雇用保険の記事

<再就職手当とは>

雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)の受給資格の決定を受けた人が、早期に安定した職業に就いた場合に支給されます。

早期に安定した職業に就いた場合」には、自分で事業を開始した場合を含みます。

失業手当(求職者給付の基本手当)を受給していると、「手当をすべてもらい終わってから再就職した方が得」という気持ちになりがちです。

しかし、これでは失業手当が再就職を妨げていることになります。

そこで、再就職手当の制度により、再就職を促進しようというものです。

 

<再就職手当の額>

 

所定給付日数を3分の2以上残して再就職した場合

支給額 = 基本手当日額 × 失業保険の支給残日数 × 70%

 

所定給付日数を3分の1以上残して再就職した場合

支給額 = 基本手当日額 × 失業保険の支給残日数 × 60%

 

早く再就職したほうが、給付率が高いわけです。

 

<受給の条件で注意すること>

受給のためには、次のような条件のすべてを満たすことが必要です。

かなり多いのですが、赤文字のところは特に注意が必要です。

・ハローワークで受給手続きをした後、7日間の待期期間満了後に就職(事業開始)したこと。

・再就職の前日までで、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること。

・離職前の事業主に再び雇われたものではないこと。離職した事業所と密接に関連する事業所への再就職ではないこと。

・失業手当(求職者給付の基本手当)の手続きをする前に雇われることが約束されていないこと。

・給付制限期間がある場合には、期間が開始してから1か月以内の再就職の場合は、ハローワークなどの紹介で就職したこと。

・過去3年以内の就職について、再就職手当をもらっていないこと。

・1年を超えて勤務することが確実であること。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

再就職手当支給申請書は、再就職から1か月以内に所轄のハローワークに提出することになっています。

再就職先の会社は、必要書類の事業主記入欄に記入し、添付書類と共に新規採用者に渡すのですが、これを速やかに行う必要があります。

その一方で、受給の条件を満たしていない人に、条件を満たしているような書類を渡してしまうのは違法受給への加担となってしまいます。

迷うところがあれば、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

 

2017.09.20.解決社労士

<加入基準>

雇用保険や社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入基準のうち、労働時間については、実労働時間ではなくて所定労働時間が基準となります。

つまり、シフトに多く入っていて実際の労働時間が多くなっていても、雇用契約書や労働条件通知書に書いてある所定労働時間が基準に達していなければ、保険に入れないということになります。

 

<所定労働時間の見直し>

とはいえ、所定労働時間と実労働時間との食い違いが続くというのは、正しい状態ではありません。

従業員から会社の責任者などに「約束通りにシフトに入れてください」と言うか、「実際の勤務に合わせて雇用契約書を作り直してください」と言うべきです。

 

<所定労働時間が無い?>

出勤日や勤務時間は、雇い入れにあたって雇い主が労働者に明示しておくべき労働条件の一つです。

しかし、月や週ごとに、話し合いで出勤日や勤務時間を決めることも違法ではありません。

実際、シフトを組んで勤務予定を立てている場合、基準となる出勤日数が決まっていないことがあります。

さらに、労働者が主体となって、自分の都合に合わせで出勤日を決めるというのも、何ら法令違反にはなりません。

このように所定労働時間が明確に決まっていない場合に限っては、勤務の実態を踏まえて、雇用保険や社会保険の加入を判断せざるを得ません。

社会保険については年金事務所、雇用保険についてはハローワークが相談窓口となります。

まとめて相談するのであれば、信頼できる社労士にご連絡ください。

 

2017.06.24.解決社労士

<一元適用事業>

労働保険(雇用保険と労災保険)の保険関係の適用や、保険料の申告・納付などの事務は、原則として、一つにまとめて処理することができます。

この原則が適用される事業を、労働保険の一元適用事業といいます。

 

<二元適用事業>

これに対して、建設業などでは、労働保険を一つにまとめて処理することがむずかしいので、保険関係の適用や保険料の申告・納付などの事務を、それぞれ別に行います。

建設業では、次の3つに分けて行います。

1.工事現場の労災保険は、工事現場の労働者の賃金総額をもとに保険料を計算します。

2.本店、支店、事務所などの労災保険は、工事現場の労働者を除く賃金総額をもとに保険料を計算します。

3.雇用保険は、会社全体の雇用保険の対象者の賃金総額をもとに保険料を計算します。

特に建設業では、元請事業者がまとめて労災保険料を負担することになっています。

また、工事現場に複数の企業が関与していて、賃金総額を正しく把握するのが難しい場合には、元請としてその年度中に終了した工事の請負金額に労務費率を掛けて賃金総額を求めるという例外が認められています。

 

<二元適用事業に該当するもの>

•都道府県、市町村およびこれらに準ずるものの行う事業

•港湾労働法の適用される港湾における港湾運送の事業

•農林・畜産・養蚕・水産の事業

•建設の事業

 

2017.05.05.解決社労士

<法改正への対応>

可決されるずっと前から、法案は公表されています。施行されてから対応したのでは、ライバル会社に水を開けられてしまいます。

また、施行日がだいぶ先であっても油断はできません。法改正に対応するために、長い期間が必要であることを示唆している場合もあります。

法改正に対して、どの時点で、どこまで対応が必要かは、会社によっても違います。無駄を省いて効率よく対応するには、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

なお、今回の改正に限定した場合、ブラック企業やブラック求人を出す企業を除けば、対応が必要なのは平成29101日施行の育児休業再延長への対応だけでしょう。

 

<平成2941日施行>

・リーマンショック時に創設した暫定措置を終了する一方で、雇用情勢が悪い地域に居住する者の給付日数を60日延長する暫定措置を5年間実施する。また、災害により離職した者の給付日数を原則60日(最大120日)延長できることとする。

・雇止めされた有期雇用労働者の所定給付日数を倒産・解雇等並みにする暫定措置を5年間実施する。

・倒産・解雇等により離職した3045歳未満の者の所定給付日数を引き上げる。(3035歳未満:90日→120日、3545歳未満:90日→150日)

・保険料率及び国庫負担率について、3年間(平成2931年度)、時限的に引き下げる。(保険料率0.8%→0.6% 国庫負担率(基本手当の場合) 13.75%(本来負担すべき額(1/4)55%)→2.5%(同10%))

・ハローワークでも、職業紹介事業者に関する情報を提供する。(以前はハローワークにおける新卒者向け求人のみ)

 

<平成2981日施行>

・基本手当(いわゆる失業手当)等の算定に用いる賃金日額について、直近の賃金分布等を基に、上・下限額等の引上げを行う。

 

<平成2910月1日施行>

・原則1歳までである育児休業を6か月延長しても保育所に入れない場合等に限り、更に6か月(2歳まで)の再延長を可能にする。これに合わせ、育児休業給付の支給期間を延長する。

 

<平成30年1月1日施行>

・専門実践教育訓練給付の給付率を、費用の最大70%に引き上げる。(最大60%→70%)

・移転費の支給対象に、職業紹介事業者(ハローワークとの連携に適さないものは除く。)等の紹介により就職する者を追加する。

・求人者について、虚偽の求人申込みを罰則の対象とする。また、勧告(従わない場合は公表)など指導監督の規定を整備する。

・募集情報等提供事業(求人情報サイト、求人情報誌等)について、募集情報の適正化等のために講ずべき措置を指針(大臣告示)で定めることとするとともに、指導監督の規定を整備する。

・求人者・募集者について、採用時の条件があらかじめ示した条件と異なる場合等に、その内容を求職者に明示することを義務付ける。

 

<公布から3年以内>

・ハローワークや職業紹介事業者等の全ての求人を対象に、一定の労働関係法令違反を繰り返す求人者等の求人を受理しないことを可能とする。

 

2017.04.06.解決社労士

<2年連続の引き下げ>

雇用保険の財政状況などを踏まえて、雇用保険料率が引き下げられました。

【平成29年度の雇用保険料率】

 

雇用保険料率

事業主負担

労働者負担

一般の事業

0.9%

0.6%

0.3%

(平成28年度)

1.1%

0.7%

0.4%

(平成27年度)

1.35%

0.85%

0.5%

農林水産・清酒製造の事業

1.1%

0.7%

0.4%

(平成28年度)

1.3%

0.8%

0.5%

(平成27年度)

1.55%

0.95%

0.6%

建設の事業

1.2%

0.8%

0.4%

(平成28年度)

1.4%

0.9%

0.5%

(平成27年度)

1.65%

1.05%

0.6%

保険料率が引き下げられたと言っても、労働者が給与から天引きされる保険料は、総支給額10万円につき100円の差ですから、ピンと来ないかもしれません。

ところで、いつも雇用情勢が回復すると保険料率が引き下げられ、その後、雇用情勢が悪化すると充分な給付ができなくなっているように思われます。状況の良い時に資金をプールしておいて、失業者が増えたときに使えると安心ですね。

 

<給与明細書で確認を>

4月分の雇用保険料は、通常5月に支給される給与から控除されます。

保険料は、定額ではなくて、総支給額に応じて定率で計算されます。

総支給額が20万円の場合、平成27年度は1,000円、平成28年度は800円、平成29年度は600円が給与から控除されています。

給与計算業務を外部に委託している場合、社労士(社会保険労務士)なら安心ですが、法改正に鈍感な委託先だと、料率の引き下げが反映されていない恐れがあります。

 

<経理・財務部門への影響>

給与計算部門だけでなく、会社の予算を管理している部門へも、料率変更の情報が伝わらないと困ります。

雇用保険料は、事業主負担分も変更されていますから、予算の中の法定福利費も変更する必要があるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労災保険料率や雇用保険料率が変更になった場合、7月に労働基準監督署に提出する労働保険料の年度更新は、特に注意が必要です。

念のため、信頼できる社労士にチェックさせることをお勧めします。

 

2017.04.05.解決社労士

<疑問点>

退職の翌月に、会社から保険料の本人負担分の請求が来ることもあり、来ないこともあります。どのように場合分けされているのでしょうか。

 

<保険料徴収の仕組み>

社会保険料は、本人負担分を給与から控除し、会社がこれに会社負担分を足して納付します。直接の納付義務は会社にあります。

そして、保険料の納付期限は翌月末です。4月分の保険料の納付期限は5月末です。

 

<退職と保険料の発生>

退職者は原則として、退職日の翌日に社会保険の資格を失います。そして、資格喪失日の前日が属する月までの社会保険料を負担します。

ですから、月末に退職した場合には、その月の保険料を負担します。しかし、月末以外の日に退職した場合には、前月までの保険料を負担します。

4月30日に退職の場合には、4月分の保険料を負担するのですが、4月12日に退職の場合には負担しません。

 

<給与から控除される保険料>

たとえば、給与が毎月20日締め切り、当月25日支払いだとすると、4月に支給される給与から控除される保険料は、通常の場合3月分です。もし、4月末退職だとすると、5月に支給される給与から、4月分の保険料が控除されます。5月に支給される給与は、4月21日から4月30日までの給与ですから、月給の3分の1程度でしょう。

またたとえば、給与が毎月25日締め切り、当月末日支払いだとすると、4月に支給される給与から控除される保険料は、やはり通常の場合3月分です。もし、4月末退職だとすると、5月に支給される給与から、4月分の保険料を控除したいところですが、5月に支給される給与は、4月26日から4月30日までの給与ですから、月給の6分の1程度でしょう。この少ない給与から、住民税や所得税などと共に社会保険料を控除するのは、ちょっと無理かもしれません。ですから、別途退職者に請求する場合があるのです。

退職日が予めわかっている場合には、最後の給与から2か月分の保険料を控除することもあるのですが、急な解雇の場合などには間に合いませんから、退職後の請求になりやすいのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

具体的なケースについて迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

また、急な解雇は不当解雇であることが多いものです。この点についても、迷ったら信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.04.解決社労士

<年度更新とは?>

労働保険では、翌年度の保険料を概算で納付し、年度末に賃金総額が確定してから精算するという方法がとられています。〔労働保険徴収法15条・17条〕

したがって会社は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きを同時に行うことになります。これが「年度更新」の手続きです。

 

<間違いの訂正は?>

年度内の訂正であれば、所轄の労働基準監督署、場合によっては所轄の労働局に相談して修正申告ができます。

納めた保険料が不足していれば追納になりますし、多過ぎたのであれば還付を受けることになります。

 

<間違えた場所により>

前年度の確定保険料に間違いがあったのであれば、速やかに修正しましょう。放置すると金額が確定してしまいます。

しかし、今年度の概算保険料のみに間違いがあったのであれば差額を確認し、それほど大きな金額でなければ、次回の年度更新で自動的に精算されますので、必ずしも修正申告は必要ないと思います。

ただし、年度更新を指示した事業主や上司への報告は忘れずに。

 

2017.02.08.解決社労士

<原則>

個人事業の事業主と同居している親族は、事業主のもとで働いていても、原則として雇用保険に入りません。

これは、実質的に代表者の個人事業と同様と認められる法人の場合も同じです。

雇用関係にあるとは認定されないわけです。

 

<例外的に雇用保険に入る場合>

次のすべてに当てはまる場合には、雇用保険に入ることがあります。雇用関係にあると認定されれば、雇用保険で保護する必要があるからです。

・事業主の指揮命令下で業務を行っていることが明確であること。

・その事業所の他の労働者と同じ就業実態で、賃金も他の労働者と同じ基準で支払われていること。たとえば、他の労働者と同じように、就業規則に従い勤務し管理されているような場合。

・取締役など事業主と利益を共にする地位に無いこと。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

何事にも原則と例外があって、労働関係では、その区分が必ずしも「常識」に従っていないことが多いのです。

従業員のうち誰が、社会保険、雇用保険、労災保険の対象なのか、信頼できる社労士(社会保険労務士)に確認させることをお勧めします。

 

2017.01.31.解決社労士

<専門実践教育訓練給付金>

雇用保険に一定の期間入っている人、または、入っていた人が、自分で費用を負担して、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、その教育訓練に支払った経費の一部を支給する雇用保険の給付制度です。

平成2610月から従来の仕組みが拡充され、専門実践教育訓練の教育訓練給付金が新設されました。

 

<平成26101日以降の受給条件>

教育訓練講座の受講開始日現在で、雇用保険に入っていた期間(被保険者期間)が10年以上あることが条件です。ただし、初めて支給を受ける場合には、当分の間、2年以上あれば大丈夫です。

受講開始日時点で雇用保険に入っていない人(一般被保険者ではない人)でも、資格を失った日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であれば対象となります。

しかし、前に給付を受けたことがある場合には、前回の教育訓練給付金受給から、今回の受講開始日前までに10年以上の期間が無ければなりません。

 

<給付額>

教育訓練に支払った教育訓練経費の40%に相当する額となります。

ただし、その額が1年間で32万円を超える場合の支給額は32万円(訓練期間は最大で3年間となるため、最大で96万円が上限)とし、4千円を超えない場合は支給されません。

また、専門実践教育訓練の受講を修了した後、あらかじめ定められた資格等を取得し、受講修了日の翌日から1年以内に雇用保険に加入した人、または、加入している人(一般被保険者として雇用された人、または、すでに雇用されている人)に対しては、教育訓練経費の20%に相当する額を追加して支給します。

この場合、合計で60%に相当する額が支給されることとなりますが、その額が 144万円を超える場合の支給額は144万円(訓練期間が3年の場合、2年の場合は96万円、1年の場合は48万円が上限)とし、4千円を超えない場合は支給されません。

 

<教育訓練支援給付金>

専門実践教育訓練の教育訓練給付金を受給できる人のうち、受講開始時に45歳未満で離職しているなど、一定の条件を満たす場合には、訓練受講をさらに支援するため、「教育訓練支援給付金」が支給されます。

この教育訓練支援給付金は、平成30年度までの暫定措置です。

 

2017.01.13.解決社労士

<一般教育訓練給付金>

雇用保険に一定の期間入っている人、または、入っていた人が、自分で費用を負担して、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、その教育訓練に支払った経費の一部を支給する雇用保険の給付制度です。

平成2610月から仕組みが変わりましたが、一般教育訓練給付金は従来の枠組みを引き継いだものです。

 

<平成26101日以降の受給条件>

教育訓練講座の受講開始日現在で、雇用保険に入っていた期間(被保険者期間)が3年以上あることが条件です。ただし、初めて支給を受ける場合には、当分の間、1年以上あれば大丈夫です。

受講開始日時点で雇用保険に入っていない人(一般被保険者ではない人)でも、資格を失った日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であれば対象となります。

しかし、前に給付を受けたことがある場合には、前回の教育訓練給付金受給から、今回の受講開始日前までに3年以上の期間が無ければなりません。

 

<給付額>

教育訓練に支払った教育訓練経費の20%に相当する額となります。

ただし、その額が10万円を超える場合は10万円とし、4千円を超えない場合は支給されません。

 

2017.01.12.解決社労士

<雇用保険の対象者(被保険者)とならない取締役>

法人等の代表者(会長・代表取締役社長・代表社員など)は、雇用保険の対象者(被保険者)とはなりません。

また、法人等の役員(取締役・執行役員・監査役など)についても、原則として雇用保険の対象者(被保険者)となりません。

これらの人と会社との関係は、雇用ではなく委任だからです。

 

<例外的に雇用保険の対象者(被保険者)となる場合>

役員などが同時に部長、支店長、工場長など会社の従業員としての身分を兼ねている兼務役員の場合であって、就労実態や給料支払いなどの面からみて労働者としての性格が強く、雇用関係が明確に存在している場合には、例外的に雇用保険の対象者(被保険者)となります。

この場合、ハローワークで雇用保険の対象者(被保険者)とするときの手続きには、就業規則、登記事項証明書、賃金台帳、などの提出が必要となります。

「働いている」という実態に変わりがなくても、一般の従業員から兼務役員になった場合には、ハローワークでの手続きが必要になります。

兼務役員は、従業員としての身分の部分についてのみ、雇用保険の対象者となります。そして保険料も、役員報酬の部分は含まれず、労働者としての賃金部分のみを基準に決定されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

新たに取締役に就任した方がいらっしゃる場合の雇用保険の手続きや、その年度の労働保険(労災保険と雇用保険)の保険料の計算は間違えやすいポイントです。

信頼できる社労士(社会保険労務士)のチェックを受けるようお勧めします。

 

2016.12.31.解決社労士

<昼間学生ではない場合>

学生・生徒のうち、昼間授業を受ける従業員は、原則として雇用保険の対象者にはなりません。これらの従業員は、働いていても小遣い稼ぎであり、失業が大きな痛手にならないと推定されるからです。

これに対して、通信制の学校や夜間・定時制の学校に在籍する従業員は雇用保険に入ります。これらの従業員は、働きながら学んでいるので、失業した場合などの給付が必要になると考えられるからです。

もちろん定時制高校の生徒すべてが、働くことを考えて入学したわけではありません。しかし、個人的な事情を細かく分析するのは現実的ではありませんから、上記のように形式的に区分されています。

 

<昼間学生の例外>

昼間学生であっても次のような従業員は、一定の条件のもと雇用保険に加入します。

・卒業前に新卒として就職し卒業後も継続勤務する予定の従業員

・休学中の従業員(休学証明書が必要)

・従業員の身分のまま事業主了解のもと大学院などに在籍する者

勉強よりも働くことのウエイトが高く、失業が大きな痛手になると考えられる従業員が、形式的な基準で例外とされています。

 

<ここに注意!>

「学生アルバイトだから雇用保険は関係ない」と思い込んでしまうと、雇用保険を必要とする従業員が保険に入れないことになりかねません。

もし迷ったら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.12.23.

<適用事業の範囲>

労働者を1人でも雇用する事業は、その業種や事業規模に関係なく、原則としてすべて適用事業となります。

例外として、農林水産の事業のうち一部の事業は、当分の間、任意適用事業とされています。

これは暫定任意適用事業と呼ばれ、個人経営の農林水産業で、雇用している労働者が常時5人未満の事業を言います。ただし、農業用水供給事業、もやし製造業を除きます。

任意適用というのは、希望すれば適用され、希望しなければ適用されないという意味です。

暫定任意適用事業の事業主であっても、雇用する労働者の2分の1以上が加入を希望するときは、都道府県労働局長に任意加入の申請を行います。認可されると希望しない労働者を含めて、雇用保険の対象者(被保険者)となります。

 

<雇用保険適用の単位>

雇用保険は、経営組織として独立性をもった事業所単位で適用されます。

支店や工場などでも、ある程度独立して業務を行っていれば、個々に手続きを行います。

独立性の無い支店などは、公共職業安定所長の承認を受けて本社等で一括して手続きを行うことになります。具体的には「雇用保険事業所非該当承認申請書」を提出することになります。これにはコツがありますので、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<労働保険の適用>

労働保険は事業を単位として適用されます。

事業の種類により、一元適用事業と二元適用事業に分かれ、加入手続きや保険料の申告・納付先が違います。

 

<一元適用事業>

労災保険の保険関係と雇用保険の保険関係を一つの事業についての労働保険関係として扱い、保険料の申告納付を一括して行います。

これが原則となります。次の二元適用事業以外は、すべて一元適用事業となります。

 

<二元適用事業>

雇用保険の保険関係と労災保険の保険関係を別々に取り扱い、保険料の申告納付を別々に行います。

二元適用事業は次に該当するものです。

・都道府県、市町村、これらに準ずるものの行う事業

・農林水産の事業

・建設の事業

・港湾労働法の適用される港湾で港湾運送の行為を行う事業

 

 2016.12.18.

<雇用保険の届出書類>

ハローワークで雇用保険についての届出を行うと、先回りして次の手続きで使用する用紙を渡されます。

たとえば、新規採用の従業員が雇用保険に入ったことの届をするために「雇用保険被保険者資格取得届」を提出すると、「雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届」という用紙を渡されます。これは、基本的には退職して雇用保険を抜けたときに使う用紙です。すでに氏名、生年月日、被保険者番号、事業所番号などが印字されているので、その人専用の用紙になります。

ですから、何年後に使用するかわからない用紙を、長期間保管することになります。

 

<保管上の注意点>

ハローワークでの雇用保険関係の事務処理は、全国をオンラインで結ぶ「ハローワークシステム」により、各種届出書類の内容をそのまま機械(OCR)で読み取り、即時処理を行っています。

機械で光学的に読み取る書類の性質上、次の点に注意して、大切に保管しなければなりません。

・ホチキスでとめたり、とじ穴をあけたりしない

・折り曲げない。また、角についても折り曲がらないようにする

・汚さない

・湿気の多い場所には置かない

・直射日光に当たらないようにする

 

<保管期間>

雇用保険関係の書類は、手続き完結の日から少なくとも次の期間は保管します。

被保険者(加入者)に関する書類 4年

労働保険料に関する書類 3年

その他雇用保険に関する書類 2年

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

手続きについて基本的なことは、所轄のハローワークで気軽に確認できます。

しかし、聞きにくいことや会社特有のことなど、じっくり相談したいことは信頼できる社労士におたずねください。

顧問の社労士がいれば、入社前から退職後まで、その会社の実情に適合した対応ができます。手続きの代行も書類の管理も社労士の業務です。どうぞ、お気軽にご相談ください。

 

2016.12.09.

<適用拡大の内容>

平成2911日以降、65歳以上の労働者についても、「高年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象となります。

それまでは、「高年齢継続被保険者」となっている場合を除き適用除外です。

「高年齢継続被保険者」というのは、65歳になった日の前日から引き続いて65歳になった日以後も雇用されている被保険者です。

「65歳になった日」は65歳の誕生日の前日ですから、「65歳になった日の前日」というのは65歳の誕生日の前々日です。

 

<平成2911日以降に新たに65歳以上の労働者を雇用した場合>

雇用保険の適用要件にあてはまる場合は、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

採用した月の翌月10日が提出期限です。

雇用保険の適用要件は、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがあることです。ただし、昼間学校に通う学生は除きます。

所定労働時間は必ず決めて、書面で労働者に通知することが、労働基準法により使用者に義務づけられています。

 

<平成2812月末までに65歳以上の労働者を雇用し平成2911日以降も継続して雇用している場合>

雇用保険の適用要件にあてはまる場合は、平成2911日から雇用保険の適用対象となります。事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

提出期限の特例があり、平成29331日までに提出することになっています。

 

<平成2812月末時点で高年齢継続被保険者である労働者を平成2911日以降も継続して雇用している場合>

ハローワークへの届出は不要です。自動的に高年齢被保険者に区分が変更されます。

 

<平成2911日以降に所定労働時間の変更があり適用要件にあてはまるようになった場合>

所定労働時間の変更があった月の翌月10日までに、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

所定労働時間の変更があった場合には、書面で労働者に通知することが、労働基準法により使用者に義務づけられています。

 

必要な手続きが良くわからなかったり、手続きの外注を考える場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。 

 

2016.11.13.

<会社からの請求が無い>

産前産後休業や育児休業の期間は、社会保険料が免除されます。

しかし、介護休業その他の休職中の社会保険料は免除されません。

また、住民税はどの休業・休職中も免除されません。

そして、雇用保険料については、特に免除という話も無いまま、会社からは請求されません。

 

<社会保険料のしくみ>

毎年9月に、4月から6月の給与の総支給額を基に、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)が決まります。

ここで決まった保険料は、給与の大きな増減や保険料率の変更が無ければ、9月から翌年の8月まで変更がありません。

勤務日数が減って給与が減額されたり、休業・休職で給与がゼロになっても、原則として保険料は変動しません。

ただ、産前産後休業や育児休業の期間は、社会保険料が免除されます。

 

<雇用保険料のしくみ>

雇用保険料は、毎月の給与に対して、雇用保険料率を掛けて計算します。

残業手当の増減により、毎月の給与が増減した場合には、雇用保険料も増減します。

そして、給与の総支給額がゼロであれば、ゼロに保険料率を掛けるので、保険料もゼロになります。

ですから給与の支払の無い休業・休職中の雇用保険料は、支払わなくて良いのです。

特に免除でもなく、請求もれでもなく、保険料が発生しないということなのです。 

 

2016.11.12.

「待期期間」と「給付制限」とが混同されやすいようです。

 

<待期期間>

ハローワーク(公共職業安定所)に離職票の提出と求職の申込みを行った日(受給資格決定日)から通算して7日間を「待期期間」といい、その期間が満了するまでは失業手当(雇用保険の基本手当)は支給されません。

これは、離職の理由にかかわらず、一律に適用されます。

 

<給付制限>

さらに待期期間の満了後、一定の期間、雇用保険の基本手当の支給が行われない場合もあり(給付制限)、主なものとして次の理由があります。

1.離職理由による「給付制限」

客観的に正当な理由なく自己都合により退職した場合、または、労働者自身に責任がある重大な理由によって解雇された場合は、待期期間終了後、さらに3か月間の「給付制限」があります。

2.紹介拒否などによる「給付制限」

失業手当を受給できる人(受給資格者)が、公共職業安定所からの職業の紹介や指示された公共職業訓練などを客観的に正当な理由なく拒んだ場合、その拒んだ日から起算して1か月間は雇用保険の基本手当が支給されません。

また、再就職を促進するために必要な職業指導を客観的に正当な理由なく拒んだ場合にも、同様の「給付制限」があります。

 

<実際の入金>

なお、実際に雇用保険の基本手当として初めて現金が振り込まれるのは、給付制限の無い場合でも、ハローワーク(公共職業安定所)で求職の申込みをしてから約1か月後(初回認定日の約1週間後)になります。 

 

2016.10.27.

外国人を雇う場合に守らなければならないルールがあります。これは、外国人が在留資格の範囲内で、その能力を十分に発揮しながら、適正に就労できるようにするためのものです。

 

<ハローワークへの届出>

外国人の雇入れと離職の際には、その氏名、在留資格などをハローワークに届け出ます。〔雇用対策法28条〕

ハローワークでは、届出に基づき、雇用環境の改善に向けて、事業主への助言や指導、離職した外国人への再就職支援を行います。

届出にあたっては、事業主が雇い入れる外国人の在留資格などを確認する必要があります。外国人労働者の在留カードまたは旅券(パスポート)などの提示を求め、届け出る事項を確認してください。これは、不法就労の防止につながります。

 

<届出の対象となる外国人の範囲>

届出の対象となるのは、日本の国籍を持たない人で、在留資格が「外交」「公用」以外の人です。

「特別永住者」(在日韓国・朝鮮人など)は、出入国管理及び難民認定法に定める在留資格の他、特別の法的地位が与えられているため、就職など在留活動に制限がありません。

このため、特別永住者は、外国人雇用状況の届出制度の対象外とされていますので、確認・届出の必要はありません。

 

<在留カードの番号の有効性を確認>

入国管理局ホームページで在留カードの番号の有効性を確認することができます。

「在留カード等番号失効情報照会」ページに在留カードの番号と有効期間を入力して確認します。

在留カードを偽変造したものなどが悪用されるケースも発生していますので、ご確認をお勧めします。

万一、偽変造が疑われる在留カードを発見した場合には、最寄りの地方入国管理局にお問い合わせください。

 

↓在留カード等番号失効情報照会ページ

https://lapse-immi.moj.go.jp/

 

2016.10.15.

<離職理由の食い違いが発生する場合>

離職理由により給付日数に差がつきます。

離職者としては、会社側に原因のある理由のほうが有利です。

一方、会社としては会社の恥になるような理由は認めたくないですし、助成金の申請ができなくなる可能性もあります。

こうして会社と離職者とで、主張が食い違ってしまう場合もあります。

特に離職者が、パワハラやセクハラなどを主張した場合には、起こりやすい現象です。

ここで離職というのは、退職の他、所定労働時間が週20時間未満となって雇用保険の資格を喪失し、離職票が交付される場合をいいます。

 

<離職理由の判定>

離職理由の判定にあたっては、まず会社が主張する離職理由を、公共職業安定所(ハローワーク)が離職証明書により把握します。

ついで、離職者が主張する離職理由を把握します。

さらに、それぞれの主張を確認できる客観的な資料を集めることにより、事実関係を確認します。

最終的に、離職者の住所を管轄する公共職業安定所において慎重に判定することになっています。

会社の主張のみで判定することはありません。

会社または離職者が意地を張って、離職理由の主張をしているために、離職票の手続きが遅れることがあります。しかし、これは無意味なことで、それぞれ真実と思う理由を記入すれば良いのです。判定するのは公共職業安定所ですから。

 

2016.10.13.

<週の労働時間が20時間未満となった場合の原則>

週20時間未満となったことにより、雇用保険の資格を喪失し離職票が発行されます。

これは、週20時間未満の仕事の場合、安定的な就業にはあたらず、働きながら求職活動をすることが想定されるからです。

この場合には、失業手当(雇用保険の基本手当)を受けることができます。ただし、受給中に働いて収入を得た場合には、ハローワークに申告して手当との調整を受けることになります。

 

<週の労働時間が20時間未満となった場合の例外>

1週間の所定労働時間が20時間以上に戻ることを前提として、臨時的一時的に1 週間の所定労働時間が20時間未満となった場合には、雇用保険の資格を喪失させません。

ただ、臨時的一時的の基準は不明確ですから、例外にあたる可能性がある場合には、所轄のハローワークでの確認が必要です。

 

<週の労働時間が20時間未満となった場合の例外の例外>

臨時的一時的であると思っていた労働時間の減少が安定し、臨時的一時的ではなくなったとき、または、その見込みが生じたときは、雇用保険の資格を喪失し離職票が発行されます。

 

労働時間が短縮した場合の、社会保険や雇用保険の資格喪失手続きもれは、多く聞かれます。失敗がないようにするには、顧問の社労士(社会保険労務士)に管理させることをお勧めします。

 

2016.09.16.

<介護休業給付金とは?>

雇用保険の一般被保険者が、要介護状態にある対象家族を介護するために介護休業をした場合に、条件を満たすと受給できる給付金です。

ここで「要介護状態」とは、ケガ、病気または身体上・精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。

また「対象家族」とは、配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、父母(養父母を含む)、子(養子を含む)、配偶者の父母(養父母を含む)および同居かつ扶養している一般被保険者の祖父母、兄弟姉妹、孫をいいます。

なお、この給付金は非課税です。

 

<受給の条件>

介護休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数(時間給・日給の場合は各月の出勤日数、月給の場合は各月の暦日数)が11日以上ある完全月が12か月以上あることです。ここで「完全月」とは、雇用保険に入っている期間が丸々1か月ある月をいいます。

ただし介護休業期間中に、賃金が支払われる場合や出勤することがある場合には、別の条件が加わります。

 

<給付金の支給率の改定>

介護休業を開始した日から起算して1か月ごとの期間に受給できる金額は、次のとおりです。

・平成28年7月末日までに開始した介護休業

休業開始時賃金日額×支給日数×40%

・平成28年8月1日以降に開始した介護休業

休業開始時賃金日額×支給日数×67%

休業開始時賃金日額とは原則として、介護休業開始前6か月間の賃金を180日で割った額です。ただし、次のとおり上限額があります。

・平成28年7月末日までに開始した介護休業

 30歳から44歳までの賃金日額の上限額(毎年8月1日に改定)

・平成28年8月1日以降に開始した介護休業

 45歳から59歳までの賃金日額の上限額(毎年8月1日に改定)

 

<手続き>

対象者を雇用している事業主が「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」を介護休業開始日の翌日から10日以内に、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。

ただし、事業主が対象者に代わって「介護休業給付金支給申請書」を提出する場合は、その支給申請書と同時に提出することができます。この場合の提出期限は、原則として介護休業の終了日から3か月目の月末となります。

 

2016.07.31.

<高年齢被保険者と退職したときの一時金>

平成29年1月1日からは、65歳以上で新たに雇用される人も、所定労働時間が週20時間以上であれば、雇用保険の高年齢被保険者となります。

しかし退職した場合には、従来どおり高年齢求職者給付金という一時金を受けることになっています。

この一時金は、現在のように65歳以上で新たに雇用されても雇用保険の対象外であれば、一生に一回しか受け取るチャンスがありません。

しかし来年からは、65歳以降に就職と退職を繰り返せば、何度も一時金を受け取れるということになってしまいそうです。

 

<循環的離職者>

過去3年以内に3回以上、同じ事業所に連続して就職し、1回でも基本手当(失業手当)を受けたことがある人は「循環的離職者」とされ、受給できなくなる可能性があります。

この場合には、ハローワークから退職者本人と事業所の両方に確認が入り、受給期間内に同じ事業所に就職すると不正受給扱いとなります。

おそらく、高年齢被保険者についても同様の措置がとられることになるでしょうから、「うまくやれば何度も一時金がもらえる」ということにはならないでしょう。

 

2016.07.23.

<資格喪失手続きを忘れる原因>

所定労働時間が週20時間以上であることが、雇用保険の資格を取得する条件となります。ですから、週3日、1日6時間勤務のパート社員が、週4日勤務になれば、雇用保険に入ることになります。こうして資格を取得するのは、あまり忘れない手続きでしょう。

しかし、雇用保険の資格喪失となると、雇用保険の離職=退職というイメージが強いので、退職したときだけ資格喪失を意識しがちです。ところが、所定労働時間が週20時間未満となったときも、資格喪失手続きが要るのです。こちらは忘れやすいのです。

もう一つ、労働者と兼務していた役員が、100%役員になった場合にも、雇用保険の資格を喪失します。今まで、給与と報酬の両方をもらっていた役員が、報酬だけになるときは要注意です。

雇用保険の資格喪失手続きを忘れられた本人にとっても、雇用保険料は社会保険料よりもはるかに安いので、給与明細書を見たときにピンと来ないと思います。

 

<本人について>

所轄のハローワークで、さかのぼって資格喪失手続きを行います。このとき、「遅延理由書」という書類の添付を求められるかもしれませんので、事前に相談しておくことをお勧めします。

また、ご本人に給与から控除してしまった保険料の返金を行います。念のため、計算書と領収証を作ったほうがよいでしょう。

 

<会社の負担した保険料について>

労働保険料の支払いは、毎年7月の年度更新で行います。間に合うのなら、データを修正して余計な保険料を支払わないようにしましょう。

しかし、確定保険料を多く計算して年度更新を済ませてしまった場合には、手続きをやり直して返金してもらうのは、返金してもらう金額と必要な時間や労力を比較すると得策ではありません。それよりは、再発防止のためにマニュアルを改善しておくことのほうを強くおすすめします。

 

2016.07.16.

<転籍出向の場合>

これは、転籍とはいうものの、完全に所属が移っています。

給与の支払者は出向先ですから、雇用保険は出向先で入り、雇用保険料も出向先でカウントされます。

労働環境の管理も出向先ですから、労災保険も出向先で適用され、労災保険料は出向先の負担となります。

 

<在籍出向の場合>

これは、社籍が出向元に残ったまま、出向先で働く場合です。

給与の支払者は出向元ですから、雇用保険も出向元で入り、雇用保険料も出向元でカウントされます。

しかし、労働環境の管理は出向先ですから、労災保険も出向先で適用され、労災保険料は出向先の負担となります。

この場合、雇用保険と労災保険とで、保険料の負担者が異なることになります。

 

<その他の場合>

「転籍出向」「在籍出向」ということばを一般とは異なる意味で使っている会社や、どちらか明確ではない場合でも、給与の支払者が雇用保険料を負担し、労働環境の管理者が労災保険料を負担すると考えればよいのです。

 

2016.07.04.

<手続きの必要性>

国民年金や厚生年金などと同じように、雇用保険の失業等給付も、すでに経過した期間について給付が行われます。つまり、後払いです。

そのため、給付を受けていた方が亡くなると、もらえる給付を残したままになってしまいます。

これを、ご遺族の中の権利者が請求する手続きが必要となるのです。

 

<雇用保険法の規定>

失業等給付の支給を受けられる者が死亡した場合に、未支給分があるときは、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であって、死亡当時に生計を同じくしていた者は、自分の名義で、その未支給分を請求できます。〔雇用保険法10条の3〕

 

<法定相続人との違い>

まず、生計を同じくしていることが条件となります。

また、優先順位が、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹となっていて、優先順位の高い人が100%受け取ります。法定相続分のような考え方ではありません。

そして、同順位の人が複数いる場合、たとえば父母が受け取る場合、どちらかが請求の手続きをすれば、全額について請求したことになります。

 

<請求の手続き>

未支給の失業等給付を請求する人は、本来の受給者が亡くなってから6か月以内に、「未支給失業等給付請求書」に「雇用保険受給資格者証」等をそえて、受給の手続きをしていたハローワーク(公共職業安定所長)に提出します。

 

2016.06.30.

<労働保険の保険料>

雇用保険と労災保険の保険料は、あわせて労働保険の保険料として、毎年4月1日から翌年3月31日までの保険年度を単位として計算されます。

その額は、雇用保険と労災保険のそれぞれについて、対象となる従業員に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を掛けて算定されます。

ただし、建設の事業で賃金総額を正確に算定することが困難な場合には、請負金額に労務比率を掛けて保険料を算定します。

 

<年度更新とは?>

労働保険では、翌年度の保険料を概算で納付し、年度末に賃金総額が確定してから精算するという方法がとられています。〔労働保険徴収法15条・17条〕

したがって事業主は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きを同時に行うことになります。これが「年度更新」の手続きです。

また、石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金も、年度更新の際に労働保険料とあわせて申告・納付することとなっています。

 

<労働保険対象者の範囲>

労働保険の対象者ということは、労災保険の適用対象者と雇用保険の適用対象者ということになります。その範囲は重なりますが、同じではありません。

労災保険の対象者については次の点に注意しましょう。

・正社員、嘱託、契約社員、パート、アルバイト、日雇い、派遣など、名称や雇用形態にかかわらず、賃金を受けるすべての人が対象となります。

・代表権・業務執行権のある役員は対象外です。

・事業主と同居している親族でも就労の実態が他の労働者と同じなら対象となります。就業規則が普通に適用されているなら対象となります。

雇用保険の対象者については次の点に注意しましょう。

・1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあれば原則として対象者です。雇い入れ通知書、労働条件通知書、雇用契約書などが基準となります。これらの書類が1つも無いのは、それ自体違法ですから注意しましょう。

・昼間に通学する学生、65歳以上で新たに雇われた人などは対象外です。

複数の会社などで同時には雇用保険に入れません。主な賃金を受けているところで対象者となります。

両方の保険に共通の注意点としては、次のものがあります。

・代表権も業務執行権も無く、役員報酬と賃金の両方を受け取っている役員は、賃金についてのみ計算対象となります。

・派遣社員は派遣元で保険に入ります。派遣先での手続きはありません。

・出向社員は賃金を支払っている会社などで雇用保険に入り、実際に勤務している会社などで労災保険に入って、そこでの料率が適用されます。出向先の会社は、年度更新のために出向元から賃金などのデータをもらう必要があります。

 

2016.06.13.

<雇用保険の被保険者(対象者)>

次の要件を満たせば、会社や労働者の意思にかかわらず、雇用保険に入り被保険者となるのが原則です。

・1週間の所定労働時間が20 時間以上であること

・31日以上引き続き雇用されることが見込まれること

パート、アルバイト、契約社員、派遣社員などの雇用形態とは関係なく、同じ基準です。

これらの条件は、会社から労働者に交付が義務づけられている雇用契約書、雇い入れ通知書、労働条件通知書といった書面で確認できます。

 

<雇用保険の失業給付(基本手当)>

雇用保険の失業給付とは、雇用保険の被保険者が、倒産、定年、自己都合などにより離職(退職)し、失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、再就職するために支給されるものです。

一定の要件を満たせば、給料の5割~8割程度の手当が支給されます。

また、支給される期間は、被保険者期間、年齢、離職理由、障害の有無などにより異なり、90日~360日となっています。

 

<受給に必要な要件>

そして、雇用保険の被保険者が失業給付を受給するには、次の要件を満たす必要があります。

・ハローワークに行って求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても就職できない「失業」の状態にあること。

・離職前の2年間に、11日以上働いた月が12か月以上あること。ただし、会社側の理由により離職した場合、会社側の都合またはやむを得ない理由で契約の更新がされなかった場合は、離職前1年間に11日以上働いた月が6か月以上あること。

 

<受給に必要な手続き>

失業給付の手続きは、勤めていた会社がすべてを行うものではなく、本人との共同作業となります。

会社は所轄のハローワークで、離職者の雇用保険の資格喪失手続きをします。このとき離職証明書をハローワークに提出するのですが、これは3枚1セットで、1枚目が離職証明書(事業主控)、2枚目が離職証明書(安定所提出用)、3枚目が離職票-2となっています。手続きをすると、ハローワークから会社に1枚目と3枚目が渡され、これとは別に離職票-1などが渡されます。このうち離職者には離職票-1と-2を渡すのです。

離職者は、会社から渡された雇用保険被保険者証、離職票-1、-2などの必要書類を持って、本人の住所を管轄しているハローワークに行きます。

 

<加入もれの場合>

要件を満たしているのに、会社が雇用保険に加入させておらず、被保険者になっていなかったといったトラブルがしばしば起こっています。

このような場合、被保険者の要件を満たしている証拠があれば、遡って雇用保険が適用される制度があります。具体的なことは、管轄のハローワークや社会保険労務士に相談してください。

 

2016.06.11.

<本来の申請期限>

雇用継続給付の支給申請期限は「ハローワークの通知する支給単位期間の初日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日」とされていました。〔雇用保険法施行規則〕

実際にこの期限を過ぎてしまってからハローワークの窓口に書類を提出しても、受け付けてもらえませんでした。

これは、迅速な給付を行い受給者を保護する趣旨とされていましたが、実際の手続きは会社と受給者の共同作業となることが多く、どちらかがウッカリすると提出期限を過ぎてしまい、受給できなくなるという不都合がありました。

 

<施行規則改正後>

平成27年4月に、この施行規則が改正され、期限を過ぎた場合でも2年間の消滅時効期間が経過するまでは、申請できるようになりました。

また、社会保険や労働保険の手続きでは、本来の期限を過ぎて手続きをする場合には、手続きが遅れた理由を示しす「遅延理由書」という書類の添付が求められることも多いのですが、消滅時効完成前の手続きには「遅延理由書」が不要とされるのが一般です。

 

<施行規則改正の影響範囲>

雇用保険の給付金は、2年間の消滅時効期間内であれば、支給申請が可能とされましたが、この扱いは多くの給付にあてはまります。

具体的には、雇用保険の各給付のうち、就業手当、再就職手当、就業促進定着手当、常用就職支度手当、移転費、広域求職活動費、一般教育訓練に係る教育訓練給付金、専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金、教育訓練支援給付金、高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金、育児休業給付金、介護休業給付金です。

 

<心がけること>

本来の期限を過ぎても、あきらめずに申請の可能性を確認することをお勧めします。

ただ、「2年以内なら大丈夫」と考えるのではなく、同じ金額なら1日でも早く給付を受けられたほうが助かるのですから、手続きは速やかに行いましょう。

 

2016.06.05.

<高齢者の保険料免除>

雇用保険では、年度の初日の4月1日の時点で64歳以上の人の保険料が免除されます。4月1日の時点で64歳以上が免除ですから、よく「65歳以上は免除」といわれています。

「私はそろそろ65歳になるけど、いつから免除になりますか?」「その時、何か手続きが必要ですか?」という問い合わせが人事部門に寄せられます。

また「雇用保険の保険料が給料から引かれなくなったけど、対象者じゃなくなったのですか?」という質問も出てきます。

 

<保険料計算のしくみ>

健康保険と厚生年金は、一人ひとりについて保険料の計算がされて、原則として毎月の給与から一定額が控除されます。

ところが、雇用保険の場合には、毎月の給与を基準に一定率で計算した保険料が控除されます。給与が変動すれば、保険料も細かく変動するのです。

また、会社は健康保険と厚生年金の保険料を毎月納めるのですが、雇用保険の保険料は1年分まとめて支払います。このとき、雇用保険に入っている人の人件費総額を基準に雇用保険料を計算するのですが、年度の初めに64歳以上の人の人件費は差し引いて計算します。

 

<結論として>

雇用保険に入った会社で働き続けて年度の初めに64歳になった人は、その年の4月分の保険料から免除されます。通常は、翌月より給与からの控除がストップします。だからといって、雇用保険の対象から外れるわけではありません。週20時間未満の労働契約とならなければ対象者のままです。

給与計算の担当者は、保険料の給与からの控除をストップすることを忘れてはいけません。また、このような事情を対象者のかたに説明しなければいけませんね。

 

2016.05.18.

<失業保険から雇用保険へ>

1947年(昭和22年)5月3日に日本国憲法が施行され、27条で勤労権が保障されました。これによって、国家が国民に雇用の場を提供する責務を負ったことになります。

これを受けて、同年の12月1日に失業保険法が制定されました。この法律は、失業保険の対象者が失業した場合に、失業保険金を支給して、その生活の安定を図ることを目的としていました。

さらに、勤労権保障の充実のため1975年(昭和50年)4月1日失業保険法が廃止され、代わって雇用保険法が施行されました。

 

<雇用保険の目的>

雇用保険法の1条に、この法律の目的が掲げられています。

「雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。」

 

<雇用保険で行われる給付と事業>

雇用保険法の目的に沿って、現在では次のような給付と事業が行われています。

求職者給付 ― 基本手当=昔の失業保険金(失業手当)、技能習得手当など

就職促進給付 ― 就業手当、再就職手当など

教育訓練給付 ― 教育訓練給付金

雇用継続給付 ― 高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付

雇用安定事業 ― 助成金の支給

能力開発事業 ― 職業訓練など

このうち給付の保険料は、労働者と使用者が折半します。そして、事業の保険料は使用者が負担します。また、保険料の他に費用の一部を国庫が負担します。

 

2016.05.11.

<労働保険の保険料>

雇用保険と労災保険の保険料は、合わせて労働保険の保険料として、毎年4月1日から翌年3月31日までの保険年度を単位として計算されます。

その額は、雇用保険と労災保険のそれぞれについて、対象となる従業員に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を掛けて算定されます。

労災保険料は、全額会社負担ですから、従業員は負担しません。

雇用保険料は、会社の方が従業員よりも多く負担します。

 

<保険料の計算で間違えやすいポイント>

間違えやすいのは、雇用保険の対象者、労災保険の対象者の確定です。

取締役は、どちらも対象外であることが多いのですが、労働者の立場を兼ね備えている場合には、対象となるケースもあります。

別の会社から出向してきている人は、働いている会社で、労災保険料だけ負担します。

学生の場合、定時制や通信制の学校だと雇用保険の対象になります。

他にも、雇用保険の保険料が免除される人がいたり、労災保険料の割引があったりと複雑です。

 

<年度更新とは?>

労働保険では、翌年度の保険料を概算で納付し、年度末に賃金総額が確定してから精算するという方法がとられています。〔労働保険徴収法15条・17条〕

したがって会社は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きを同時に行うことになります。これが「年度更新」の手続きです。

 

<年度更新の時期>

この年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければなりません。〔労働保険徴収法19条〕

手続きが遅れますと、政府に保険料の額を決定され、さらに追徴金10%を課されることもあります。〔労働保険徴収法21条・25条〕

1年間の賃金が確定してから準備を始めると余裕が無くなりますので、最後の1か月の月給を加えれば確定できるという状態にまで、先に準備しておくことをお勧めします。

 

2016.01.24.

60歳から65歳になるまでの雇用保険被保険者を対象とする、高年齢雇用継続給付という給付があります。

 

<高年齢雇用継続給付とは?>

60歳の時点と比べて、賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける高齢者に支給される給付です。

 

<給付の目的は?>

高齢者の就業意欲を維持、喚起して、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的としています。

 

<給付を受ける条件は?>

雇用保険の被保険者であって、60歳になったとき被保険者期間が5年以上であることが必要です。

ただし、失業手当(基本手当)を受給したことがある方は、受給後の期間に限ります。

また、60歳になったとき5年未満であっても、その後5年に達すれば、その時から対象者となります。

 

<再就職の場合の条件は?>

失業手当(基本手当)を受給した後、60歳以後に再就職した場合に給付を受けるには、再就職の前日までの期間で失業手当(基本手当)の支給残日数が100日以上あること、安定した職業に就くことによって雇用保険の被保険者となったことが必要です。

 

<支給を受けられる額は?>

支給対象月ごとに、その月に支払われた賃金の低下率に応じて、最高で賃金の15%が支給されます。

 

<手続は?>

会社と対象者とで、協力して書類を準備します。提出先は、ハローワークです。

必要書類の中に、離職票によく似たものがあり、「60歳に達した日」の欄は、誕生日の前日を記入します。〔年齢計算ニ関スル法律〕

ところが、対象者の方が誕生日と1日ズレているので誤りと判断し、修正のうえ訂正印を捺してくださるという失敗がありがちです。あらかじめ、誕生日の前日に1歳増えるということを説明しておきましょう。

 

2016.01.18.