確定給付企業年金の加入者は多いのですが、リスクを考えて減少傾向にあることも確かです。

2024/03/26|1,039文字

 

<確定給付企業年金(DB)>

厚生年金保険の適用事業所で、事業主が従業員と給付の内容をあらかじめ約束し、高齢期に従業員がその内容に基づいた給付を受けることができる企業年金制度です。

給付の内容があらかじめ定められることから、DB(Defined Benefit Plan)、「給付建て年金」とも呼ばれます。

年金資産は母体企業の外部で一括して運用され、運用リスクは事業主が負うことになっています。

この制度は、平成14(2002)年4月から施行されていて、確定給付企業年金の実施方法には、規約型と基金型の2つがあります。

 

<規約型確定給付企業年金>

労使合意のうえで作成した規約について、厚生労働大臣の承認を受けて実施します。

事業主が信託会社、生命保険会社等と契約を結び、母体企業の外部で年金資産を管理・運用し、年金給付を行います。

実施に当たって加入者数の要件はありません。

 

<基金型確定給付企業年金>

労使合意のうえで規約を作成し、厚生労働大臣の認可を受けて母体企業とは別の法人格を持つ企業年金基金を設立して実施します。

この企業年金基金で、年金資産を管理・運用し、年金給付を行います。

企業年金基金の設立には、加入者数が300人以上であることが要件となっています。

厚生年金基金の代行返上により、または厚生年金基金をいったん解散したうえで希望する複数の事業主が共同して設立された基金型確定給付企業年金が多いという特徴があります。

 

<運用リスクへの対応>

企業年金制度の中では最多の加入者数を擁するのですが、運用リスクを回避する趣旨から企業型確定拠出年金(企業型DC)へ移行する例も増えています。

一方で、運用リスクに対応して、以前から導入されているキャッシュバランスプランに加え、近年はリスク対応掛金、リスク分担型企業年金といった新たな仕組みも取り入れられてきています。

 

<脱退一時金>

中途退職し、加入期間が年金受給の要件に満たない場合は、脱退一時金を取得することが可能とされています。

また、加入期間は要件を満たしていて、受給開始年齢に達していない場合も規約で定めることにより脱退一時金の取得が可能です。

一方で、加入期間が3年以下の場合、脱退一時金の支給対象外とする規約もあります。

この脱退一時金については、直接取得するのではなく、将来の年金受給につなげるポータビリティの観点から、転職先の企業年金等への移換が可能とされているほか、企業年金連合会に移換し、将来、通算企業年金として受給することも可能です。

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