新型コロナウイルスによる収益悪化と整理解雇

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2020/06/22|1,075文字

 

<整理解雇>

整理解雇とは、会社の事業継続が困難な場合に、人員整理のため会社側の都合により労働契約を解除することです。

法律上は普通解雇の一種ですが、労働慣例により他の普通解雇と区別するため整理解雇という用語が使われています。

 

<法律上の解雇制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法第16条〕

しかし、これでは内容が抽象的すぎて、具体的な場合にその解雇が有効なのか無効なのか判断に困ります。

 

<コロナショックによる収益悪化の特性>

新型コロナウイルスの感染者が出た店舗など、営業が制限された場合には、使用者が労働者の労務の提供を受けることができません。

しかし、多くの場合には、都道府県の要請を受けて営業を自粛した結果、収益の悪化が生じています。

現実の問題としては、休業せざるを得ない状況であったにも拘らず、法的には、使用者の判断で営業を自粛したのだから、必ずしも労務の提供を受けることが不可能であったとはいえなかったと評価されます。

この場合、整理解雇や雇い止めについては、多くの裁判を通じて確立された「整理解雇制限法理」が適用されます。

 

<整理解雇制限法理>

整理解雇制限法理というのは、次の4つの要素から、解雇の有効性を制限的に判断する考え方です。

4つのうち1つでも要件を欠いていたら、解雇が無効になるということではなく、総合的に判断されます。

1.経営上の人員削減の必要性

会社の財政状況に問題を抱え、新規採用などできない状態となったことです。

2.解雇回避努力の履行

配置転換や希望退職者の募集などを実施したことです。

3.解雇対象者の人選の合理性

差別的な人選は許されず、客観的な基準によらなければなりません。

4.手続の相当性

事前の説明や労働者側との協議など、誠実に行うことが求められます。

 

<コロナショックの特殊性>

コロナショックの特殊性を理由に、整理解雇制限法理が特例的に緩和されるということはありません。

ただ、各要素について、整理解雇が有効と判断されやすい事情はありえます。

あらゆる助成や支援を受けても、なお財政状況に問題が残り、経営上の人員削減の必要性が高いと判断されるような場合や、配置転換しようがない場合が想定されます。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、ほぼ公知の事実となっていますので、この点について、詳細な説明は不要です。

ただ、会社の事業にどのような影響を与えたのか、具体的な内容の説明は必要になってくるでしょう。

 

解決社労士