2025/03/25|896文字
<特掲事業>
雇用保険では、失業等給付の負担の均衡化を図るために、短期雇用特例被保険者が多く雇用される事業については、雇用保険の保険料の料率を一般の事業と比べて高くしています。
これらの事業を特掲事業といい、次の4つの事業が該当します
(1) 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業(園芸サービスの事業は除く。)
(2) 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業(牛馬の育成、養鶏、酪農又は養豚の事業及び内水面養殖の事業は除く。)
(3) 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業(通常「建設の事業」といっている。)
(4) 清酒の製造の事業
<失業等給付>
雇用保険で、労働者の生活及び雇用の安定、求職活動の促進のために支給される給付金をまとめて失業等給付といいます。
失業等給付には、1.求職者給付、2.就職促進給付、3.教育訓練給付、4.雇用継続給付の4種類があり、50年前まで「失業手当」と呼ばれていたものは、求職者給付の基本手当に相当します。
<短期雇用特例被保険者と特例一時金>
季節的に雇用されている者等は、短期雇用特例被保険者として一般の雇用保険加入者(被保険者)と区別されます。
短期雇用特例被保険者は、一定の期間ごとに就職と離職を繰り返すため、一般の被保険者への求職者給付よりも一時金制度とすることのほうが、その生活実態に適合しているといえます。
そのため短期雇用特例被保険者には、一般の被保険者と区別して、特例一時金が給付される仕組がとられています。
<不公平の是正>
特掲事業には、短期雇用特例被保険者の割合が高く、特例一時金の給付も多いのです。
そして、給付と保険料とのバランスを考えたときに、特例一時金は失業等給付の中でも、特に保険料に対する給付の比率が高いものとなっています。
そのため、すべての事業で雇用保険率を一律にしてしまうと不公平が発生してしまいます。
特掲事業を定め、これらの事業だけ雇用保険率を高くすることによって、この不公平を是正しているわけです。