履歴などを記録し、除外の合理性を裏付ける証拠を残します。感情的・主観的な判断は避け、客観的な証拠に基づく対応が必要です。
除外の理由を明確に伝え、本人の意見を聴取することも大事です。一方的な通知ではなく、納得を得るプロセスが重要です。
懲戒処分などよりも、在宅勤務除外の方がハードルは低く、柔軟な対応が可能とされています。ただし、除外が実質的な懲罰と受け取られないよう配慮が必要となります。