労働者の過半数を代表する者の選出手続ミス

2021/05/07|1,055文字

 

<労働者の過半数を代表する者>

就業規則の新規作成・変更の所轄労働基準監督署長への届出や、「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」など労使協定を締結する際に、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、労働者側の締結当事者とする必要があります。

 

<正しい選出手続が必要な理由>

過半数代表者になることができる労働者の範囲は限定されていて、選出手続にも制限があります。

この過半数代表者の選出が適正に行われていない場合には、たとえば36協定を締結し労働基準監督署長に届け出ても無効となります。

つまり、36協定書の届出をきちんとしてあっても、そもそもその協定書が無効とされれば、残業させたことがすべて違法になってしまうというリスクがあります。

 

<過半数代表者となることができる労働者>

労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者ではないことが必要です。

管理監督者とは、一般的には部長、工場長など、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指します。

しかし、この基準を誤って解釈している会社が多いのが実態です。

過半数代表者の選出に当たっては、役職者は避けた方がよいでしょう。

 

<労働者全員での選出>

選出手続は、投票、挙手の他に、労働者の話し合いや持ち回り決議などでも構いませんが、労働者の過半数がその人の選任を支持していることが明確になる民主的な手続がとられていることが必要です。

また、選出に当たっては、パートやアルバイトなどを含めたすべての労働者が手続に参加できるようにします。

こうした手続がとられたことの記録を残しておくことをお勧めします。

 

<会社側が関与しない選出>

会社の代表者が特定の労働者を指名したり、候補者を数名指定してその中から選出したりするなど、使用者の意向によって過半数代表者が選出されたと疑われる場合、その過半数代表者選出は無効です。

 

<選出手続を行うこと>

社員親睦会の幹事などを自動的に過半数代表者にした場合や、社内で特定の立場にある人が自動的に過半数代表者になるというのでは、その人は「選出」されたわけではありませんので、過半数代表者の選出にはなりません。

過半数代表者の選出手続は、それ自体を独立させて行いましょう。

 

<解決社労士の視点から>

思わぬところで足元をすくわれないよう、専門家の関与は必要です。

労務管理について専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

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