労働基準法の改正による時効期間の変更

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2020/04/05|1,038文字

 

令和2年4月1日付で、民法の債権に関する規定が改正されたことに対応して、労働基準法も改正されました。

 

<賃金請求権の消滅時効期間>

「原則5年間とする。ただし、当面3年間とする」

改正前の民法では、賃金請求権の消滅時効期間が1年間でした。

これでは、労働者の権利保護が不十分だということで、労働基準法によって2年間に修正されていました。

ところが、改正民法では消滅時効期間が原則5年間とされたため、労働基準法との間で逆転が生じてしまうことになりました。

このままだと、労働基準法の労働者保護の趣旨に反してしまうので、段階的に消滅時効期間を延長し、民法の原則に合わせることとなりました。

実際の改正民法では、債権の消滅時効が次のように規定されています。

 

【債権等の消滅時効】

第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

 

労働基準法では10年の基準は使わず、5年の客観的な基準のみを使うことになりました。

 

<記録の保存>

「原則5年間とする。ただし、当面3年間とする」

たとえば、未払賃金の消滅時効期間も3年間→5年間と延長されましたので、会社が賃金台帳や労働者名簿を保管する期間も、これに合わせて延長されていきます。

 

<付加金>

「原則5年間とする。ただし、当面3年間とする」

未払賃金の請求訴訟では、本来の賃金とこれに対する利息の他に、本来の賃金と同額の付加金を請求することができます。

未払賃金の消滅時効期間が3年間→5年間と延長されましたので、これに上乗せされる付加金も消滅時効期間が延長されます。

 

<年次有給休暇請求権、災害補償請求権、帰郷旅費、退職時の証明、金品の返還の請求権の消滅時効期間>

「2年間のままとする」

年次有給休暇については、消滅時効期間を延長すると、「すぐに取得しなくても消滅しない」という理由から、取得が抑制される恐れがあるという理由で、変更なしとなりました。

他のものについては、延長する必要がないという判断です。

 

<退職手当の請求権の消滅時効期間>

「5年間のままとする」

退職手当は、退職金のことですが、これも延長する必要がないという判断です。

 

<適用開始>

改正法施行日(令和2年4月1日)以後に賃金支払日が到来する賃金請求権について、新たな消滅時効期間が適用されます。

付加金の請求期間についても同様の取扱となります。

 

解決社労士