雇用保険の記事

2021/09/01|931文字

 

<雇用保険法施行規則の一部改正>

雇用保険法施行規則の「育児休業給付金におけるみなし被保険者期間の算定方法の見直しに関する規定」が改正されました。

これにより、雇用保険の育児休業給付金の被保険者期間の要件が、9月1日から一部変更となりました。

これまで要件を満たさなかった場合でも、支給の対象となる可能性があります。

特に、勤務開始後1年程度で産休に入った従業員などは対象となる可能性があります。

 

<原則のみなし被保険者期間>

育児休業開始日を起算点として、その日前2年間に賃金支払基礎日数(就労日数)が11日以上ある完全月が12か月以上あることが原則の要件です。

これまでは、この要件を満たさないと育児休業給付金を受けられませんでした。

 

<不都合な点>

女性従業員が育児休業をする場合、育児休業前に産前産後休業を取得しているのが一般的です。

ですから、1年程度勤務した後、産前休業を開始したようなケースでは、出産日に応じて育児休業開始日が定まることから、そのタイミングによってはみなし被保険者期間の要件を満たさない場合がありました。

 

<新たに認められたみなし被保険者期間>

今回の規則の改正により、原則のみなし被保険者期間の要件を満たしていない場合でも、産前休業開始日等を起算点として、その日前2年間に賃金支払基礎日数(就労日数)が11日以上ある完全月が12か月以上ある場合には、被保険者期間要件を満たすこととされました。

 

<留意点>

育児休業開始日が令和3年9月1日以降の雇用保険被保険者が対象です。

賃金支払基礎日数(就労日数)が11日以上の月が12か月無い場合でも、完全月で賃金支払基礎となった時間数が80時間以上の月を1か月として算定します。

産前休業を申し出なかったため、産前休業を開始する日前に子を出生した場合は「子を出生した日の翌日」、産前休業を開始する日前にその休業に先行する母性保護のための休業をした場合は「先行する休業を開始した日」を起算点とします。

 

<解決社労士の視点から>

従来のみなし被保険者期間では、育児休業給付金の受給要件を満たしていない場合でも、新たに認められたみなし被保険者期間で要件を満たしていないかを確認し、手続漏れが発生しないように注意しましょう。

2021/08/29|1,345文字

 

<雇用保険の離職理由>

雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)は、かなり大雑把に言うと、自己都合の離職よりも会社都合のほうが有利です。

しかし実際には、自己都合・会社都合という区分ではなく、労働契約期間の満了や自己都合退職といった一般的な離職の場合と、特定受給資格者や一部の特定理由離職者の場合とに区分されています。

これは、予め転職の準備や経済的な備えができる退職と、転職が困難で経済的な備えができない退職とに区分して、離職者の受給内容に差を設けているのです。

ですから、会社と離職者とで雇用保険の話をする場合には、自己都合・会社都合というのではなく、給付制限期間の有無と所定給付日数について話すのが現実的です。

 

<退職金制度>

退職金制度では、自己都合と会社都合とで、支給金額に差のあることが多いものです。

自己都合でも会社都合でもない場合は、想定されないのが殆どです。

たとえば、1店舗のみを経営する会社が、行政により店舗の立退きを命じられた場合、廃業することになるのは、会社都合ではなく「行政都合」のようにも見えます。

しかし、店舗を移転して営業を続けるという選択肢もありますから、廃業するのは会社の主体的な決定によるものとされ、一斉解雇の場合には会社都合となります。

 

<休職制度>

休職制度で、会社都合によるものについて規定を置くことは少なく、殆どの場合が自己都合によるものとなります。

そして、休職期間が満了すれば、自動退職(自然退職)とされることが多く、中には解雇とする規定も見られます。

会社都合での休職や、復職できる状態となったにも関わらず会社都合で復職させられない場合には、休職期間の満了をもって自己都合による自動退職することはできず、話合いのうえ会社都合での退職とする場合が多いでしょう。

特にセクハラ、パワハラ、長時間労働、退職強要などによる精神疾患を原因とする休職の場合には、休職期間の満了をもって退職とすることは、不当解雇となるのが一般ですから注意が必要です。

 

<感染症の自宅待機>

インフルエンザに罹患した従業員から、年次有給休暇を取得する旨の申し出があれば、会社はこれに従うことになります。

しかし本人から「比較的症状が軽いので出勤したい」「テレワークにしたい」という希望が出された場合には、会社から年次有給休暇の取得を強制することはできません。

会社が休業させたいと考えるのであれば、休業手当を支払うことになります。

また、家族が新型コロナウイルスに感染し、従業員が濃厚接触者とされ、保健所から自宅待機するよう指導があった場合には、自己都合でも会社都合でもなく「行政都合」です。

この場合には、会社が休業手当を支払う義務を負いませんが、ご本人が年次有給休暇を取得することはできます。

しかし従業員の中に、お子さんが新型コロナウイルスに感染して濃厚接触者となった母親がいて、保健所から自宅待機を指示され、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を受給しようとする場合に、会社は休業期間を証明してあげることになります。

この場合、会社が金銭的な負担をすることはなく、休業の事実を確認する書類の作成に協力するだけです。

「会社都合ではなく自己都合だから」と考えて、協力を拒まないように注意しましょう。

2021/07/15|890文字

 

×失業保険○雇用保険https://youtu.be/y9JHiGhCtmQ

 

<特掲事業>

雇用保険では、失業等給付の負担の均衡化を図るために、短期雇用特例被保険者が多く雇用される事業については、雇用保険の保険料の料率を一般の事業と比べて高くしています。

これらの事業を特掲事業といい、次の4つの事業が該当します

(1) 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業(園芸サービスの事業は除く。)

(2) 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業(牛馬の育成、養鶏、酪農又は養豚の事業及び内水面養殖の事業は除く。)

(3) 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業(通常「建設の事業」といっている。)

(4) 清酒の製造の事業

 

<失業等給付>

雇用保険で、労働者の生活及び雇用の安定、求職活動の促進のために支給される給付金をまとめて失業等給付といいます。

失業等給付には、1.求職者給付、2.就職促進給付、3.教育訓練給付、4.雇用継続給付の4種類があり、昔「失業手当」と呼んでいたものは、求職者給付の基本手当に相当します。

 

<短期雇用特例被保険者と特例一時金>

季節的に雇用されている者等は、短期雇用特例被保険者として一般の雇用保険加入者(被保険者)と区別されます。

短期雇用特例被保険者は、一定の期間ごとに就職と離職を繰り返すため、一般の被保険者への求職者給付よりも一時金制度とすることのほうが、その生活実態に適合しているといえます。

そのため短期雇用特例被保険者には、一般の被保険者と区別して、特例一時金が給付される仕組がとられています。

 

<不公平の是正>

特掲事業には、短期雇用特例被保険者の割合が高く、特例一時金の給付も多いのです。

そして、給付と保険料とのバランスを考えたときに、特例一時金は失業等給付の中でも、特に保険料に対する給付の比率が高いものとなっています。

そのため、すべての事業で雇用保険率を一律にしてしまうと不公平が発生してしまいます。

特掲事業を定め、これらの事業だけ雇用保険率を高くすることによって、この不公平を是正しているわけです。

2021/06/16|888文字

 

✕失業保険⚪雇用保険https://youtu.be/y9JHiGhCtmQ

 

<離職票の交付を希望しないとき>

※離職は退職に限られず、週所定労働時間が20時間未満となった場合等を含みます。

・提出書類・・・・・・「雇用保険被保険者資格喪失届」

※被保険者というのは保険の対象者のことです。脱退は、被保険者の資格を失うことなので、資格喪失といいます。

・提出期限・・・・・・被保険者でなくなった日の翌日から10 日以内

※被保険者が転職した場合に、資格喪失が遅れると、転職先での手続がそれだけ遅れてしまいます。期限にかかわらず、なるべく早く手続しましょう。

・提出先・・・・・・・・事業所の所在地を管轄するハローワーク

・持参するもの・・労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、雇用契約書など

 

<離職票の交付を希望するとき>

※59歳以上の離職者は本人が希望しなくても必ず離職票の交付が必要です。

・提出書類・・・・・・「雇用保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者離職証明書」

※「雇用保険被保険者離職証明書」は31組ですが、1枚ずつ名前(書類のタイトル)が違います。

・提出期日・・・・・・被保険者でなくなった日の翌日から10 日以内

※被保険者でなくなった人が給付を受けるのは、本人がハローワークで手続をするのが早ければ、それだけ早くなります。手続には、離職票が必要ですから1日も早く手続して、離職票を渡しましょう。

・提出先・・・・・・・・事業所の所在地を管轄するハローワーク

・持参するもの・・労働者名簿、出勤簿(タイムカード)、賃金台帳、辞令及び他の社会保険の届出(控)、離職理由の確認できる書類(就業規則、役員会議事録など)。

 

<退職以外のとき>

「資格喪失届」は、次のような場合でも提出が必要です。

・被保険者資格の要件を満たさなくなったとき(週所定労働時間が20時間未満となった場合等)

・被保険者が法人の役員に就任したとき(ハローワークから兼務役員として労働者性が認められた場合を除く)

・被保険者として取り扱われた兼務役員が、従業員としての身分を失ったとき。

・他の事業所へ出向し、出向先から受ける賃金が、出向元の賃金を上回ったとき。

・被保険者が死亡したとき。

 

所定労働時間と予定労働時間https://youtu.be/aCypDM4IvvA

2021/06/14|1,092文字

 

<役員が労働保険の対象外とされる理由>

雇用保険は、労働者の雇用を守るのが主な目的です。

労災保険は、労働者を労災事故から保護するのが主な目的です。

会社と役員との関係は、委任契約であって雇用契約ではないため、役員は労働者ではないということで、雇用保険も労災保険も適用されないというのが原則です。

 

<労働者か否かの判断基準>

「役員」という肩書が付いたり、商業登記簿に取締役として表示されたりは、形式上、役員であることの基準になります。

しかし、法律関係では形式ではなく実質で判断されることが多く、労働保険の適用についても役員が実質的に労働者であるか否かが基準となります。

 

<雇用保険の労働者>

雇用保険の適用対象となる「労働者」とは、雇用保険の適用事業に雇用される労働者で、1週間の所定労働時間が20時間未満であるなどの適用除外に該当しない者をいいます。

この「適用除外」の中に役員は含まれていません。

役員であっても、実質的に会社に雇われ、賃金を受けていれば、その限度で雇用保険の対象者となるわけです。

 

<労災保険の労働者>

労災保険の適用対象となる「労働者」とは、職業の種類にかかわらず事業に使用される者で、労働の対価として賃金が支払われる者をいいます。

正社員、契約社員、パート、アルバイト、日雇、臨時などすべての労働者が、労災保険の対象となります。

役員であっても、労働の対価として賃金が支払われている部分があれば、その限度で労災保険の対象者となりうるわけです。

 

労災保険の勘違い(事業主編)https://youtu.be/lBEXjn2TbSA

 

<兼務役員>

役員でありながら労働者でもあるという、労働保険の対象となる役員の典型です。

取締役工場長、常務取締役本店営業本部長など、取締役かつ労働者という立場の人は、役員報酬と賃金の両方を受け取っています。

雇用保険では、ハローワークに兼務役員である旨を届出ておく必要があります。

雇用保険料は、賃金だけをベースに計算され徴収されることになりますし、失業手当(求職者給付の基本手当)も賃金だけをベースに計算され支給されます。

労災保険も、賃金をベースとした保険料・休業(補償)給付となります。

 

<執行役員>

名称に「役員」の文字が入っているものの、実際には従業員(労働者)であることも多いです。

雇用契約に基づいて企業に雇われ、取締役会などの決定に基づいて業務を執行し、役員報酬ではなく給与として賃金が支払われているなどの事情があれば、労働者と判断され、雇用保険と労災保険が適用されることになります。

常務執行役員、専務執行役員という名称でも、実質的には労働者ということもあります。

あくまでも、実質的な権限や役割を踏まえて判断することが必要です。

2021/06/10|1,361文字

 

<不正受給とは>

失業手当(求職者給付の基本手当)や雇用継続給付(高年齢雇用継続給付・育児休業給付・介護休業給付)など、失業等給付の支給を受ける権利が無いのに、不正な手段によって支給を受けたり、支給を受けようとしたりすると、不正受給となります。

つまり、実際に給付を受けていなくても不正受給となります。

 

<不正受給の処分>

不正受給があった場合には、次のような処分が行われます。

・不正のあった日から、雇用継続給付、基本手当等の支給を受ける権利がなくなります(支給停止)。

・不正な行為により支給を受けた金額は、全額返還しなければなりません(返還命令)。

・さらに悪質な場合には、不正な行為により支給を受けた金額の最高2倍の金額の納付が命ぜられます(納付命令)。

この場合、不正受給した金額の返還と併せて、3倍の金額を納めなければなりません。

これらの支払を怠った場合は、財産の差し押えが行われる場合があります。

・刑法により処罰されることがあります。詐欺罪(刑法第246条第1項)の場合、10年以下の懲役に処せられます。

 

<事業主との連帯責任>

事業主が虚偽の申請書等を提出した場合は、事業主も連帯して返還命令や納付命令処分を受けることがあります。

また、同一事業所で一定期間に複数回連続して就職、離職、失業等給付の基本手当の受給を繰り返している人(循環的離職者)を再び雇用した場合は、雇用保険の受給資格決定前から再雇用予約があったものとして受給資格者本人だけでなく、事業主も共謀して不正受給したとして連帯して返還命令処分を受ける場合があります。

 

<ハローワークによる調査>

不正受給の疑いがある場合には、ハローワークによる調査が行われます。

失業等給付を受けていた人を採用した場合に、その人を採用した時期の点検等のため、ハローワークが事業主から関係書類を借りる場合があります。

また、循環的離職者を雇用する(雇用していた)事業主へ再雇用予約の有無等について、ハローワークが確認の連絡をする場合もあります。

 

ハローワークには、雇用保険給付調査官が配置され、不正受給者の摘発や実地調査を行なっています。この場合には、企業の訪問調査も行われています。

 

<不正受給のうっかりポイント>

労働者を採用した場合、雇用年月日の理解が不正確なために不正受給につながることがよくあります。

試用期間や見習期間も雇入れのうちですから、この期間の初日が雇用年月日となります。

この期間について失業等給付(基本手当)を受給すると不正受給になります。

 

失業等給付(基本手当)を受給している人が、内職、アルバイト、手伝等をした場合は、ハローワークへ申告をしなければなりません。

失業中にアルバイトなどをすること自体は違法ではありませんが、必要な申告を怠ると不正受給になります。

 

対象者本人から、雇入年月日、賃金や労働日数、働いていた期間等について、事実と相違する書類が提出されることもあります。

しかし、事業主は事実に基づく証明をしなければなりません。

万一、偽りの記入を求められても絶対に受け入れないようにしてください。

 

不正受給に関して、事業主の証明が誤っていたり、承知しながら見逃していたりした場合、事業主も連帯責任を問われることがあります。

うっかりしないように注意してください。

2021/06/07|791文字

 

<事業主の協力>

高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付に関する受給資格確認と支給申請の手続は、原則として、その対象者(被保険者)を雇用する事業主を経由して行うよう協力が求められています。

もし、手続に詳しい人がいなければ、社会保険労務士に依頼するなどして、受給が遅れないようにしましょう。

 

<通知書と申請書>

ハローワークで雇用継続給付についての支給決定が行われると、コンピューターでの処理後、「支給決定通知書」と「次回の支給申請書」が交付されます。

これらの書類には、次の3つの役目がありますので、対象者本人(被保険者)に渡しましょう。

・支給金額を通知する。

・次回の支給対象期間と支給申請の期限を通知する。

・高年齢雇用継続給付の場合には、年金との併給調整手続に使用する。

 

<正しく手続を>

高年齢雇用継続給付の支給額は、原則として、60 歳到達時(休業開始時)の賃金額と支給対象月(対象期間)に支払われた賃金額とを比較し、その低下に応じて決定されます。

そのため、給付金の支給決定後に、提出済みの賃金月額証明書や支給申請書について、賃金額の記載誤りや一部算入漏れ等があった場合には、正しい金額を計算し改めて支給するので、すでに支給された給付金を回収しなければならないケースが発生します。

 

また、育児休業給付や介護休業給付の支給対象期間中に職場復帰した場合の職場復帰日(介護休業終了日)の申告漏れがあった場合についても、正しく処理を行う必要があるため、上記と同様、すでに支給した給付金を回収しなければならないケースもあります。

 

こうした給付金の回収手続は、わずらわしいだけでなく、多額の給付金を一度に回収される場合もあるので、事業主や対象者(被保険者)に、かなりの負担・不利益を生じさせることもあります。

 

なるべく早く給付を受けられるよう、正確かつスピーディーな手続を心がけましょう。

2021/06/04|1,287文字

 

次の各項目のどれかに当てはまる労働者は、雇用保険の対象者(被保険者)とはなりません。

反対に、どれにも当てはまらない労働者を、雇い主側の判断で、対象から外し手続を行わないのは違法となります。

 

<1週間の所定労働時間が20 時間未満である人>

「1週間の所定労働時間」とは、就業規則、雇用契約書などにより、その人が通常の週に勤務すべきこととされている時間のことをいいます。

この場合の通常の週とは、祝日やその振替休日、年末年始の休日、夏季休暇などの特別休日を含まない週をいいます。

1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合には、その1周期の所定労働時間の平均を1週間の所定労働時間とします。

また、所定労働時間が複数の週を単位として定められている場合は、各週の平均労働時間で考えます。

1か月単位で定められている場合は、1か月の所定労働時間を12倍して52 で割った時間とします。

1年単位で定められている場合は、1 年の所定労働時間を52 で割った時間とします。

52で割るのは、1年がおよそ52週だからです。

所定労働時間は、残業手当の計算や、年次有給休暇取得時の賃金計算に必要です。

そして、基本的な労働条件として、労働条件通知書などの書面により、労働者に通知することが雇い主の法的義務とされています。

ですから、所定労働時間を決めないことは、雇い主に複数の罰則が重ねて適用される結果をもたらします。

どうしても決め難いのであれば、社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

 

▷YouTube所定労働時間と予定労働時間https://youtu.be/aCypDM4IvvA

 

<同一の事業主の適用事業に継続して31 日以上雇用されることが見込まれない人>

「31 日以上雇用されることが見込まれる」というのは、次のような場合です。

・正社員など雇用期間を定めずに雇う場合

・有期労働契約で、最初の雇用期間が31日以上である場合

・有期労働契約で、最初の雇用期間は30日以内だが、契約期間の更新が予定されている場合

・有期労働契約で、最初は契約期間の更新を予定していなかったが、途中で更新することになり、結果的に31日以上の契約期間となる場合

・有期労働契約で、最初の雇用期間は30日以内だが、同様の契約で働いている人の多くが契約を更新され、実態として31日以上雇用されることが見込まれる場合

 

 <季節的に雇用される人であって次のどちらかにあてはまる人>

・4か月以内の期間を定めて雇用される人

・1週間の所定労働時間が30 時間未満の人

※いわゆる季節雇用の人についての基準です。

 

<学校教育法1条の学校、124 条の専修学校、134 条の各種学校の学生または生徒>

昼間の時間帯の授業に出席することの多い学生などです。

通信制、単位制、定時制などの場合には、雇用保険の対象となります。

 

<船員であって、特定漁船以外の漁船に乗り組むために雇用される人>(1年を通じて船員として雇用される場合を除く)

 

<国、都道府県、市区町村などの事業に雇用される人のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、雇用保険の求職者給付および就職促進給付の内容を超えると認められる人>

2021/06/03|860文字

 

<雇用保険の手続の原則と例外>

雇用保険に関する事務処理は、原則として事務所、営業所、出張所、店舗などの事業所ごとに行うことになっています。

 しかし、事業所の規模が小さくて、雇用保険の手続を担当する人が置けないなどの事情がある場合には、その事業所の所在地を管轄するハローワークに「雇用保険事業所非該当承認申請書」を提出し承認を受けることによって、本社、支社など上位の事業所が一括して手続を行えるようになります。

この場合、事業所の規模が小さいというのは、従業員の数が少ないとか、面積が狭いということではなくて、機能的に独立性を保てないことを意味します。

あくまでも、申請して承認を受ければ可能になるということですから、申請せずに会社の判断で本社、支店などがまとめて手続できるわけではありません。

 

<申請が承認されるための条件>

申請が承認されるためには、労働者が働く場所や施設(事務所、営業所、出張所、店舗など)が、次の条件をすべて満たすことが必要です。

ただし労働保険について、継続事業の一括が認可されている施設は、原則として条件を満たさなくても大丈夫です。

 

●事業所非該当承認基準

・人事上、経理上、経営上(または業務上)の指揮監督、賃金の計算、支払などに独立性が無いこと。

・健康保険、厚生年金保険、労災保険などについても、本社や主たる支社で一括処理されていること。

・労働者名簿、賃金台帳などの法定帳簿類が、本社や主たる支社に備え付けられていること。

 

この3つの条件のうち、1つ目の独立性については判断が微妙となりがちです。

不安があり、直接ハローワークに確認しにくい場合には、社会保険労務士にご相談ください。

 

<申請手続>

・提出書類・・・・・「雇用保険事業所非該当承認申請書」(41組)

・提出期日・・・・・申請しようとする都度すみやかに

・提出先・・・・・・・非該当承認対象施設の所在地を管轄するハローワーク

 

新たな店舗などで勤務する人について、雇用保険の手続が遅れてはいけませんから、後回しにせず、なるべく早く手続しましょう。

2021/06/01|955文字

 

<資格取得と喪失>

雇用保険の適用事業所に雇用される労働者は、正社員、準社員、契約社員、パート、アルバイト等の呼称にかかわらず、原則として被保険者となります。

ただし、週所定労働時間が20時間未満などの例外があります。

日常用語では、加入者などといいますが、法律用語では保険の対象となる人という意味で被保険者といいます。

これらの労働者は、原則として、その適用事業所に雇用される日から被保険者資格を取得し、離職等となった日の翌日から被保険者資格を喪失します。

離職は退職に限られず、週所定労働時間が20時間未満となった場合等を含みます。

これら被保険者に関する手続は、すべて適用事業所の所在地を管轄するハローワークで行います。

 

<被保険者となる労働者を新たに雇用したとき>

・提出書類・・・・・「雇用保険被保険者資格取得届」

・提出期限・・・・・雇用した日の属する月の翌月10 日まで

・提出先・・・・・・・事業所の所在地を管轄するハローワーク

※提出期限は、東京都の場合は件数が多いため、雇用した日の属する月の翌月末日までとなっています。

 

<添付書類>

次のいずれかに該当する場合には、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード等)、その他社会保険の資格取得関係書類等その労働者を雇用したこと及びその年月日が明らかにするもの、有期契約労働者である場合には、書面により労働条件を確認できる就業規則、雇用契約書等の添付が必要です。

 

・事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合。

・被保険者資格取得届の提出期限を過ぎて提出する場合。

・過去3 年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合。

・労働保険料を滞納している場合。

・著しい不整合がある届出の場合。

・雇用保険法その他労働関係法令に係る著しい違反があった事業主による届出の場合。

 

株式会社等の取締役等であって従業員としての身分を有する人、事業主と同居している親族、在宅勤務者についての届出である場合には、雇用関係を確認するための書類の提出が必要です。

 

社会保険労務士、労働保険事務組合を通じて提出する場合には、次のいずれかに該当する場合のみ、添付書類が必要となります。

・届出期限を著しく(原則として6か月)徒過した場合

・ハローワークにおいて、届出内容を確認する必要がある場合

2021/04/11|1,343文字

 

<待期期間の不思議>

健康保険の傷病手当金、労災保険の休業(補償)給付、雇用保険の基本手当(昔の失業手当)には、待期期間があります。

給付の理由があっても、最初の一定の日数は給付されません。

しかし、その理由は意外と知られていませんので、ここにご紹介させていただきます。

「待機期間」ではなくて「待期期間」です。

「待機」は、準備を整えてチャンスの到来を待つことです。

待機児童、自宅待機、待機電力の「待機」はこの意味で使われています。

「待期」は、約束の時期を待つことです。

待期期間の「待期」はこの意味で使われています。

 

<傷病手当金の待期期間>

健康保険の傷病手当金は、ケガや病気で働けなくなっても最初の継続した3日間は待期期間とされ支給の対象とされません。

これは、仮病による支給申請を防止するためだそうです。

3日間の無給を犠牲にしてまで、嘘のケガや病気で傷病手当金の申請をしないだろうという考えによります。

ただ、年次有給休暇の取得も考えられますから、効果は疑わしいと思います。

 

YouTube傷病手当金の書類を会社が書いてくれない

https://youtu.be/cuSdiy6H6Mg

 

<休業(補償)給付の待期期間>

労災保険の休業(補償)給付は、ケガや病気で働けなくなっても、最初の継続または断続した3日間は待期期間とされ支給の対象とされません。

仮病による支給申請の防止というのは、傷病手当金と同じです。

しかし、年次有給休暇のこともありますし、通勤災害による休業補償給付ではなくて、業務災害による休業給付ならば、最初の3日間は事業主が労働基準法の規定により休業補償を行うことになりますから、ますます効果は疑わしいものです。

 

<雇用保険の基本手当の待期期間>

ハローワークに離職票を提出し求職の申し込みをした日から7日間は、待期期間とされ基本手当の支給対象期間とされません。

本当に失業状態にあるといえるのかを確認するために設けられているとされます。

しかし、失業状態にあることの確認は、わずか7日間の待期期間を設けるだけでは不十分でしょう。

なお自己都合退職者には、7日間の待期期間の後、さらに最大3か月の給付制限期間が設けられています。

これは、自分の都合で退職しているので、経済的な備えなどができるはずだということで設けられています。

不思議なことに、この給付制限期間のことを待機期間・待期期間と呼んでいる人もいます。

 

<解決社労士の視点から>

火災保険や自動車保険その他の損害保険では、免責金額が設定されているのが一般的です。

免責金額以下の損害に対しては保険金が支払われないのです。

保険会社から見ると、少額の損害で保険金を支払ったり、そのための手続や処理をしたりで経費を使わなくてもよいので助かります。

また、保険加入者にとっても、その分だけ保険料が安くなるわけです。

健康保険、労災保険、雇用保険で、1日限りの休業や失業に対してまで給付をするというのでは、手続にかかわる人々の人件費が大変です。

また、ある程度以下の給付は切り捨てて、その分だけ保険料を安くするという要請は公的保険という性質上、大きいものと考えられます。

以上のことから待期期間は、損害保険の免責金額のような役目を果たしているものと思われます。

2021/04/10|1,065文字

 

<支払約束や慣行が無い場合>

退職金の支給について、就業規則や労働条件通知書などに規定が無く、支給する慣行も無いのであれば、雇い主側に支払の義務はありません。

しかし規定が無くても、退職金を支給する慣行があれば、その慣行を就業規則や労働条件通知書などに規定することを怠っているだけですから、規定がある場合と同様に支払い義務が発生します。

 

<対象者が限定されている場合>

就業規則などに、「勤続3年を超える正社員に支給する」という規定があれば、勤続3年以下の正社員に支給する必要はありません。

しかし、パート社員など非正規社員に支給する必要性には注意が必要です。

まず、正社員用の就業規則しか無い、就業規則に正社員の明確な定義が無いなどの不備があれば、本人からの請求によって支払わざるを得ないこともあります。

また、令和3(2021)年4月から同一労働同一賃金が全面施行されていますので、賞与支給の趣旨・目的が明確で、正社員以外に支給しない客観的に合理的な理由があるというのでなければ、会社が非正規社員から、特に退職後に訴えられるリスクがあります。

この場合には、未払残業代、パワハラに対する慰謝料、年次有給休暇を取得させなかったことに対する損害賠償など、すべて合わせて請求されるでしょう。

少なくとも、就業規則や労働条件通知書は、法改正を踏まえ社会保険労務士(社労士)のチェックを受けておくことをお勧めします。

 

YouTube「合理的」の意味

https://youtu.be/E-BgYSjxLZI

 

<不支給の例外規定がある場合>

退職金の不支給について、就業規則や労働条件通知書などに規定があって、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当な場合には、例外的に不支給とすることが許される場合もあります。

「規定さえあれば不支給で構わない」ということではありません。

 「会社の承諾なく退職した者には退職金を支給しない」という規定は、その承諾が会社の主観的な判断ですから、客観的に合理的とはいえないでしょう。

 「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」という規定があっても、必ずしも不支給が許されるわけではありません。

退職金を不支給としても良いのは「労働者のそれまでの勤続における功労を抹消するほどの信義に反する行為」があった場合に限られます。

それほどの事情があったわけではないのなら、懲戒解雇そのものが不当解雇となり無効である可能性があります。

 

<解決社労士の視点から>

同一労働同一賃金への対応は簡単ではありません。

本当に退職金を支払わなくても大丈夫かといった専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

2021/04/09|1,386文字

 

YouTube被保険者 被扶養者「被」とは?

https://youtu.be/TLTo2eFOMfU

 

<離職理由の重要性>

離職者が失業手当(雇用保険の基本手当)を受給するためには、事業主が雇用保険の脱退(資格喪失)手続をするとともに、離職証明書(離職票)の作成手続をする必要があります。

基本手当の受給開始日や受給期間は、離職理由によって異なりますから、この離職理由が重要な意味を持ちます。

 

<離職理由の判断手続>

手続の流れとしては、まず事業主が会社所轄のハローワークに離職証明書を提出します。

事業主は、離職証明書に離職理由を記載しますが、離職理由を裏付ける客観的資料により、所轄のハローワークが確認することになっています。

そして離職票は、離職証明書と3枚綴りのセットになっていて、一部が複写式になっています。

離職者は、会社を経由して離職票を受領することになります。

さらに離職者は、この離職票に離職理由を記載して、離職者の居住地を基準とした管轄のハローワークに提出します。

ここでも、事業主の記載している離職理由が、客観的資料により確認されます。

このとき、離職者が異議を唱えなければ、事業主の記載した離職理由が正しい離職理由であると判断されます。

しかし、離職者が異議を唱えていれば、離職者の離職理由を裏付ける客観的資料により、管轄のハローワークが離職理由を確認します。

管轄のハローワークは必要に応じ、事業主と離職者から聴取し、最終的にはハローワークの所長が離職理由を判断します。

長くなりましたが、これが離職理由の原則的な判断手続です。

 

<事実の変化による離職理由の変更>

ここでは、単純化のために、離職理由を会社都合・自己都合に集約して考えます。

ある従業員が、会社都合により3月末で普通解雇される予定だったところ、その従業員の家族の都合で急遽2月下旬に転居することになったため、自己都合により2月末で退職することになったとします。

この場合には、事実の変化により、退職日が1か月繰り上がるとともに、離職理由も変更されたことになります。

 

<判断の変化による離職理由の変更>

従業員から事業主に対して、長時間労働による健康不安を理由に退職の申し出をしたとします。

そして、事業主も従業員も自己都合であるとして離職証明書(離職票)の作成手続に入ったとします。

しかし、3か月以上にわたって月の法定時間外労働が45時間を超えていた場合などは、会社都合と判断されることになっていますので、事業主か従業員が途中で気づき、あるいはハローワーク主導で会社都合に変更されることがあります。

 

<合意による離職理由の変更>

長年会社に尽くした従業員から退職の申し出があり、事業主が「本当は自己都合だが感謝の印として会社都合にしてあげよう」と考えて手続すると、不正受給に加担することになりますから違法です。

たとえ当事者が合意しても、事実と異なる離職理由での手続は許されないのです。

しかし、労働局でのあっせんなど、個別労働紛争解決制度を利用した結果作成される「和解書」などの中で行われる離職理由の合意は、あっせん委員が具体的な事実関係を確認し、事実に基づいて「和解書」が作成されるため違法ではありません。

この場合には、申立人と被申立人とで離職理由についての意見が分かれていたところ、誤った判断をしていた側の勘違いが是正されて、正しい離職理由での合意が形成されているので、不正が回避されたことになるのです。

 

解決社労士

2021/03/28|2,122文字

 

YouTube情報漏洩の防止

https://youtu.be/nnTZG2FyG8w

 

<和解契約の性質>

和解とは、法律関係の争いについて、当事者が互いに譲歩し争いを止める合意をすることをいいます。

退職者から会社に対し、代理人弁護士を通じて、法的な権利を主張し何らかの請求をしてくることがあります。

在職者からは、弁護士を介さず直接請求してくることが多いでしょう。

会社が何らかの回答をし、これに退職者・在職者が納得しなければ、あっせんや労働審判を申し立てられることがあります。

これを超えて訴訟にまで発展すると、当事者には時間、費用、労力、精神力などの負担が大きくのしかかります。

和解というのは、会社と退職者・在職者のどちらが正しいか白黒を付けるのではなく、お互いに歩み寄って解決することにより、時間、費用、労力、精神力などの負担を軽減しようという、合理的な解決方法であるといえます。

 

<和解契約書のひな形>

和解契約書のひな形は、ネットで検索すると、金銭消費貸借契約に関するものも多いですが、「和解 ひな形 労働者」で検索すれば、会社と従業員や退職者との和解契約書のひな形が見つかります。

しかし、その一般的なものには、そのまま利用すると、紛争の解決どころか新たな紛争の火種となる要素が含まれています。

以下、そうした例について説明を加えてみましょう。

なお、例文中の甲は会社、乙は退職者・従業員を示しています。

 

<離職理由>

第○条 甲乙は、本件に関し、雇用保険の離職証明書の離職事由は、○○○○であることを確認した。

雇用保険の離職理由は、会社(事業主)と退職者(離職者)のそれぞれが、離職票・離職証明書に具体的事情を記入し、所轄のハローワーク(公共職業安定所)が判断します。

会社と退職者とで離職理由の申し合せをしても、ハローワークがこれに拘束されるわけではありません。

あくまでも具体的事情に基づいて判断されます。

したがって、事実と異なる申し合せは無効となります。

たとえ話ですが、自己都合の退職者が、雇用保険の手続担当者に「5万円あげるから会社都合にして」と依頼し、手続担当者がこれを承諾して会社都合の離職票を作成したら、失業手当(求職者給付の基本手当)を不正受給することになりかねません。

こうしたことが許されないのは明らかです。

 

<守秘義務1>

第○条 乙は、在籍中に従事した業務において知り得た技術上・営業上の情報について、退職後においても、これを他に開示・漏洩し、自ら使用しないことを誓約する。

退職者に「他に開示・漏洩しない義務」を負わせることは可能ですが、退職者の頭の中に残っている情報を使用しないというのは不可能なことです。

無意識のうちに使用することは避けられません。

不可能なことを和解の内容に加えてしまうと、全体の信憑性が損なわれてしまいます。

 

<守秘義務2>

第○条 乙は、本合意書の存在及びその内容の一切を厳格に秘密として保持し、その理由の如何を問わず、一切開示又は漏洩しない。

守秘義務に共通のことですが、守秘義務に反して秘密を開示・漏洩してしまった場合のペナルティーが無ければ、実効性を保てないのではないでしょうか。

秘密の開示・漏洩によって会社に実害が発生した場合には、和解契約書の有無とは関係なく、不法行為または債務不履行による損害賠償責任が発生しますので、あえて和解契約書を交わすメリットは見当たりません。

会社側が実害の立証をしなくても、秘密の開示・漏洩があれば、従業員や退職者に一定の違約金を請求できる内容を加えておく必要があるでしょう。

 

<競業避止義務>

第○条 乙は、退職後○年間は、甲と競業する企業に就職したり、役員に就任するなど直接・間接を問わず関与したり、又は競業する企業を自ら開業したり等、一切しないことを誓約する。

退職者にも、憲法で保障された職業選択の自由がありますから、競業避止義務を負わせる場合には、期間だけでなく、地域的な範囲を限定しなければ一般には無効となります。

地域を限定しないで、つまり全世界で禁止ということが合理性を持つのは、ほんの一つまみのグローバル企業の場合だけです。

また、給与への上乗せ、退職金への上乗せなどで、競業避止に対する対価の支払が行われている場合を除き、和解に当たって、競業避止の対価を支払うことが必要です。

退職者には、和解に応じる/応じないの選択権がありますから、会社に都合の良い内容を押し付けることはできないのです。

 

<債権債務の不存在>

第○条 甲乙は、本件に関し、本合意書に定めるほか、何らの債権債務が無いことを相互に確認し、今後一切の異議申し立てを行わない。

和解にこの条項が無いと、紛争のぶり返しがありうるので、最終決着であることを担保するために設けられます。

しかし、従業員と会社との間には労働契約上の債権債務があります。

これが消滅してしまう和解というのは、ありえないでしょう。

また、退職者であっても、退職直後であれば、退職金の支払、健康保険や雇用保険の手続が残っていることがあります。

こうしたものが残っている場合には、例外として盛り込んでおく必要があります。

 

<解決社労士の視点から>

「ひな形」は飽くまでも「ひな形」です。

主体的に考えて、カスタマイズして利用しましょう。

2021/03/25|931文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

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<保険金詐欺>

保険金詐欺は、刑法第246条に規定されている詐欺罪に該当します。

保険金詐欺として逮捕される可能性がある行為としては、自動車保険で、偽装の自損事故や盗難を偽装して車両保険を請求する、偽装の自損事故で人身傷害保険や搭乗者傷害保険を請求する、本当はケガをしていないのにケガをしているふりをして対人や人身傷害保険を請求するなどが見られます。

しかし、会社が加担する保険金詐欺もあるのです。

 

<雇用保険の詐欺>

採用が内定すれば「失業」の状態は解消されます。

それにもかかわらす、内定が無いものとして、失業手当(求職者給付の基本手当)や再就職手当について受給があれば保険金詐欺になります。

基本手当については、請求手続に会社が関与しませんので、責任を問われることはありませんが、調査が入れば対応する義務を負います。

再就職手当については、会社が主体的に手続に関与しますから、ここで不正を働けば保険金詐欺への加担について責任を負わされます。

 

<労災保険の詐欺>

業務災害や通勤災害を隠すために、被災者に対して、健康保険を使って治療を受けるよう会社が指示を出すことがあります。

労災保険のメリット制が適用される企業では、保険料率の上昇を防ぐための工作となります。

建設業では、被災者が仕事に就くことができないにも拘らず、建設現場に出頭させて業務に就いていたことにするなどの偽装工作まで行われています。

健康保険の側からすれば、健康保険で負担しなくて良い治療費の7割を負担することになります。

病院としては、労災の方が診療報酬が高いことが多いのですから、不審に思えば、労働基準監督署に問い合わせるなどの行動に出るのが自然です。

こうして、労災保険の詐欺は発覚しやすいので、しばしばマスコミで報道されることとなります。

会社の信用を低下させる痛手は、労災を健康保険でまかなう不正な利益を遥かに上回ってしまいます。

 

<解決社労士の視点から>

会社の経費を浮かすために、正しい手続から外れた行為をした場合、しっぺ返しがあると見て間違いありません。

過去に幾多の不正行為があり、これに対抗するための制度を国が構築したわけですから、姑息な手段で保険関係の不正を行うことは、ほとんど不可能であると心得ましょう。

2021/02/22|1,215文字

 

YouTube被保険者 被扶養者「被」とは?

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<保険証>

皆さんは、病院に行くと受付で「保険証」を提示すると思います。

この「保険証」という名前は通称です。

正式には「被保険者証」という言いにくい名前です。

お手元の「保険証」を見ていただくと「被保険者証」と書いてあるはずです。

 

<「被」という漢字の意味>

「被」という漢字には、受け身の意味があります。

「受け身」というのは、行動の主体からの動作・作用を受ける人を主人公にして話す話し方です。

 

Aさんから見て「AさんがBさんをほめた」というのは、

Bさんから見ると、「BさんがAさんからほめられた」となります。

この「BさんがAさんからほめられた」というのが受け身です。

 

受け身は、英語の授業では受動態として習いました。

漢文の授業では、「被」という字を「る」「らる」という受け身の助動詞として習いました。

 

<社会保険で「被」が付くことば>

「被保険者」は、保険について受け身の人のことをいいます。

保険者は、保険を運用する人のことをいいます。

健康保険の保険者は、保険証に書かれています。

協会けんぽであったり、健康保険組合であったりです。

国民健康保険では、市町村が保険者です。

そして、保険が適用され給付を受ける人が「被保険者」ということになります。

日常用語では「保険加入者」とも言いますね。

 

「被扶養者」は、扶養について受け身の人のことをいいます。

誰かを扶養する人を、わざわざ「扶養者」ということは少ないでしょう。

誰かに扶養されている人のことを「被扶養者」といいます。

日常用語では「扶養家族」ですね。

特に被扶養者のうち配偶者を「被扶養配偶者」といいます。

厚生年金で勤め人が第二号被保険者、その被扶養配偶者が20歳から59歳までであれば、第三号被保険者ということになっています。

 

<労働保険で「被」が付くことば>

雇用保険や労災保険でも、保険が適用される人は「被保険者」ということになります。

労災保険では、保険事故に遭った人のことを「被災者」といいます。

業務災害や通勤災害という災害に遭った人ということです。

 

<その他「被」が付くことば>

「被相続人」というのは亡くなった人です。

「相続人」は、相続する人、相続を受ける人のことですから、相続される人は亡くなった人ということになります。

 

「被害者」は害を受ける人です。相手は「加害者」です。

 

「被告人」は、犯罪の嫌疑を受けて公訴を提起された人です。

「告訴された人」が語源ですが、その意味は「起訴された人」です。

告訴は、犯罪の被害者などが、捜査機関に犯罪事実を申告し、犯人の訴追を求めることですから、起訴とは意味が違っています。

なお「被告」は、民事裁判で訴えを提起された人のことを指しますから、犯罪者というわけではありません。

日常用語では、「被告人」と「被告」が混同されています。

テレビニュースでも、正しく区別されていません。

 

話が脱線しましたが、「被◯◯」という言葉が出てきたら、思い出してみてください。

 

解決社労士

2021/02/13|948文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

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<再就職手当>

雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)の受給資格の決定を受けた人が、早期に安定した職業に就いた場合に支給されます。

早期に安定した職業に就いた場合」には、自分で事業を開始した場合を含みます。

失業手当(求職者給付の基本手当)を受給していると、「手当をすべてもらい終わってから再就職した方が得」という気持になりがちです。

しかし、これでは失業手当が再就職を妨げていることになります。

そこで、再就職手当の制度により、再就職を促進しようというものです。

 

<再就職手当の額>

 

所定給付日数を3分の2以上残して再就職した場合

支給額 = 基本手当日額 × 失業保険の支給残日数 × 70%

 

所定給付日数を3分の1以上残して再就職した場合

支給額 = 基本手当日額 × 失業保険の支給残日数 × 60%

 

早く再就職したほうが、給付率が高いわけです。

 

<受給条件の注意>

受給のためには、次のような条件のすべてを満たすことが必要です。

かなり多いのですが、赤文字のところは特に注意が必要です。

・ハローワークで受給手続をした後、7日間の待期期間満了後に就職(事業開始)したこと。

・再就職の前日までで、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること。

・離職前の事業主に再び雇われたものではないこと。離職した事業所と密接に関連する事業所への再就職ではないこと。

・失業手当(求職者給付の基本手当)の手続をする前に雇われることが約束されていないこと。

・給付制限期間がある場合には、期間が開始してから1か月以内の再就職の場合は、ハローワークなどの紹介で就職したこと。

・過去3年以内の就職について、再就職手当をもらっていないこと。

・1年を超えて勤務することが確実であること。

 

<解決社労士の視点から>

再就職手当支給申請書は、再就職から1か月以内に所轄のハローワークに提出することになっています。

再就職先の会社は、必要書類の事業主記入欄に記入し、添付書類と共に新規採用者に渡すのですが、これを速やかに行う必要があります。

その一方で、受給の条件を満たしていない人に、条件を満たしているような書類を渡してしまうのは違法受給への加担となってしまいます。

迷うところがあれば、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

2021/02/07|1,487文字

 

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<会計検査院の存在根拠>

会計検査院については、日本国憲法に次の規定があります。

 

第九十条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

 

憲法に規定された組織ですから、国家レベルで重要な組織であることは明らかです。

 

<会計検査院の役割>

会計検査院の組織及び権限は、憲法の規定に従い会計検査院法に定められています。

その中の条文を読んでも、会計検査院の役割は簡単に理解できるものではありません。

会計検査院のホームページの最初に記載されている次の説明がわかりやすいと思います。

 

会計検査院は、国の収入支出の決算、政府関係機関・独立行政法人等の会計、国が補助金等の財政援助を与えているものの会計などの検査を行う憲法上の独立した機関です。

 

結局、国に入るべきお金がきちんと入っていること国から出て行くべきではないお金が出て行っていないこと、この2つをチェックしているわけです。

国の財源は税金が中心です。

国のお金が不足すれば、増税されることになります。

国に入るべきお金がきちんと入らないと、増税に結びつくわけですから、我々国民も企業も大いに迷惑します。

また、国から出て行くべきではないお金が出て行ってしまっても、国のお金が不足することになり、やはり増税に結びつきます。

会計検査院は、こうしたことが起こらないように、国のお金の流れをチェックしているのです。

 

<国に入るべきお金がきちんと入っているかの調査>

たとえば、所轄の労働基準監督と会計検査院が一緒に企業の調査に入ることがあります。

企業が正しく労災保険や雇用保険の対象者を確定し、正しく保険料を納めていないと、国に入るべきお金がきちんと入らない恐れがあります。

そこで、労災保険と雇用保険の保険料を納める手続である労働保険年度更新が正しく行われている必要があります。

年度更新の手続を監督しているのは、基本的に所轄の労働基準監督署ですから、労働基準監督署が年度更新の内容を再確認するのを会計検査院がチェックするという二段構えになります。

こうした場合、当然ですが一番緊張するのは労働基準監督署の職員の方々です。

所轄の年金事務所と会計検査院が一緒に企業の調査に入る場合もあります。

社会保険の加入対象者や加入時期が正しいこと、保険料の計算が正しいこと、定時決定(算定基礎届)の内容などについて再確認が行われます。

 

<国から出て行くべきではないお金が出て行っていないかの調査>

所轄のハローワークと会計検査院が一緒に企業の調査に入る場合があります。

就職した後も失業手当(求職者給付の基本手当)を受給している人がいないか、関連企業への転職なのに再就職手当を受給していないかなど、給付すべきではないお金が支給されていないかをハローワークが再確認し、それを会計検査院がチェックするのです。

ここでも、一番緊張するのはハローワークの職員の方々です。

 

<解決社労士の視点から>

社労士は会計検査院の調査や労働基準監督署の監督に立会うことも、国家資格者としての立場で業務として行っています。

もちろん立会いだけでなく、その後の報告書の作成・提出のフォローや代行も行っています。

きちんと対応しておくと、お世話になっている労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所の皆さんに感謝されるわけですから、メリットは大きいと思います。

調査が入るとわかったら、あるいは抜き打ちの調査を受けたら、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

2020/12/28|1,220文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

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<育児休業中の勤務>

育児・介護休業法上の育児休業は、労働者が子の養育を行うために、休業期間中の労務提供義務を消滅させる制度です。

ですから、休業期間中に就労することは想定されていません。

しかし、労使の話し合いにより、子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的にその事業主のもとで就労することはできます。

雇用保険の育児休業給付金を受給中の労働者の場合、就労が月10日以下であれば、育児休業給付金が支給されます。

また、10日を超えて就労する場合でも、月80時間以下であれば同様です。

一方で、恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることにはなりませんので、育児休業が終了したことになります。

 

<一時的・臨時的勤務の注意>

上記のような例外が認められる場合であっても、事業主の一方的な指示により就労させることはできません。

労働者が自ら事業主の求めに応じ、労使で合意することが必要です。

また、合意が得られず一時的・臨時的就労が行われなかった場合、育児休業中に就労しなかったことを理由として、事業主が不利益な取扱いをしてはなりません。

むしろ事業主は、上司や同僚からのハラスメントが起きないように、雇用管理上必要な措置を講ずる必要があります。

 

<一時的・臨時的勤務の例>

育児休業が終了しないような一時的・臨時的就労の例として、厚生労働省は、次のようなものを挙げています。

これらは例示ですから、他にも一時的・臨時的就労に該当する場合があります。

 

1.育児休業開始当初は、労働者Aは育児休業期間中に出勤することを予定していなかったが、自社製品の需要が予期せず増大し、一定の習熟が必要な作業の業務量が急激に増加したため、スキル習得のための数日間の研修を行う講師業務を事業主が依頼し、Aが合意した場合 

2.労働者Bの育児休業期間中に、限られた少数の社員にしか情報が共有されていない機密性の高い事項に関わるトラブルが発生したため、当該事項の詳細や経緯を知っているBに、一時的なトラブル対応を事業主が依頼し、Bが合意した場合

 

3.労働者Cの育児休業期間中に、トラブルにより会社の基幹システムが停止し、早急に復旧させる必要があるため、経験豊富なシステムエンジニアであるCに対して、修復作業を事業主が依頼し、Cが合意した場合

 

4.災害が発生したため、災害の初動対応に経験豊富な労働者Dに、臨時的な災害の初動対応業務を事業主が依頼し、Dが合意した場合

 

5.労働者Eは育児休業の開始当初は全日を休業していたが、一定期間の療養が必要な感染症がまん延したことにより生じた従業員の大幅な欠員状態が短期的に発生し、一時的にEが得意とする業務を遂行できる者がいなくなったため、テレワークによる一時的な就労を事業主が依頼し、Eが合意した場合

 

いずれも、他の人では代わりを務められない能力が求められるような業務について、客観的な必要性が認められる場合であると考えられます。

 

解決社労士

2020/11/19|586文字

 

<加入基準>

雇用保険や社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入基準のうち、労働時間については、実労働時間ではなくて所定労働時間が基準となります。

つまり、シフトに多く入っていて実際の労働時間が多くなっていても、雇用契約書や労働条件通知書に書いてある所定労働時間が基準に達していなければ、保険に入れないということになります。

 

<所定労働時間の見直し>

とはいえ、所定労働時間と実労働時間との食い違いが続くというのは、正しい状態ではありません。

実際の勤務に合わせて、雇用契約書を作り直すなどの対応が必要です。

 

<不明確な所定労働時間>

出勤日や勤務時間は、雇い入れにあたって雇い主が労働者に明示しておくべき労働条件の一つです。

しかし、月や週ごとに、話し合いで出勤日や勤務時間を決めることも違法ではありません。

実際、シフトを組んで勤務予定を立てている場合、基準となる出勤日数が決まっていないことがあります。

さらに、労働者が主体となって、自分の都合に合わせで出勤日を決めるというのも、何ら法令違反にはなりません。

このように所定労働時間が明確に決まっていない場合に限っては、勤務の実態を踏まえて、雇用保険や社会保険の加入を判断せざるを得ません。

社会保険については年金事務所、雇用保険についてはハローワークが相談窓口となります。

まとめて相談するのであれば、信頼できる社労士にご連絡ください。

 

解決社労士

2020/09/23|559文字

 

<一元適用事業>

労働保険(雇用保険と労災保険)の保険関係の適用や、保険料の申告・納付などの事務は、原則として、一つにまとめて処理することができます。

この原則が適用される事業を、労働保険の一元適用事業といいます。

 

<二元適用事業>

これに対して、建設業などでは、労働保険を一つにまとめて処理することがむずかしいので、保険関係の適用や保険料の申告・納付などの事務を、それぞれ別に行います。

建設業では、次の3つに分けて行います。

1.工事現場の労災保険は、工事現場の労働者の賃金総額を基に保険料を計算します。

2.本店、支店、事務所などの労災保険は、工事現場の労働者を除く賃金総額を基に保険料を計算します。

3.雇用保険は、会社全体の雇用保険の対象者の賃金総額を基に保険料を計算します。

特に建設業では、元請事業者がまとめて労災保険料を負担することになっています。

また、工事現場に複数の企業が関与していて、賃金総額を正しく把握するのが難しい場合には、元請としてその年度中に終了した工事の請負金額に労務費率を掛けて賃金総額を求めるという例外が認められています。

 

<二元適用事業に該当するもの>

•都道府県、市町村およびこれらに準ずるものの行う事業

•港湾労働法の適用される港湾における港湾運送の事業

•農林・畜産・養蚕・水産の事業

•建設の事業

 

解決社労士

2020/09/22|641文字

 

<運用変更の概要>

失業等給付のうち基本手当は、正当な理由なく自己都合により離職した場合、7日間の待期期間満了後3か月の給付制限期間は支給されませんでした。

今回の運用変更により、令和2(2020)年10月1日以降の離職者については、5年間のうち2回までの離職について、給付制限期間が2か月に短縮されました。

3回目以降の離職については、その離職から遡って5年以内に2回以上の自己都合による離職が無ければ、給付制限期間は2か月に短縮されます。

ただし、この場合、2回以上の自己都合による離職があれば、給付制限期間は3か月となります。

ここで、令和2(2020)年9月30日以前の自己都合による離職は、令和2(2020)年10月1日以降の離職についての給付制限期間に影響がありません。

 

<法改正ではない>

この変更は、雇用保険法など法令の改正によるものではなく、業務取扱要領の改定によるものです。

雇用保険法第33条は、正当な理由なく自己都合により離職した場合の給付制限期間について、「1か月以上3か月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」と定めています。

この「公共職業安定所長の定める期間」が、業務取扱要領の改定によって運用が変更されたのです。

 

<変更のポイント>

取扱が変更となったのは、正当な理由なく自己都合により離職した場合に限られます。

ですから、懲戒解雇のような、「自己の責めに帰すべき重大な理由」による解雇によって離職した場合には、従来どおり給付制限期間は3か月のまま変更がありません。

 

解決社労士

2020/08/17|1,002文字

 

退職の翌月に、会社から社会保険料の本人負担分の請求が来ることもあり、来ないこともあります。

どのように場合分けされているのでしょうか。

 

<保険料徴収の仕組み>

社会保険料は、本人負担分を給与から控除し、会社がこれに会社負担分を足して納付します。

直接の納付義務は会社にあります。

そして、保険料の納付期限は翌月末です。

たとえば、4月分の保険料の納付期限は5月末です。

これが原則ですが、土建国保のように当月末が納付期限のものもあります。

 

<退職と保険料の発生>

退職者は原則として、退職日の翌日に社会保険の資格を失います。

そして、資格喪失日の前日が属する月までの社会保険料を負担します。

ですから、月末に退職した場合には、その月の保険料を負担します。

しかし、月末以外の日に退職した場合には、前月までの保険料を負担します。

4月30日に退職した場合には、4月分の保険料を負担するのですが、4月29日に退職した場合には負担しません。

 

<給与から控除される保険料>

たとえば、給与が毎月20日締切、当月25日支払だとすると、4月に支給される給与から控除される保険料は、通常の場合3月分です。

もし、4月末退職だとすると、5月に支給される給与から、4月分の保険料が控除されます。

5月に支給される給与は、4月21日から4月30日までの給与ですから、月給の3分の1程度でしょう。

またたとえば、給与が毎月25日締切、当月末日支払だとすると、4月に支給される給与から控除される保険料は、やはり通常の場合3月分です。

もし、4月末退職だとすると、5月に支給される給与から、4月分の保険料を控除したいところですが、5月に支給される給与は、4月26日から4月30日までの給与ですから、月給の6分の1程度でしょう。

この少ない給与から、住民税や所得税などと共に社会保険料を控除するのは、ちょっと無理かもしれません。

ですから、別途退職者に請求する場合があるのです。

退職日が予めわかっている場合には、最後の給与から2か月分の保険料を控除することもあるのですが、急な退職の場合などには間に合いませんから、退職後の請求になりやすいのです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

具体的なケースについて迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

また、急な解雇は不当解雇となり、訴訟トラブルとなりやすいものです。

これについても、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/08/03|913文字

 

<基本手当日額>

8月1日(土)から雇用保険の「基本手当日額」が変更されました。

これは、毎年8月1日に行われているものです。

雇用保険の基本手当(昔の失業手当)は、労働者が離職した場合に、失業中の生活を心配することなく再就職活動できるよう支給するものです。

「基本手当日額」は、離職前の賃金を基に算出した1日当たりの支給額をいい、給付日数は離職理由や年齢などに応じて決められています。

今回の変更は、令和元年度の平均給与額が平成30年度と比べて約0.49%上昇したこと及び最低賃金日額の適用に伴うものです。

なお、平均給与額については、「毎月勤労統計調査」による毎月決まって支給する給与の平均額(再集計値として公表されているもの)を用いています。

毎月勤労統計調査のデータ提出を義務付けられた企業は負担もありますが、こうしたことで確実に役立っています。

 

<具体的な変更内容>

1 基本手当日額の最高額の引上げ

  基本手当日額の最高額は、年齢ごとに以下のようになります。

 (1) 60歳以上65歳未満  7,150円 → 7,186円(+36円)

 (2) 45歳以上60歳未満  8,330円 → 8,370円(+40円)

 (3) 30歳以上45歳未満  7,570円 → 7,605円(+35円)

 (4) 30歳未満       6,815円 → 6,850円(+35円)

2 基本手当日額の最低額の引上げ

              2,000円 → 2,059円(+59円)

 

<計算の根拠>

基本手当日額の算定基礎となる賃金日額の最高額、最低額等について、毎年度の平均給与額の変動に応じて変更していますが、これにより変更した最低額が、最低賃金日額(地域別最低賃金の全国加重平均額に20を乗じて7で除して得た額)を下回る場合は、最低賃金日額を最低額とすることとされています。〔雇用保険法第18条第3項〕

令和2年8月1日以降の基本手当日額の最低額については、最低賃金日額に、基本手当の給付率80%を乗じて計算しています。

 (計算式)

901円(令和2年4月1日時点での地域別最低賃金の全国加重平均額)×20÷7×0.8=2,059円

 

解決社労士

2020/07/28|1,108文字

 

<雇用保険の基本手当>

会社などで雇用されていた人が離職した場合、失業中の生活を心配しないで再就職活動ができるよう、一定の条件を満たせば、雇用保険の「基本手当」を受けることができます。

「基本手当」は、昔「失業手当」「失業給付」と呼ばれていたものです。

 

<基本手当をもらう原則の条件>

「基本手当」は、雇用保険の加入者(被保険者)が離職して、次の2つの条件を両方とも満たす場合に支給されます。

 

【基本手当の受給条件】

・ハローワークで求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること・離職の日以前2年間に、「被保険者期間」が通算して12か月以上あること

 

<基本手当をもらう例外の条件>

ただし、「特定受給資格者」または「特定理由離職者」については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合にもらえます。

ここで、「特定受給資格者」というのは、解雇・倒産等により離職した人をいいます。

また、「特定理由離職者」というのは、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した人などをいいます。

 

<離職の意味>

退職が「離職」に含まれるのは当然ですが、週所定労働時間が20時間未満になった場合も「離職」に含まれます。

勤務時間が少ないと、安定した雇用ではなく、転職先を考えながらの勤務が想定されるからです。

 

<被保険者期間の算定方法の変更>

基本手当をもらう条件の1つである被保険者期間については、次の算定方法が取られています。

 

【改正前】

離職日からさかのぼって、1か月ごとに区切った期間に、賃金支払の基礎となった日が11日以上ある月を1か月として計算

 

この算定方法によると、出勤日や年次有給休暇取得日のみがカウントされ、労働時間が計算の対象外となってしまいます。

そこで、令和2年8月1日以降に離職する人については、次の算定方法が取られるようになります。

 

【改正後】

離職日からさかのぼって、1か月ごとに区切った期間に、賃金支払の基礎となった日が11日以上ある月、または、賃金支払の基礎となった時間が80時間以上ある月を1か月として計算

 

<実務への影響>

離職日が令和2年8月1日以降の人について作成する離職証明書では、「(9)賃金支払基礎日数」欄や「(11)基礎日数」欄に記載する賃金支払基礎日数が10日以下の期間の「(13)備考」欄に、賃金支払の基礎となった労働時間数を記載します。

対象者が限られているだけに、忘れることがないよう注意が必要です。

 

解決社労士

2020/06/07|420文字

 

<年度更新の手続>

労働保険では、翌年度の保険料を概算で納付し、年度末に賃金総額が確定してから精算するという方法がとられています。〔労働保険徴収法第15条・第17条〕

したがって会社は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きを同時に行うことになります。

これが「年度更新」の手続です。

 

<間違いの訂正>

年度内の訂正であれば、所轄の労働基準監督署、場合によっては所轄の労働局に相談して修正申告ができます。

納めた保険料が不足していれば追納になりますし、多過ぎたのであれば還付を受けることになります。

 

<間違えた部分により>

前年度の確定保険料に間違いがあったのであれば、速やかに修正しましょう。

放置すると、誤りのまま金額が確定してしまいます。

しかし、今年度の概算保険料のみに間違いがあったのであれば差額を確認し、それほど大きな金額でなければ、次回の年度更新で自動的に精算されますので、必ずしも修正申告は必要ないと思います。

ただし、年度更新を指示した事業主や上司への報告は忘れずに。

 

解決社労士

2020/05/29|463文字

 

<原則>

個人事業の事業主と同居している親族は、事業主のもとで働いていても、原則として雇用保険に入りません。

これは、実質的に代表者の個人事業と同様と認められる法人の場合も同じです。

雇用関係にあるとは認定されないわけです。

 

<例外的に雇用保険に入る場合>

次のすべてに当てはまる場合には、雇用保険に入ることがあります。

雇用関係にあると認定されれば、雇用保険で保護する必要があるからです。

・事業主の指揮命令下で業務を行っていることが明確であること。

・その事業所の他の労働者と同じ就業実態で、賃金も他の労働者と同じ基準で支払われていること。たとえば、他の労働者と同じように、就業規則に従い勤務し管理されているような場合。

・取締役など事業主と利益を共にする地位に無いこと。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

何事にも原則と例外があって、労働関係では、その区分が必ずしも「常識」に従っていないことが多いのです。

従業員のうち誰が、社会保険、雇用保険、労災保険の対象なのか、信頼できる社労士(社会保険労務士)に確認させることをお勧めします。

 

解決社労士

2020/05/12|620文字

 

<高年齢雇用継続給付>

60歳の定年を超えて働く場合、一定の条件を満たせば、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けることができます。

高年齢雇用継続給付には、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金があります。

 

<継続して働く場合>

60歳の定年後に同じ会社でそのまま働く場合、別の会社に転職して働く場合、どちらでも雇用保険に加入しながら働くのであれば、雇用保険の加入期間(被保険者期間)が5年以上ある人の場合には、高年齢雇用継続基本給付金を受給できます。

ただし、60歳を迎えた時と比べて、給与が75%未満である月に限られます。

この給付金は、65歳を迎えるまで受給できます。

 

<失業手当を受給して>

60歳の定年を迎えて退職し、ハローワークで手続すると、雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)が受給できます。

この手当をすべて受給するのではなく、100日以上の支給日数を残して再就職し雇用保険に加入すれば、高年齢再就職給付金を受給できます。

これも、60歳を迎えた時と比べて、給与が75%未満である月に限られます。

この給付金は、1年間受給できます。

さらに、200日以上の支給日数を残して再就職し雇用保険に加入した場合には、2年間受給できます。

 

<失業手当を受給せずに>

60歳の定年を迎えて退職し、雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)を受給しないで、退職から1年以内に再就職し雇用保険に加入した場合には、高年齢雇用継続基本給付金が受給できます。

 

解決社労士

2020/05/07|948文字

 

<専門実践教育訓練給付金>

雇用保険に一定の期間入っている人、または、入っていた人が、自分で費用を負担して、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、その教育訓練に支払った経費の一部を支給する雇用保険の給付制度です。

2014(平成26)10月から従来の仕組みが拡充され、専門実践教育訓練の教育訓練給付金が新設されました。

 

<2014(平成26)年10月1日以降の受給条件>

教育訓練講座の受講開始日現在で、雇用保険に入っていた期間(被保険者期間)が10年以上あることが条件です。ただし、初めて支給を受ける場合には、当分の間、2年以上あれば大丈夫です。

受講開始日時点で雇用保険に入っていない人(一般被保険者ではない人)でも、資格を失った日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であれば対象となります。

しかし、前に給付を受けたことがある場合には、前回の教育訓練給付金受給から、今回の受講開始日前までに10年以上の期間が必要です。 

 

<給付額>

教育訓練に支払った教育訓練経費の40%に相当する額となります。

ただし、その額が1年間で32万円を超える場合の支給額は32万円(訓練期間は最大で3年間となるため、最大で96万円が上限)とし、4千円を超えない場合は支給されません。

また、専門実践教育訓練の受講を修了した後、あらかじめ定められた資格等を取得し、受講修了日の翌日から1年以内に雇用保険に加入した人、または、加入している人(一般被保険者として雇用された人、または、すでに雇用されている人)に対しては、教育訓練経費の20%に相当する額を追加して支給します。

この場合、合計で60%に相当する額が支給されることとなりますが、その額が 144万円を超える場合の支給額は144万円(訓練期間が3年の場合、2年の場合は96万円、1年の場合は48万円が上限)とし、4千円を超えない場合は支給されません。

 

<教育訓練支援給付金>

専門実践教育訓練の教育訓練給付金を受給できる人のうち、受講開始時に45歳未満で離職しているなど、一定の条件を満たす場合には、訓練受講をさらに支援するため、「教育訓練支援給付金」が支給されていました。

この教育訓練支援給付金は、2018(平成30)年度までの暫定措置でした。

 

解決社労士

2020/05/06|502文字

 

<一般教育訓練給付金>

雇用保険に一定の期間入っている人、または、入っていた人が、自分で費用を負担して、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、その教育訓練に支払った経費の一部を支給する雇用保険の給付制度です。

2014(平成26)10月から仕組が変わりましたが、一般教育訓練給付金は従来の枠組を引き継いだものです。

 

<2014(平成26)年10月1日以降の受給条件>

教育訓練講座の受講開始日現在で、雇用保険に入っていた期間(被保険者期間)が3年以上あることが条件です。

ただし、初めて支給を受ける場合には、当分の間、1年以上あれば大丈夫です。

受講開始日時点で雇用保険に入っていない人(一般被保険者ではない人)でも、資格を失った日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であれば対象となります。

しかし、前に給付を受けたことがある場合には、前回の教育訓練給付金受給から、今回の受講開始日前までに3年以上の期間が必要です。

 

<給付額>

教育訓練に支払った教育訓練経費の20%に相当する額が給付されます。

ただし、その額が10万円を超える場合は10万円とし、4千円を超えない場合は支給されません。

 

解決社労士

2020/04/23|664文字

 

<雇用保険の対象者(被保険者)とならない取締役>

法人等の代表者(会長・代表取締役社長・代表社員など)は、雇用保険の対象者(被保険者)とはなりません。

また、法人等の役員(取締役・執行役員・監査役など)についても、原則として雇用保険の対象者(被保険者)となりません。

これらの人と会社との関係は、雇用契約ではなく委任契約だからです。

 

<例外的に雇用保険の対象者(被保険者)となる場合>

役員などが同時に部長、支店長、工場長など会社の従業員としての身分を兼ねている兼務役員の場合であって、就労実態や給料支払いなどの面からみて労働者としての性格が強く、雇用関係が明確に存在している場合には、例外的に雇用保険の対象者(被保険者)となります。

この場合、ハローワークで雇用保険の対象者(被保険者)であることを反映させる手続には、就業規則、登記事項証明書、賃金台帳、などの写しの提出が必要となります。

「働いている」という実態に変わりがなくても、一般の従業員から兼務役員になった場合には、ハローワークでの手続が必要になります。

兼務役員は、従業員としての身分の部分についてのみ、雇用保険の対象者となります。

そして保険料も、役員報酬の部分は含まれず、労働者としての賃金部分のみを基準に決定されます。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

新たに取締役に就任した方がいらっしゃる場合の雇用保険の手続や、その年度の労働保険(労災保険と雇用保険)の保険料の計算は間違えやすいポイントです。

信頼できる社労士(社会保険労務士)のチェックを受けることをお勧めします。

 

解決社労士

2020/04/15|467文字

 

<昼間学生ではない場合>

学生・生徒のうち、昼間授業を受ける従業員は、原則として雇用保険の対象者にはなりません。

これらの従業員は、働いていても小遣い稼ぎであり、失業が大きな痛手にならないと推定されるからです。

これに対して、通信制の学校や夜間・定時制の学校に在籍する従業員は雇用保険に入ります。

これらの従業員は、働きながら学んでいるので、失業した場合などの給付が必要になると考えられるからです。

もちろん定時制高校の生徒すべてが、働くことを考えて入学したわけではありません。

しかし、個人的な事情を細かく分析するのは現実的ではありませんから、上記のように形式的に区分されています。

 

<昼間学生の例外>

昼間学生であっても次のような従業員は、一定の条件のもと雇用保険に加入します。

・卒業前に新卒として就職し卒業後も継続勤務する予定の従業員

・休学中の従業員(休学証明書が必要)

・従業員の身分のまま事業主了解のもと大学院などに在籍する者

勉強よりも働くことのウエイトが高く、失業が大きな痛手になると考えられる従業員が、形式的な基準で例外とされています。

 

解決社労士

2020/03/28|741文字

 

<雇用保険の届出書類>

ハローワークで雇用保険の届出を行うと、先回りして次の手続で使用する用紙を渡されます。

たとえば、新規採用の従業員が雇用保険に入った届をするために「雇用保険被保険者資格取得届」を提出すると、「雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届」という用紙を渡されます。

これは、基本的には退職して雇用保険を抜けたときに使う用紙です。

すでに氏名、生年月日、被保険者番号、事業所番号などが印字されているので、その人専用の用紙になります。

ですから、何年後に使用するかわからない用紙を、長期間保管することになります。

 

<保管上の注意点>

ハローワークでの雇用保険関係の事務処理は、全国をオンラインで結ぶ「ハローワークシステム」により、各種届出書類の内容をそのまま機械(OCR)で読み取り、即時処理を行っています。

機械で光学的に読み取る書類の性質上、次の点に注意して、大切に保管しなければなりません。

・ホチキスでとめたり、とじ穴をあけたりしない

・折り曲げない。また、角についても折り曲がらないようにする

・汚さない

・湿気の多い場所には置かない

・直射日光に当たらないようにする

 

<保管期間>

雇用保険関係の書類は、手続き完結の日から少なくとも次の期間は保管します。

被保険者(加入者)に関する書類 4年

労働保険料に関する書類 3年

その他雇用保険に関する書類 2年

 

手続について基本的なことは、所轄のハローワークで気軽に確認できます。

しかし、聞きにくいことや会社特有のことなど、じっくり相談したいことは信頼できる社労士におたずねください。

顧問の社労士がいれば、入社前から退職後まで、その会社の実情に適合した対応ができます。

手続きの代行も書類の管理も社労士の業務です。どうぞ、お気軽にご相談ください。

 

解決社労士

2020/03/26|861文字

 

<適用事業の範囲>

労働者を1人でも雇用する会社や個人事業は、その業種や事業規模に関係なく、原則としてすべて適用事業となります。

例外として、農林水産の事業のうち一部の事業は、当分の間、任意適用事業とされています。

これは暫定任意適用事業と呼ばれ、個人経営の農林水産業で、雇用している労働者が常時5人未満の事業をいいます。

ただし、農業用水供給事業、モヤシ製造業を除きます。

任意適用というのは、希望すれば適用され、希望しなければ適用されないという意味です。

暫定任意適用事業の事業主であっても、雇用する労働者の2分の1以上が加入を希望するときは、都道府県労働局長に任意加入の申請を行います。

認可されると希望しない労働者を含めて、雇用保険の対象者(被保険者)となります。

 

<雇用保険適用の単位>

雇用保険は、経営組織として独立性をもった事業所単位で適用されます。

支店や工場などでも、ある程度独立して業務を行っていれば、個々に手続きを行います。

独立性の無い支店などは、公共職業安定所長の承認を受けて本社等で一括して手続きを行うことになります。

具体的には「雇用保険事業所非該当承認申請書」を提出することになります。

これにはコツがありますので、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<労働保険の適用>

労働保険は事業を単位として適用されます。

事業の種類により、一元適用事業と二元適用事業に分かれ、加入手続きや保険料の申告・納付先が違います。

 

<一元適用事業>

労災保険の保険関係と雇用保険の保険関係を一つの事業についての労働保険関係として扱い、保険料の申告納付を一括して行います。

これが原則となります。

次の二元適用事業以外は、すべて一元適用事業となります。

 

<二元適用事業>

雇用保険の保険関係と労災保険の保険関係を別々に取り扱い、保険料の申告納付を別々に行います。

二元適用事業は次に該当するものです。

・都道府県、市町村、これらに準ずるものの行う事業

・農林水産の事業

・建設の事業

・港湾労働法の適用される港湾で港湾運送の行為を行う事業

 

解決社労士

2020/03/04|976文字

 

<少し前の法改正>

平成29(2017)11日以降、65歳以上の労働者についても、「高年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象となっています。

それまでは、「高年齢継続被保険者」となっている場合を除き適用除外でした。

「高年齢継続被保険者」というのは、65歳になった日の前日から引き続いて65歳になった日以後も雇用されている被保険者です。

「65歳になった日」は65歳の誕生日の前日ですから、「65歳になった日の前日」というのは65歳の誕生日の前々日です。

 

<新たに65歳以上の労働者を雇用した場合>

雇用保険の適用要件にあてはまる場合は、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

採用した月の翌月10日が提出期限です。

雇用保険の適用要件は、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがあることです。ただし、昼間学校に通う学生は除きます。

所定労働時間は必ず決めて、書面で労働者に通知することが、労働基準法により使用者に義務づけられています。

 

<平成28(2016)年12月末までに65歳以上の労働者を雇用し平成29(2017)年1月1日以降も継続して雇用している場合>

雇用保険の適用要件にあてはまる場合は、平成29(2017)11日から雇用保険の適用対象となっています。

事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

提出期限の特例があり、平成29(2017)331日までに提出することになっていました。

 

<平成28(2016)年12月末時点で高年齢継続被保険者である労働者を平成29(2017)年1月1日以降も継続して雇用している場合>

ハローワークへの届出は不要です。自動的に高年齢被保険者に区分が変更されます。

 

<平成29(2017)年1月1日以降に所定労働時間の変更があり適用要件にあてはまるようになった場合>

所定労働時間の変更があった月の翌月10日までに、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

所定労働時間の変更があった場合には、書面で労働者に通知することが、労働基準法により使用者に義務づけられています。

 

必要な手続きが良くわからなかったり、手続きの外注を考える場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/03/03|537文字

 

<会社からの請求>

産前産後休業や育児休業の期間は、社会保険料が免除されます。

しかし、介護休業その他の休職中の社会保険料は免除されません。

また、住民税はどの休業・休職中も免除されません。

そして、雇用保険料については、特に免除という話も無いまま、会社からは請求されません。

 

<社会保険料のしくみ>

毎年9月に、4月から6月の給与の総支給額を基に、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)が決まります。

ここで決まった保険料は、給与の大きな増減や保険料率の変更が無ければ、9月から翌年の8月まで変更がありません。

勤務日数が減って給与が減額されたり、休業・休職で給与がゼロになっても、原則として保険料は変動しません。

ただ、産前産後休業や育児休業の期間は、社会保険料が免除されます。

 

<雇用保険料のしくみ>

雇用保険料は、毎月の給与に対して、雇用保険料率を掛けて計算します。

残業手当の増減により、毎月の給与が増減した場合には、雇用保険料も増減します。

そして、給与の総支給額がゼロであれば、ゼロに保険料率を掛けるので、保険料もゼロになります。

ですから給与の支払の無い休業・休職中の雇用保険料は、支払わなくて良いのです。

特に免除でもなく、請求もれでもなく、保険料が発生しないということなのです。

 

解決社労士

2020/02/07|635文字

 

「待期期間」と「給付制限期間」とが混同されやすいようです。

 

<待期期間>

ハローワーク(公共職業安定所)に離職票の提出と求職の申込みを行った日(受給資格決定日)から通算して7日間を「待期期間」といい、その期間が満了するまでは失業手当(雇用保険の基本手当)は支給されません。

これは、離職の理由にかかわらず、一律に適用されます。

 

<給付制限>

さらに待期期間の満了後、一定の期間、雇用保険の基本手当の支給が行われない場合もあり(給付制限)、主なものとして次の理由があります。

1.離職理由による「給付制限」

客観的に正当な理由なく自己都合により退職した場合、または、労働者自身に責任がある重大な理由によって解雇された場合は、待期期間終了後、さらに3か月間の「給付制限」があります。

2.紹介拒否などによる「給付制限」

失業手当を受給できる人(受給資格者)が、公共職業安定所からの職業の紹介や指示された公共職業訓練などを客観的に正当な理由なく拒んだ場合、その拒んだ日から起算して1か月間は雇用保険の基本手当が支給されません。

また、再就職を促進するために必要な職業指導を客観的に正当な理由なく拒んだ場合にも、同様の「給付制限」があります。

 

<実際の入金>

なお、実際に雇用保険の基本手当として初めて現金が振り込まれるのは、給付制限の無い場合でも、ハローワーク(公共職業安定所)で求職の申込みをしてから約1か月後(初回認定日の約1週間後)になります。

これを前提とした生活費のやりくりが必要です。

 

解決社労士

2020/01/26|750文字

 

外国人を雇う場合に守らなければならないルールがあります。これは、外国人が在留資格の範囲内で、その能力を十分に発揮しながら、適正に就労できるようにするためのものです。

 

<ハローワークへの届出>

外国人の雇入れと離職の際には、その氏名、在留資格などをハローワークに届け出ます。〔雇用対策法第28条〕

ハローワークでは、届出に基づき、雇用環境の改善に向けて、事業主への助言や指導、離職した外国人への再就職支援を行います。

届出にあたっては、事業主が雇い入れる外国人の在留資格などを確認する必要があります。

外国人労働者の在留カードまたは旅券(パスポート)などの提示を求め、届け出る事項を確認してください。

これは、不法就労の防止につながります。

 

<届出の対象となる外国人の範囲>

届出の対象となるのは、日本の国籍を持たない人で、在留資格が「外交」「公用」以外の人です。

「特別永住者」(在日韓国・朝鮮人など)は、出入国管理及び難民認定法に定める在留資格の他、特別の法的地位が与えられているため、就職など在留活動に制限がありません。

このため、特別永住者は、外国人雇用状況の届出制度の対象外とされていますので、確認・届出の必要はありません。

 

<在留カードの番号の有効性を確認>

入国管理局ホームページで在留カードの番号の有効性を確認することができます。

「在留カード等番号失効情報照会」ページに在留カードの番号と有効期間を入力して確認します。

在留カードを偽変造したものなどが悪用されるケースも発生していますので、ご確認をお勧めします。

万一、偽変造が疑われる在留カードを発見した場合には、最寄りの地方入国管理局にお問い合わせください。

 

↓在留カード等番号失効情報照会ページ

https://lapse-immi.moj.go.jp/

 

解決社労士

2020/01/23|601文字

 

<離職理由の食い違いが発生する場合>

雇用保険では、離職理由により失業手当(求職者給付の基本手当)の給付日数に差がつきます。

離職者としては、会社側に原因のある理由のほうが有利です。

一方、会社としては会社の恥になるような理由は認めたくないですし、理由によっては助成金の申請ができなくなる可能性もあります。

こうして会社と離職者とで、主張が食い違ってしまう場合もあります。

特に離職者が、パワハラやセクハラなどを主張した場合には、起こりやすい現象です。

ここで離職というのは、退職の他、所定労働時間が週20時間未満となって雇用保険の資格を喪失し、離職票が交付される場合をいいます。

 

<離職理由の判定>

離職理由の判定にあたっては、まず会社が主張する離職理由を、公共職業安定所(ハローワーク)が離職証明書により把握します。

ついで、離職者が主張する離職理由を把握します。

さらに、それぞれの主張を確認できる客観的な資料を集めることにより、事実関係を確認します。

最終的に、離職者の住所を管轄する公共職業安定所において慎重に判定することになっています。

会社の主張のみで判定することはありません。

会社または離職者が意地を張って、それぞれの離職理由を主張しているために、離職票作成・交付の手続きが遅れることがあります。

しかし、これは無意味なことで、それぞれ真実と思う理由を記入すれば良いのです。

判定するのは公共職業安定所ですから。

 

解決社労士

22019/12/22|562文字

 

<週の労働時間が20時間未満となった場合の原則>

週20時間未満となったことにより、雇用保険の資格を喪失し離職票が発行されます。

これは、週20時間未満の仕事の場合、安定的な就業にはあたらず働きながら求職活動をすることが想定されるからです。

この場合には、失業手当(雇用保険の基本手当)を受けることができます。

ただし、受給中に働いて収入を得た場合には、ハローワークに申告して手当との調整を受けることになります。

 

<週の労働時間が20時間未満となった場合の例外>

1週間の所定労働時間が20時間以上に戻ることを前提として、臨時的一時的に1 週間の所定労働時間が20時間未満となった場合には、雇用保険の資格を喪失させません。

ただ、臨時的一時的の基準は不明確ですから、例外にあたる可能性がある場合には、所轄のハローワークでの確認が必要です。

 

 

<週の労働時間が20時間未満となった場合の例外の例外>

臨時的一時的であると思っていた労働時間の減少が安定し、臨時的一時的ではなくなったとき、または、その見込みが生じたときは、雇用保険の資格を喪失し離職票が発行されます。

 

労働時間が短縮した場合の、社会保険や雇用保険の資格喪失手続きもれは、多く聞かれます。

失敗が無いようにするには、顧問の社労士(社会保険労務士)に管理させることをお勧めします。

 

解決社労士

2019/11/09|810文字

 

<電子証明書からID・パスワードへ>

現在、電子申請するためには電子証明書が必要です。

しかし、令和2(2020)年4月以降、無料で取得可能なID・パスワード(GビズID)で電子申請が可能になります。

このID・パスワードは、4月まで待たなくても今すぐ取得可能です。

 

<GビズID>

GビズIDは、経済産業省により整備された事業者向けのサービスです。

1つのID・パスワードで、複数の行政サービスにアクセスできます。

このサービスによって、社会保険・労働保険の手続が電子申請で行うことができるようになります。

 

<GビズIDの取得>

次の手順で、GビズIDを取得します。利用者は、「法人代表者」または「個人事業主」に限られます。

1. GビズIDのホームページで「gBizIDプライム作成」のボタンをクリックします。

2. 申請書を作成します。

このとき、法人番号、代表者(氏名・生年月日)、利用者(氏名・生年月日・連絡先住所・電話番号・部署名・メールアドレス)などが必要です。

また、GビズID利用時の本人確認(ワンタイムパスワードの通知)に利用のため、SMS受信用電話番号の登録が必要です。

3. 申請書をダウンロードします。

4. 作成した申請書と印鑑証明書を「GビズID運用センター」に送付します。

5. 審査(2週間程度)を経て、メールが到着します。

6. メールに記載されたURLをクリックしてパスワードを設定します。

 

<GビズIDによる電子申請>

日本年金機構のホームページから「届書作成プログラム」を無料でダウンロードすることができます。

ただし、GビズIDに対応した「届書作成プログラム」は、令和2(2020)年4月1日に公開予定です。

現在、「届書作成プログラム」は公開されていますが、まだGビズIDには対応していません。

 

令和2(2020)年4月からの運用に先駆けて、予めGビズID(ID・パスワード)を取得しておくことをお勧めします。

 

解決社労士

2019/10/20|1,191文字

 

<雇用保険の求職者給付>

雇用保険では、労働者が失業した場合に必要な給付が行われます。

その代表は、「失業手当」と呼ばれることが多い求職者給付です。

一般にはあまり知られていませんが、この求職者給付は、仕事を辞めた時(離職時)の年齢により2種類に区分されています。

 

<65歳未満の基本手当>

離職時の年齢が65歳未満の一般の加入者(一般被保険者)は、離職時に一定の条件を満たしていれば、ハローワークで手続きすることによって、求職者給付を受けることができます。これを基本手当といいます。

一定の条件というのは、離職日前2年間に雇用保険加入期間が12か月以上あることです(離職理由によっては1年間に6か月以上の例外あり)。

この場合、離職の理由、離職時の年齢、雇用保険の加入期間(算定基礎期間)によって、所定の給付日数(90日~360日)が決まり、1日につき何円という計算で、定期的に給付を受けます(原則として4週間ごと)。

 

<65歳以上の高年齢求職者給付金>

65歳以上の加入者(高年齢被保険者)が離職した場合には、この求職者給付が一時金で支給されます。これを高年齢求職者給付金といいます。

これを受給する条件は、離職日前1年間に雇用保険加入期間が6か月以上あることです。

この場合、加入期間が1年未満なら30日、1年以上であれば50日の給付日数に相当する金額の給付金が、一括で支給されます。しかも、年金との併給ができます。

 

<循環的離職者の問題>

循環的離職者とは、「過去3年以内に3回以上同一の事業所に連続して就職し、かつ、その間に1回でも求職者給付を受けたことがある者」をいいます。

循環的離職者が、同一の事業所に就職した場合には、雇用保険の受給資格決定前から再雇用予約があったものとして、本人だけでなく事業主も共謀して不正受給したものとされる場合があります。

高年齢求職者給付金では、受給の条件が、「雇用保険加入期間が6か月」と比較的短期間であるため、こうしたことが発生しやすいといえます。

 

<法改正による問題の拡大>

雇用保険に加入している労働者は、65歳を迎えても雇用保険に加入したままです。

そして、65歳に達してから離職してしまうと、再就職しても雇用保険に加入しないというのが法改正前のルールでした。

ところが、平成29(2017)年1月1日に雇用保険法が改正され、65歳以上で再就職しても、一定の条件を満たせば雇用保険に加入するルールに変更されたのです。

これによって、以前は一生に1回しか受けられなかった高年齢求職者給付金を、何回も受けられるようになったのです。

こうして、一般の加入者に見られた循環的離職者の問題は、むしろ65歳以上の加入者について大きくなってしまいました。

 

受給資格や雇用保険への加入条件などについては、多数の例外があります。詳細はお近くのハローワークでご確認ください。

 

解決社労士 柳田 恵一

<資格喪失手続きを忘れる原因>

所定労働時間が週20時間以上であることが、雇用保険の資格を取得する条件となります。

ですから、週3日、1日6時間勤務のパート社員が、週4日勤務になれば、雇用保険に入ることになります。

このように、資格を取得するときの手続きを忘れることはあまりないでしょう。

しかし、雇用保険の資格喪失となると、雇用保険の離職=退職というイメージが強いので、退職したときだけ資格喪失を意識しがちです。

ところが、所定労働時間が週20時間未満となったときも、資格喪失手続きが要るのです。こちらは忘れやすいのです。

もう一つ、労働者と兼務していた役員が、100%役員になった場合にも、雇用保険の資格を喪失します。

今まで、給与と報酬の両方をもらっていた役員が、報酬だけになるときは要注意です。

雇用保険の資格喪失手続きを忘れられた本人にとっても、雇用保険料は社会保険料よりもはるかに安いので、給与明細書を見たときにピンと来ないと思います。

 

<本人について>

所轄のハローワークで、さかのぼって資格喪失手続きを行います。

このとき、「遅延理由書」という書類の添付を求められるかもしれませんので、事前に相談しておくことをお勧めします。

また、ご本人に給与から控除してしまった保険料の返金を行います。

念のため、計算書と領収証を作ったほうがよいでしょう。

 

<会社の負担した保険料について>

労働保険料の支払いは、毎年7月の年度更新で行います。

間に合うのなら、データを修正して余計な保険料を支払わないようにしましょう。

しかし、確定保険料を多く計算して年度更新を済ませてしまった場合には、手続きをやり直して返金してもらうのは、返金してもらう金額と必要な時間や労力を比較すると得策ではありません。

それよりは、再発防止のためにマニュアルを改善しておくことのほうを強くお勧めします。

 

2019.10.11. 解決社労士 柳田 恵一

<転籍出向の場合>

出向とはいうものの、転籍し完全に所属が移っています。

給与の支払者は出向先ですから、雇用保険は出向先で入り、雇用保険料も出向先でカウントされます。

労働環境の管理も出向先ですから、労災保険も出向先で適用され、労災保険料は出向先の負担となります。

 

<在籍出向の場合>

社籍が出向元に残ったまま、出向先で働く場合です。

給与の支払者は出向元ですから、雇用保険も出向元で入り、雇用保険料も出向元でカウントされます。

しかし、労働環境の管理は出向先ですから、労災保険も出向先で適用され、労災保険料は出向先の負担となります。

この場合、雇用保険と労災保険とで、保険料の負担者が異なることになります。

 

<不明確な場合>

「転籍出向」「在籍出向」ということばを一般とは異なる意味で使っている会社や、どちらか明確ではない場合でも、給与の支払者が雇用保険料を負担し、労働環境の管理者が労災保険料を負担すると考えればよいのです。

 

2019.09.21. 解決社労士 柳田 恵一

<手続きが必要となる理由>

国民年金や厚生年金などと同じように、失業保険(雇用保険の失業等給付)も、すでに経過した期間について給付が行われます。

つまり後払いですから、給付を受けていた方が亡くなると、もらえる給付を残したままになってしまいます。

これは、ご遺族の中の権利者が請求しなければもらえません。

 

<雇用保険法の規定>

失業等給付の支給を受けられる方が死亡した場合に、未支給分があるときは、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であって、死亡当時に生計を同じくしていた方が、自分の名義で、その未支給分を請求できます。〔雇用保険法第10条の3〕

 

<法定相続人との違い>

まず、生計を同じくしていることが条件となります。

また、優先順位が、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹となっていて、優先順位の高い人が100%受け取ります。

法定相続分のように、誰が何分の1を受け取るという考え方ではありません。

そして、同順位の人が複数いる場合、たとえば父母が受け取る場合、どちらかが請求の手続きをすれば、全額について請求したことになります。

 

<請求の手続き>

未支給の失業等給付を請求する人は、本来の受給者が亡くなってから6か月以内に、「未支給失業等給付請求書」に「雇用保険受給資格者証」等を添えて、受給の手続きをしていたハローワーク(公共職業安定所長)に提出します。

 

2019.09.15. 解決社労士 柳田 恵一

<就労請求権>

就労請求権とは、労働者が使用者に対し、実際に就労させることを請求する権利をいいます。

かつては、就労請求権を肯定する裁判例が見られました。

木南車輌製造事件(大阪地決昭23年12月14日)では、使用者は「労働契約関係が正当な状態においてある限り、労働者が適法に労務の提供したとき、これを受領する権利のみでなく、受領する義務あるものであり、正当な理由なくして恣意に受領を拒絶し、反対給付である賃金支払をなすことによって責を免れるものではない」とされました。

高北農機事件(津地裁上野支部決定昭和47年11月10日)では、「労働契約は継続的契約関係ゆえ当事者は信義則に従い給付実現に協力すべきこと、労働者は労働によって賃金を得るのみならず、それにより自信を高め人格的な成長を達成でき、不就労が長く続けば技能低下、職歴上および昇給・昇格等の待遇上の不利益、職業上の資格喪失のような結果を受けるなど」の理由から就労請求権が肯定されています。

しかし、この判例の理論は、就労請求権が一般に認められる根拠にはならず、特殊な技能を持つなど一定の条件を満たした場合のみに妥当します。

その後、労働は労働契約上の義務であって権利ではないので、就労請求権は認められないと判断される傾向が強まってきています(日本自動車振興会事件 東京地判平9年2月4日など)。

 

<就業規則に特別な定めがある場合>

就業規則に、労働者の就労請求権を認める具体的な規定があれば、労働者が給与を100%支給されつつ休業を命じられた場合であっても、使用者に対して実際に就労させることを請求できるのが原則となります。

また、大学の教員が学問研究を行うことは当然に予定されていることであり、就業規則全体の趣旨から、大学での学問研究を労働契約上の権利とする黙示の合意があるとされる場合には、就労請求権が認められる場合もあります(栴檀(せんだん)学園事件 仙台地判平9年7月15日)。

ただし研究について、大学施設を利用することが必要不可欠であるとまでは言えないケースでは、就労請求権が認められていません(四天王寺仏教大学解雇事件 大阪地裁決定昭和63年9月5日)。

 

<育児休業中の就労について>

雇用保険加入者(被保険者)に対して、育児休業期間中に支給される「育児休業給付金」があります。

この給付金は、就業している日数が各支給単位期間(1か月ごとの期間)に10日以下であること、10日を超える場合には就業している時間が80時間以下であることが支給の条件となっています。

これは、使用者側の都合、業務上の必要から、育児休業中の労働者がわずかな日数、少ない時間就労したことによって、職場復帰したものとされ、受給資格を失ってしまうことを防止するための基準です。

その就労が、臨時・一時的であって、就労後も育児休業をすることが明らかであれば、職場復帰とはせず、支給要件を満たせば支給対象となります。

しかし、育児休業中の労働者に、1か月の支給単位期間に10日まで、あるいは80時間までの就労請求権が与えられているわけではありません。

あくまでも、業務上の必要に応じて、使用者側から育児休業中の労働者に臨時・一時的な出勤を要請することがあり、労働者がこれに応じて就労した場合にも、育児休業給付金を受ける資格を失わないという、雇用保険法上の配慮に基づくものです。

したがって、育児休業給付金を受給中の労働者から、使用者に対して就労させるよう請求した場合でも、使用者側は必要なければこれを断ることができるわけです。

 

2019.09.11. 解決社労士 柳田 恵一

<派遣会社の義務>

派遣会社は、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の2の(3)に基づき、ある派遣先との間で労働者派遣契約が打ち切られたとしても、派遣先と協力しながら、派遣労働者の新たな就業先の確保を図り、それができない場合は解雇せず休業等を行って、雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当を支払うことになっています

 

<休業手当の支払>

使用者が新たな就業機会(仕事)を確保できず、「使用者の責に帰すべき事由」により休業させる場合には、使用者(派遣会社)には休業手当を支払う義務があります。〔労働基準法第26条〕

ここで「使用者の責に帰すべき事由」に当たるかどうかの判断は、派遣会社について行われます。

派遣先の事業場が、天災事変等の不可抗力によって操業できないため、派遣されている労働者をその派遣先の事業場で就業させることができない場合であっても、それが「使用者の責に帰すべき事由」に該当しないとは必ずしもいえず、派遣会社について、その労働者を他の事業場に派遣する可能性等を含めて、「使用者の責に帰すべき事由」に該当するかどうかが判断されます。

 

<雇用調整助成金>

大雨の影響に伴う経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた派遣会社が、派遣労働者の雇用維持のために休業等を実施し、休業手当を支払う場合、雇用調整助成金を活用できることがあります。

 

<雇用保険の特例措置>

令和元(2019)年8月の大雨などにより、被災地内にある派遣先が直接的な被害を受けたことに伴い、派遣先が事業を休止・廃止したために、一時的に離職を余儀なくされた人(雇用予約がある場合を含む)については、失業給付を受給できる特別措置の対象となります。

大雨の影響で、ハローワークに行けない、求職活動ができない、退職した会社と連絡が取れないなどの事情がある場合には、とりあえずハローワークに電話で相談することをお勧めします。

 

2019.09.10. 解決社労士 柳田 恵一

 

雇用保険と労災保険の保険料は、あわせて労働保険の保険料として、毎年4月1日から翌年3月31日までの保険年度を単位として計算されます。

その額は、雇用保険と労災保険のそれぞれについて、対象となる従業員に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を掛けて算定されます。

ただし、建設の事業で賃金総額を正確に算定することが困難な場合には、請負金額に労務比率を掛けて保険料を算定します。

 

<年度更新>

労働保険では、翌年度の保険料を概算で納付し、年度末に賃金総額が確定してから精算するという方法がとられています。〔労働保険徴収法第15条・第17条〕

したがって事業主は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きを同時に行うことになります。これが「年度更新」の手続きです。

また、石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金も、年度更新の際に労働保険料とあわせて申告・納付することとなっています。

 

<労働保険対象者の範囲>

労働保険の対象者ということは、労災保険の適用対象者と雇用保険の適用対象者ということになります。その範囲は重なりますが、同じではありません。

労災保険の対象者については次の点に注意しましょう。

・正社員、嘱託、契約社員、パート、アルバイト、日雇い、派遣など、名称や雇用形態にかかわらず、賃金を受けるすべての人が対象となります。

・代表権・業務執行権のある役員は対象外です。賃金ではなく報酬を受けています。

・事業主と同居している親族でも就労の実態が他の労働者と同じなら対象となります。就業規則が普通に適用されているなら対象となります。

雇用保険の対象者については次の点に注意しましょう。

・1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあれば原則として対象者です。雇い入れ通知書、労働条件通知書、雇用契約書などが基準となります。これらの書類が1つも無いのは、それ自体違法ですから注意しましょう。

・昼間に通学する学生は対象外です。

・65歳以上で新たに雇われた人は、法改正により対象者になりました。

複数の会社などで同時には雇用保険に入れません。主な賃金を受けているところで対象者となります。

両方の保険に共通の注意点としては、次のものがあります。

・代表権も業務執行権も無く、役員報酬と賃金の両方を受け取っている役員は、賃金についてのみ計算対象となります。

・派遣社員は派遣元で保険に入ります。派遣先での手続きはありません。

・出向社員は賃金を支払っている会社などで雇用保険に入り、実際に勤務している会社などで労災保険に入って、そこでの料率が適用されます。出向先の会社は、年度更新のために出向元から賃金などのデータをもらう必要があります。

 

2019.08.28. 解決社労士 柳田 恵一

<雇用保険の加入者(被保険者)>

次の要件を満たせば、会社や労働者の意思にかかわらず、雇用保険に入り被保険者となるのが原則です。

・1週間の所定労働時間が20 時間以上であること

・31日以上引き続き雇用されることが見込まれること

パート、アルバイト、契約社員、派遣社員などの雇用形態とは関係なく同じ基準です。

これらの条件は、会社から労働者に交付が義務づけられている雇用契約書、雇い入れ通知書、労働条件通知書といった書面で確認できます。

 

<雇用保険の失業手当(基本手当)>

雇用保険の基本手当とは、雇用保険の被保険者が、倒産、定年、自己都合などにより離職(退職)し、失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、再就職するために支給されるものです。

一定の要件を満たせば、給料の5割~8割程度の手当が支給されます。

また、支給される期間は、被保険者期間、年齢、離職理由、障害の有無などにより異なり、90日~360日となっています。

 

<受給に必要な要件>

そして、雇用保険の被保険者が基本手当を受給するには、次の要件を満たす必要があります。

・ハローワークに行って求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても就職できない「失業」の状態にあること。

・離職前の2年間に、11日以上働いた月が12か月以上あること。ただし、会社側の理由により離職した場合、会社側の都合またはやむを得ない理由で契約の更新がされなかった場合は、離職前1年間に11日以上働いた月が6か月以上あること。

 

<受給に必要な手続き>

失業給付の手続きは、勤めていた会社がすべてを行うものではなく、本人との共同作業となります。

会社は所轄のハローワークで、離職者の雇用保険の資格喪失手続きをします。

このとき離職証明書をハローワークに提出するのですが、これは3枚1セットで、1枚目が離職証明書(事業主控)、2枚目が離職証明書(安定所提出用)、3枚目が離職票-2となっています。

手続きをすると、ハローワークから会社に1枚目と3枚目が渡され、これとは別に離職票-1などが渡されます。

会社から離職者に離職票-1と-2を渡すのです。

離職者は、会社から渡された雇用保険被保険者証、離職票-1、-2などの必要書類を持って、本人の住所を管轄しているハローワークに行きます。

 

<加入もれの場合>

要件を満たしているのに、会社が雇用保険に加入させておらず、被保険者になっていなかったといったトラブルがしばしば起こっています。

このような場合、被保険者の要件を満たしている証拠があれば、遡って雇用保険が適用される制度があります。

具体的なことは、管轄のハローワークや社会保険労務士に相談してください。

 

2019.08.10. 解決社労士 柳田 恵一

下記の「基本手当」というのは、法改正にもかかわらず世間では「失業手当」と呼ばれているものです。

 

 厚生労働省は、8月1日(木)から雇用保険の「基本手当日額」を変更します。

 雇用保険の基本手当は、労働者が離職した場合に、失業中の生活を心配することなく再就職活動できるよう支給するものです。「基本手当日額」は、離職前の賃金を基に算出した1日当たりの支給額をいい、給付日数は離職理由や年齢などに応じて決められています。

 今回の変更は、平成30年度の平均給与額が平成29年度と比べて約0.89%上昇したことに伴うものです。なお、平均給与額については、「毎月勤労統計調査」による毎月決まって支給する給与の平均額(再集計値として公表されているもの)を用いています。具体的な変更内容は以下のとおりです。

 

【具体的な変更内容】

1 基本手当日額の最高額の引上げ

  基本手当日額の最高額は、年齢ごとに以下のようになります。

  1. 60歳以上65歳未満

          7,087円 → 7,150円(+63円)

  2. 45歳以上60歳未満

          8,260円 → 8,335円(+75円)

  3. 30歳以上45歳未満

          7,505円 → 7,570円(+65円)

  4. 30歳未満

          6,755円 → 6,815円(+60円)

 2 基本手当日額の最低額の引上げ

          1,984円 → 2,000円(+16円)

 

2019.08.01. 解決社労士 柳田 恵一

<本来の申請期限>

雇用継続給付の支給申請期限は「ハローワークの通知する支給単位期間の初日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日」とされています。〔雇用保険法施行規則〕

かつては、この期限を過ぎてしまってからハローワークの窓口に書類を提出しても、受け付けてもらえませんでした。

これは、迅速な給付を行い受給者を保護する趣旨とされていましたが、実際の手続きは会社と受給者の共同作業となることが多く、どちらかがウッカリすると提出期限を過ぎてしまい、受給できなくなるという不都合がありました。

 

<施行規則改正後>

平成27(2015)年4月に、この施行規則が改正され、期限を過ぎた場合でも2年間の消滅時効期間が経過するまでは、申請できるようになりました。

また、社会保険や労働保険の手続きでは、本来の期限を過ぎて手続きをする場合には、手続きが遅れた理由を示す「遅延理由書」という書類の添付が求められることも多いのですが、消滅時効完成前の手続きには「遅延理由書」が不要とされるのが一般です。

 

<施行規則改正の影響範囲>

雇用保険の給付金は、2年間の消滅時効期間内であれば、支給申請が可能とされましたが、この扱いは多くの給付にあてはまります。

具体的には、雇用保険の各給付のうち、就業手当、再就職手当、就業促進定着手当、常用就職支度手当、移転費、広域求職活動費、一般教育訓練に係る教育訓練給付金、専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金、教育訓練支援給付金、高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金、育児休業給付金、介護休業給付金などです。

 

<心がけたいこと>

本来の期限を過ぎても、あきらめずに申請の可能性を確認することをお勧めします。

ただ、「2年以内なら大丈夫」と考えるのではなく、同じ金額なら1日でも早く給付を受けられたほうが嬉しいのですから、手続きは速やかに行いましょう。

 

2019.08.01. 解決社労士 柳田 恵一

<失業保険から雇用保険へ>

昭和22(1947)年5月3日に日本国憲法が施行され、第27条で勤労権が保障されました。これによって、国家が国民に雇用の場を提供する責務を負ったことになります。

これを受けて、同年の12月1日に失業保険法が制定されました。この法律は、失業保険の対象者が失業した場合に、失業保険金を支給して、その生活の安定を図ることを目的としていました。

さらに、勤労権保障の充実のため昭和50(1975)年4月1日失業保険法が廃止され、代わって雇用保険法が施行されました。

 

<雇用保険の目的>

雇用保険法の第1条に、この法律の目的が掲げられています。

「雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。」

 

<雇用保険で行われる給付と事業>

雇用保険法の目的に沿って、現在では次のような給付と事業が行われています。

 

求職者給付 基本手当、技能習得手当など
就職促進給付 就業手当、再就職手当など
教育訓練給付 教育訓練給付金
雇用継続給付 高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付
雇用安定事業 助成金の支給
能力開発事業 職業訓練など

 

この中の基本手当が、昔の失業保険金(失業手当)に相当します。

いまだに「基本手当」と言うよりは、「失業手当」と言った方が通じやすい状態です。

このうち給付の保険料は、労働者と使用者が折半します。そして、事業の保険料は使用者が負担します。また、保険料の他に費用の一部を国庫が負担します。

 

2019.06.27. 解決社労士 柳田 恵一

<70歳以上になると>

社会保険のうち、厚生年金保険は70歳で脱退(資格喪失)となります。

一方、健康保険と労働保険(雇用保険・労災保険)は変更ありません。

 

<厚生年金保険>

厚生年金保険に加入する従業員が70歳になる頃、年金事務所から会社宛に郵便物が届きます。

これは、「厚生年金保険被保険者資格喪失届70歳以上被用者該当届」の用紙と、その説明書です。

70歳到達日時点の標準報酬月額相当額が、70歳到達日の前日における標準報酬月額と異なる厚生年金加入者(被保険者)である場合には、70歳到達日(誕生日の前日)から5日以内に届を提出することになります。

平成31(2019)年4月から、70歳到達日時点の標準報酬月額相当額が、70歳到達日の前日における標準報酬月額と同額である場合には、届出が不要となりました。

なお、70歳になっても老齢年金の受給資格期間を満たせないで在職中の人は、申し出てその期間を満たすまで任意加入することができます。保険料は全額本人が負担しますが、事業主が同意すれば労使折半にすることもできます。

 

<健康保険>

「老人保健法」が改正され、75歳以上の高齢者を対象にした「後期高齢者医療制度」が平成20(2008)年度に導入されました。

後期高齢者医療制度には、75歳の誕生日に加入します。

ただし、身体障害者手帳などで3級以上か4級の一部の障害に該当する場合には、65歳以上74歳以下でも各医療保険制度(国保、健保、共済等)の後期高齢者医療保険へ申請して加入することができます。

つまり一般には、70歳になっても、今までの健康保険にそのまま加入していることになります。

 

<雇用保険>

平成29(2018)年1月1日に雇用保険の適用が拡大され、年齢の上限が事実上撤廃されています。

70歳以降も、高年齢継続被保険者として雇用保険の加入が続くことになります。

なお、平成31(2019)年4月1日時点で満64歳以上にあたる従業員の雇用保険料は、令和2(2020)年3月の分まで免除されています。

 

<労災保険>

労災保険に年齢制限はありません。

ですから、一定の年齢に達したことによる手続きはありません。

 

2019.04.18.解決社労士

<報道向け発表>

毎月勤労統計調査で本来は全数調査すべきところを、一部抽出調査で行っていたことによる雇用保険等の追加給付について、厚生労働省から工程表が公表されていました。

平成31(2019)年3月12日、この工程表に基づく支払い開始について、厚生労働省が報道関係者に宛てて、現在受給している人の3月18日以降を支給対象期間とする給付については、改定後の給付額で支払いを開始することにしたと発表しました。

 

<失業手当について>

失業手当(雇用保険の基本手当)の場合、各認定日に認定される期間については、前回の認定日から今回の認定日の前日までの支給となります。

3月18日に認定日を迎える場合は、今回の認定日(3月18日)から次回認定日の前日までの給付について、次の認定日から再計算された金額での支給となります。

 

<お知らせが届かない可能性>

次の1.~4.に該当する人は、今後の追加給付にあたり、必要なお知らせが届かない可能性があります。

 

1. 2010年10月4日以前に氏名変更があった人

2. 住民票記載の住所と異なる場所に、一時的に滞在している人

3. 海外転出届を市町村に提出していることにより、住民票が除票されている人

4. 家族が雇用保険等を受給中または受給終了後に亡くなられた場合のご遺族

 

これらの状況に該当する可能性がある人については、「追加給付に係る住所情報等登録フォーム」が厚生労働省ホームページに開設されているため、このフォームを活用し、住所などの情報をご登録するよう呼びかけています。

 

<詐欺に注意!>

この件に関して、都道府県労働局、ハローワーク(公共職業安定所)、労働基準監督署、全国健康保険協会または日本年金機構から直接電話をかけたり、訪問をしたりすることはありませんので、これらをかたる電話・訪問があった場合はご注意ください。

また、これらをかたる郵便物にもご注意ください。

 

2019.03.16.解決社労士

失業により雇用保険の給付を受けていても、配偶者など健康保険加入者の扶養家族になれる場合があります。

 

<考え方の基本>

健康保険加入者(被保険者)の扶養家族(被扶養者)に認定されるには、主として、被保険者の収入によって生計を維持していることが必要です。

これは原則として、被扶養者になろうとする人(認定対象者)の生活費の半分以上を、被保険者の収入によってまかなっている状態をいいます。

この認定は、次の基準により保険者が行います。保険者名は、健康保険証に印字されています。

 

<被扶養者の範囲>

1.被保険者と同居している必要がない者

・配偶者

・子、孫および兄弟姉妹

・父母、祖父母などの直系尊属

2.被保険者と同居していることが必要な者

・上記1.以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)

・内縁関係の配偶者の父母および子(その配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

※平成28(2016)年10月1日から、法改正により兄姉も弟妹と同じ扱いになりました。

 

<収入要件の原則>

年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ

同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満

別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満

ここで「年間収入」とは、過去の収入のことではなく、被扶養者に当てはまる時点および認定された日以降の年間の収入額の見込みで考えます。

(給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下。雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下であること。

また、被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれます。

 

<収入要件の例外>

収入が扶養者(被保険者)の収入の半分以上の場合であっても、扶養者(被保険者)の年間収入を上回らないときは、保険者がその世帯の生計の状況を総合的に判断して、扶養者(被保険者)がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認めるときは被扶養者となることがあります。

 

2019.02.24.解決社労士

<支援措置と条件>

雇用されていた人が退職などで離職した場合、雇用保険に加入していて一定の条件を満たせば、就職活動期間中に基本手当(昔の失業手当)を受けることができます。

しかし、雇用保険に加入していなかった場合、受給の条件を満たさない場合、雇用保険の受給が終わっても就職先が決まらない場合などでも、就職活動期間中の生活費を支援する制度があります。

具体的には、次のような支援措置がありますが、これらはすべて就労の意思・能力がある人が対象で、ハローワーク(公共職業安定所)に求職登録を行うことが必要となります。

 

<職業訓練受講給付金>

雇用保険を受給できない人に対し、ハローワークが無料の職業訓練を支援指示し、積極的に就職支援をする制度です。

このうち、一定の条件を満たす人には、職業訓練を受講している間、「職業訓練受講手当(月額10万円)」と「通所手当(通所経路に応じた所定の金額)」の2つの手当が職業訓練受講給付金として支給されます。

ただし、月ごとに支給申請を行って、支給要件を満たす必要があります。

また、この給付金に加えて、希望により「求職者支援資金融資」(労働金庫の融資制度)を利用することができます。

貸付の上限額は、同居または生計を一にする別居の配偶者等がいる人は月10万円、それ以外の人は月5万円です。融資に当たっては、労働金庫の審査があります。

 

<住居確保給付金>

住居を失っている人、またはその恐れのある人は、一定の条件を満たせば、原則3か月間、賃貸住宅の家賃のための「住居確保給付金」の支給を受けることができます。

一定の条件を満たすことにより、最長9か月までの延長が可能です。

 

<総合支援資金の貸付>

失業等により日常生活全般に困難を抱えている人は、一定の条件を満たせば、生活福祉資金貸付制度の「総合支援資金」として、生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費の貸付を受けることができます。

 

<臨時特例つなぎ資金の貸付>

住居の無い人が、離職者を支援するための公的な給付・貸付制度を申請していて、その給付・貸付までの生活に困窮している場合に、一定の条件を満たせば、「臨時特例つなぎ資金貸付」として、上限10万円の貸付を受けることができます。

 

2019.02.22.解決社労士

<受給期間>

雇用保険の基本手当(昔の失業手当)を受けられる期間は、原則として退職などで離職した日の翌日から1年間です。

これを「受給期間」といいます。

基本手当は、受給期間中の失業している日について、所定給付日数を限度として支給されます。

例えば、雇用保険に入っていた勤続年数が、1年以上10年未満の自己都合退職者の所定給付日数は90日です。

原則として、1年間の受給期間中に90日分の基本手当が支給されることとなります。

このため、退職した後、ハローワークでの手続きが遅れた場合、所定給付日数分の基本手当がもらえなくなることがあります。

 

<期間の延長>

受給期間は、原則として1年間なのですが、出産や親族の介護、病気などにより退職し、すぐに転職できない状況で1年経った場合に、全く受給できないというのでは不合理です。

このため、本人の病気やケガ、妊娠、出産・育児、親族等の看護・介護等のために退職後引き続き30日以上職業に就くことができない状態の場合には、受給期間の満了日を最大3年間延長することができます。

 

<延長の方法>

延長の手続は、ハローワーク(公共職業安定所)で行います。

引き続き30日以上継続して職業に就くことができなくなった日の翌日以降、なるべく早く手続きをします。

遅れた場合でも、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば申請は可能です。しかし、申請が遅い場合は、受給期間延長を行っても基本手当の所定給付日数の全てを受給できない可能性があります。

手続きは「受給期間延長申請書」に「離職票」または「受給資格者証」を添付して、ハローワーク(公共職業安定所)に提出します。

ハローワークに行けない場合には、郵送や社会保険労務士に代行させて申請することもできます。

 

<定年退職者の特例>

60歳以上の定年等による退職者については、離職日の翌日から2か月以内に就職を希望しない期間(1年が限度)を申し出ることにより、その期間分が受給期間の1年に加算され、受給期間が延長されます。

この手続きは「受給期間延長申請書」と「離職票」を、ハローワークに提出することによって行います。

 

2019.02.21.解決社労士

<失業の認定の意味>

失業の認定は、基本手当(昔の失業手当)などの受給資格者に働く意思と能力があって、しかも職業に就くことができないことの認定です。

ですから、受給資格者が自ら所定の失業の認定日に公共職業安定所に行くことになります。これが原則です。

しかし、次のようなやむを得ない理由により、公共職業安定所に行くことができないときは、特別な扱いを受けることができます。

つまり、証明書を提出することによって、所定の認定日に公共職業安定所に行かなくてもやむを得ない理由がやんだ後に行けば、失業の認定を受けることができることになっています。

嘘の理由で手続きすることはできませんし、証明書を提出できないときも手続きはできません。

また、やむを得ない理由があらかじめ分かっている場合は、事前に申し出るのが原則となっています。

 

<病気やケガで行けない期間が継続して15日未満の場合>

病気やケガが良くなって、公共職業安定所に行けるようになった最初の失業の認定日に、医師などの証明書と受給資格者証を提出します。

この手続きによって、病気やケガで公共職業安定所に行けなかった認定日の認定対象期間も含めて、失業の認定を受けることができます。

 

<病気やケガで行けない期間が継続して15日以上の場合>

雇用保険の基本手当に代えて同額の傷病手当が支給されます。

このとき、傷病手当の支給日数は、基本手当の所定給付日数からすでに支給された基本手当の日数を差し引いた残りの日数となります。

また、傷病手当を受けられる人が同じ原因で、(1)健康保険の傷病手当金、(2)労災保険の休業補償給付(業務災害)、(3)労災保険の休業給付(通勤災害)を受けられるときには、傷病手当は支給されません。

 

<採用面接や採用試験で行けなかった場合>

公共職業安定所の紹介に応じて、求人企業と面接したり、採用試験を受けたりするために行けなかったときに限ります。

求人企業と面接した後の最初の認定日に公共職業安定所に行き、求人企業の面接証明書と受給資格者証を提出することによって、失業の認定を受けることができます。

求人企業の行う採用試験を受けた場合にも、これと同様の取扱いにより失業の認定を受けることができます。

 

<職業訓練で行けなかった場合>

公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受講するために、公共職業安定所に行けなかったときに限ります。

所定の失業の認定日に、代理人(通常は公共職業訓練施設等の職員)から(1)公共職業訓練等を行う施設の長の公共職業訓練等受講証明書、(2)受給資格者証、(3)失業認定申告書、(4)委任状が提出されることにより失業の認定を受けることができます。

 

<天災などで行けなかった場合>

天災その他避けることができない事故(水害、火災、地震、暴風雨雪、暴動、交通事故など)のため公共職業安定所に行けなかった場合には、事故がやんだ後の最初の失業の認定日に公共職業安定所に行き、受給資格者証と市町村長や駅長等の証明書などを提出すれば、証明書に記載された期間内の認定日の認定対象期間も含めて、失業の認定を受けることができます。

 

2019.02.17.解決社労士

<やっぱり欲しい場合>

「離職票」は、雇用保険に入っていた人が離職した際に、事業主から提出される離職証明書に基づいて、ハローワーク(公共職業安定所)から交付されるものです。

離職した人が、転職先が決まっている、結婚して仕事をするつもりがない等の理由によって、離職票の交付を希望しない場合は、離職票は交付されません。

しかし、その後事情が変わるなどして、後日離職票が必要となり、交付を希望する場合は、離職票の交付を受けることは可能です。

離職票の交付を受けようとする場合には、前に勤めていた会社に対して「離職証明書」の交付を請求し、その離職証明書を公共職業安定所に提出することによって、離職票の交付を受けることができます。

たとえ、基本手当(昔の失業手当)などを受給できる期間を過ぎていても、本人が希望すれば、前の会社は手続きに応じなければなりません。

それでも、前の会社から離職証明書の交付を受けることができない場合は、自宅近くのハローワーク(公共職業安定所)に相談することになります。

 

<なくした場合、捨てた場合>

交付された離職票をなくした場合や、要らないと思って捨てた場合でも、ハローワーク(公共職業安定所)で再交付を受けることができます。

前の会社を経由して再発行を受けることもできますが、ちょっとカッコ悪いですね。

自分でハローワークに行って手続きした方が、再発行まで速やかに対応してもらえます。

ただこの場合、手続きを行うハローワークは前の会社を管轄するハローワークになります。

手続きには、「離職票再交付申請書(雇用保険被保険者離職票再交付申請書)」が必要です。

これは、ハローワークでもらうことも、ハローワークのサイトからダウンロードすることもできます。

また、手続きの際には、運転免許証やパスポートなど写真付きの本人確認書類が必要になります。

 

2019.02.16.解決社労士

<雇用保険の基本手当>

会社などで雇用されていた人が離職した場合、失業中の生活を心配しないで再就職活動ができるよう、一定の条件を満たせば、雇用保険の「基本手当」を受けることができます。

「基本手当」は、昔「失業手当」「失業給付」と呼ばれていたものです。

 

<基本手当をもらう原則の条件>

「基本手当」は、雇用保険の加入者(被保険者)が離職して、次の2つの条件を両方とも満たす場合に支給されます。

 

【基本手当の受給条件】

・ハローワークで求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること

・離職の日以前2年間に、「被保険者期間」が通算して12か月以上あること

 

<基本手当をもらう例外の条件>

ただし、「特定受給資格者」または「特定理由離職者」については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でももらえます。

ここで、「特定受給資格者」というのは、解雇・倒産等により離職した人をいいます。

また、「特定理由離職者」というのは、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した方等をいいます。

 

<離職の意味>

退職が「離職」に含まれるのは当然ですが、週所定労働時間が20時間未満になった場合も「離職」に含まれます。

勤務時間が少ないと、安定した雇用ではなく、転職先を考えながらの勤務が想定されるからです。

 

<基本手当の受給日数>

基本手当の支給を受けることができる日数(基本手当の所定給付日数)は、年齢、雇用保険の加入者(被保険者)であった期間や離職理由などによって、90日~360日の間で決定されます。

基本手当の1日当たりの額(基本手当日額)は、離職日の直前の6か月の賃金日額(賞与等は含みません)の50%~80%(60~64歳については45~80%)です(上限額あり)。

 

<受給のための手続き>

雇用保険の「基本手当」を受けるためには、ハローワークで所定の手続きをする必要があります。

特に、退職ではなく勤務時間の減少によって「離職」した人は、手続きを忘れていることがありますので注意しましょう。

 

2019.02.14.解決社労士

<雇用継続給付>

雇用継続給付とは、職業生活の円滑な継続を援助、促進することを目的とし、「高年齢雇用継続給付」、「育児休業給付」、「介護休業給付」が支給されるものです。

・高年齢雇用継続給付 ― 60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の雇用保険加入者(正しくは被保険者)に支給されます。・育児休業給付 ― 育児休業を取得した被保険者に支給されます。

・介護休業給付 ― 介護休業を取得した被保険者に支給されます。

※支給には、それぞれ一定の条件があります。

 

<手続きの変更>

従来は、それぞれの申請書に雇用保険被保険者の署名・押印が必要でした。

平成30(2018)年10月1日に、雇用保険法施行規則の⼀部を改正する省令が施行され、その申請内容等を事業主等が被保険者に確認し、被保険者と合意のもと「記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書」を作成して保存することで、申請書への被保険者の署名・押印を省略することができるようになりました。なお、保存期間は手続き完結の日から4年間です。

この手続きが認められる要件は、事業主が被保険者に対して同意書を提出させて、これを事業主が保存していることです。原則として、ハローワークに同意書を提出する必要はありません。

申請書の申請者氏名(印)の欄や、賃金証明書の確認印又は自筆による署名の欄には、「申請について同意済」と記載してください。電子申請も同様です。

 

<手続き簡素化のメリット>

雇用継続給付は、2か月に1回の申請により継続的に給付を受けるものです。

そのため、手続きのたびに受給する被保険者の署名を求めることになります。

高年齢雇用継続給付受給者の署名を求めるのは、受給者が手続き担当者の近くで勤務していれば比較的簡単です。

しかし、遠方の店舗などで勤務している場合には、郵送でのやり取りになるなど、手間がかかる他、ハローワークへの提出期限に間に合うかの心配があります。

また育児休業給付は、休業中の受給者とのやり取りになりますので、やはり同様のことが言えます。

今回の手続きによって、このような不便が解消されたわけです。

ただし、被保険者が合意しなければ、従来の方法で手続きすることになります。

 

2018.10.16.解決社労士

 

次の2つの場合について比較してみましょう。

A : 1つの会社で週40時間働いて約40万円の月給を得る場合

B : 2つの会社で、それぞれ週約20時間働いて、それぞれ約20万円の月給を得る場合

 

<年金保険>

Aの場合には、厚生年金に加入し、厚生年金保険料が給与から控除されます。扶養している配偶者について、保険料を負担せず国民年金に加入できます(第三号被保険者)。

Bの場合には、原則として厚生年金には加入せず、自分で手続きをして国民年金に加入します。扶養している配偶者も、国民年金に加入し保険料を負担します。

将来老齢年金を受け取る場合には、厚生年金の方が有利ですし、これは障害年金や遺族年金でも同様です。

 

例外的にBの場合で、片方の会社が特定適用事業所の場合には、その会社で厚生年金に入ります。特定適用事業所には、任意特定適用事業所が含まれます。

保険料は、その会社の給与や賞与が基準となり、将来受ける年金も保険料に見合ったものとなります。

 

さらに、Bの場合で、両方の会社が特定適用事業所の場合には、両方の会社で厚生年金に入ります。

この場合、「健康保険・厚生年金保険所属選択・二以上事業所勤務届」という書類をメインとなる会社の所轄年金事務所に提出します。

大雑把に言うと、両方の会社の給与を合算して保険料の総額を確定し、各会社の給与の額に応じて按分した金額が、それぞれの会社の保険料となります。

ですから、2つの会社が連動して手続きを行うことになります。

 

<健康保険>

健康保険への加入については、厚生年金への加入とほぼ同様のことがいえます。

Bの場合に、健康保険に入らなければ、たとえばプライベートの傷病で会社を長期間休業しても傷病手当金がもらえません。

片方の会社だけで健康保険に入った場合には、その会社の月給に見合った傷病手当金しかもらえません。

 

<雇用保険>

週20時間以上の勤務の場合に雇用保険に加入します。

しかし、Bの場合のように2つの会社で勤務し、どちらも週20時間以上の勤務であっても、メインの会社の方だけ雇用保険に入ります。

もし、その会社を辞めたら、もう片方の会社で雇用保険に入ります。片方の会社だけ辞めても失業の状態にはなりませんから、失業手当(求職者給付の基本手当)はもらえません。

 

<労災保険>

Bのように、2つの会社で勤務する場合には、どちらの会社での労働災害についても労災保険が適用されます。

ただし、労災事故が発生した側の会社についてのみ給付が行われます。

たとえば、休業した期間の賃金の補償については、その会社の給与のみが基準となります。

 

<結論として>

Bの方が、保険料の負担が少ない分だけ、手取りが増えるケースもあります。

しかし、万一の場合の補償や将来のことを考えると、Aの方が安心といえるでしょう。

 

2018.10.12.解決社労士

<高年齢雇用継続給付>

60歳から65歳になるまでの雇用保険加入者(被保険者)を対象とする、高年齢雇用継続給付という給付があります。

老齢基礎年金の支給が65歳からですので、期間限定の給付となっているわけです。

 60歳の時点と比べて、賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける高齢者に支給される給付です。

支給対象月ごとに、その月に支払われた賃金の低下率に応じて、最高で賃金の15%が支給されます。

高齢者の就業意欲を維持、喚起して、65歳までの雇用の継続を援助、促進することが目的とされています。

 

<給付を受ける条件>

雇用保険の加入者(被保険者)であって、60歳になったとき被保険者期間が5年以上であることが必要です。

ただし、失業手当(基本手当)を受給したことがある方は、受給後の期間だけで計算します。

また、60歳になったときに5年未満であっても、その後5年に達すれば、その時から対象者となります。

失業手当(基本手当)を受給した後、60歳以後に再就職した場合に給付を受けるには、再就職の前日までの期間で失業手当(基本手当)の支給残日数が100日以上あること、安定した職業に就くことによって雇用保険の被保険者となったことが必要です。

 

<受給手続き> 

会社と対象者とで、協力して書類を準備します。提出先は、会社所轄のハローワークです。

必要書類の中に、離職票によく似たものがあり、「60歳に達した日」の欄は誕生日の前日を記入します。〔年齢計算ニ関スル法律〕

この誕生日と1日ずれているのが曲者で、対象者の方が書類を記入する際に、修正のうえ訂正印を捺してくださるという失敗がありがちです。

あらかじめ、誕生日の前日に1歳増えるということを説明しておきましょう。

 

2018.08.02.解決社労士

<役員が雇用保険の対象者(被保険者)となる場合>

役員などが同時に部長、支店長、工場長など会社の従業員としての身分を兼ねている兼務役員の場合であって、就労実態や給料支払いなどの面からみて労働者としての性格が強く、雇用関係が明確に存在している場合には、例外的に雇用保険の対象者(被保険者)となります。

この場合、ハローワークで雇用保険の対象者(被保険者)とするときの手続きには、就業規則、登記事項証明書、賃金台帳、などの提出が必要となります。

「働いている」という実態に変わりがなくても、一般の従業員から兼務役員になった場合には、ハローワークでの手続きが必要になります。

兼務役員は、従業員としての身分の部分についてのみ、雇用保険の対象者となります。そして保険料も、役員報酬の部分は含まれず、労働者としての賃金部分のみを基準に決定されます。

このことから、役員報酬と賃金とが明確に区別できる状態であることも必要です。

 

<雇用保険の対象者(被保険者)ではなくなる場合>

法人等の代表者(会長・代表取締役社長・代表社員など)は、雇用保険の対象者(被保険者)とはなりません。

また、法人等の役員(取締役・執行役員・監査役など)についても、原則として雇用保険の対象者(被保険者)となりません。

これらの人と会社との関係は、雇用ではなく委任だからです。

従来、兼務役員として雇用保険の対象者(被保険者)であった方が、就労実態や給料支払いなどの面からみて労働者としての性格が弱くなり、雇用関係が存在しているとはいえなくなった場合には、雇用保険の資格を喪失することになります。

 

2018.07.25.解決社労士

ここでは、一般の事業(継続事業)について説明しています。建設業など(一括有期事業)は労災保険料の仕組みが違います。

 

<労働保険の保険料>

雇用保険と労災保険の保険料は、合わせて労働保険の保険料として、毎年4月1日から翌年3月31日までの保険年度を単位として計算されます。

その額は、雇用保険と労災保険のそれぞれについて、対象となる従業員に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を掛けて算定されます。

労災保険料は、全額会社負担ですから従業員は負担しません。

雇用保険料は、会社の方が従業員よりも多く負担します。

 

<保険料の計算で間違えやすいポイント>

保険料の基準となる賃金は、毎年4月1日から翌年3月31日までの保険年度中に賃金計算の締日があるものが対象となります。勤務の期間や支払日ではなく、締日が基準ということです。

最も間違えやすいのは、雇用保険の対象者、労災保険の対象者の確定です。

取締役は、どちらも対象外であることが多いのですが、労働者の立場を兼ね備えている場合には対象となるケースもあります。この場合に、保険料の計算基礎となるのは、役員報酬を除く労働者としての賃金部分に限られます。

別の会社から出向してきている人は、働いている会社で労災保険料だけを負担します。

学生の場合、定時制や通信制の学校であれば雇用保険の対象になります。

他にも、雇用保険の保険料が免除される人がいたり、労災保険料の割引があったりと複雑です。

 

<年度更新とは>

労働保険では、翌年度の保険料を概算で納付し、年度末に賃金総額が確定してから精算するという方法がとられています。〔労働保険徴収法15条・17条〕

したがって会社は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きを同時に行うことになります。これが「年度更新」の手続きです。

この年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければなりません。〔労働保険徴収法19条〕

保険料の支払期限も7月10日です。この日までに納付しない場合には、会社あてに督促状が届きます。督促状には、発送日から10日後が最終支払期限として表示されています。この期限を過ぎてしまうと、7月10日にさかのぼって遅延利息が発生します。

また手続きが遅れますと、政府に保険料の額を決定され、さらに追徴金10%を課されることもあります。〔労働保険徴収法21条・25条〕

1年間の賃金が確定してから準備を始めると余裕が無くなりますので、最後の1か月の賃金を加えれば確定できるという状態にまで、先に準備しておくことをお勧めします。

 

2018.07.12.解決社労士

<誕生日の前日に1歳年をとる>

「年齢計算ニ関スル法律」という古い法律に次の規定があります。

 

年齢は出生の日より之を起算す

民法第143条の規定は年齢の計算に之を準用す

 

つまり、誕生日の前日の「午後12時」(2400秒)に年をとります。

「前日午後12時」と「当日午前0時」は、時刻としては同じですが日付は違うという理屈です。

学校でも、42日生まれから翌年41日生まれまでを1学年としています。41日から翌年331日までの間に○歳になる生徒の集団ということです。

おそらく「誕生日に年をとる」だと、229日生まれの人は、4年に1回しか年をとらないので不都合だからでしょう。

2月29日生まれの人は、前日の228日に年をとることにして、救済しているのだと思います。

 

<就業規則にある定年の規定>

会社の就業規則で、「65歳の誕生日が属する月の月末をもって定年とする」なら勘違いは無いのですが、「65歳に達した日の属する月の月末をもって定年とする」だと、毎月1日生まれの人の定年退職日を間違えてしまいやすいのです。

たとえば、41日生まれの人の場合、前者の規定なら4月末で定年、後者の規定なら3月末で定年です。

間違った運用を長く続けているのなら、就業規則の方を改定しましょう。

 

<保険年齢という考え方>

満年齢で計算したうえで、1年未満の端数については6か月以下のものは切り捨て6か月を超えるものは切り上げて計算する方式があります。端数についての「67入」です。

たとえば、299か月の保険加入者(被保険者)は30歳として取り扱われるわけです。

これは、保険年齢方式と呼ばれ、健康診断でも健診機関によっては個人の問診票にこの年齢が記載されます。

従業員から「私の年齢が1歳多い」というクレームが出ることもあります。

こうした場合には、健康診断のお知らせの中に保険年齢の説明を加えておくことをお勧めします。

 

2018.07.11.解決社労士

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