2024/12/05|782文字
<就業規則に規定があれば>
就業規則や人事考課規程の中に、考課期間の途中で人事異動があった場合の規定があれば、それに従い人事考課を行うことになります。
しかし、厚生労働省のモデル就業規則にも、そのような細かい規定はありません。
実際にも、人事異動を想定した規定を持たない会社は多いようです。
<考課期間による按分方式>
たとえば、冬の賞与支給額を決定するための考課期間が4月から9月までだったとします。
ある社員が、課長Aの部署から課長Bの部署に6月1日付で異動したならば、課長Aと課長Bの両方が人事考課をして、課長Aの評価の3分の1と課長Bの評価の3分の2を合計するという方法がとれます。
このやり方のメリットは、それぞれの課長が自由に評価できるという点にあります。
ただし、評価が数値化されていないと単純に計算できないので、この方法を使うのは困難です。
<協議による評価方式>
上の例で、課長Aと課長Bとで協議しながら評価を決めるという方式も考えられます。
このやり方のメリットは、評価が数値化されない場合や、少しずつ業務を移管していって実質的な異動日を特定できない場合でも問題ないという点にあります。
しかし、課長Aと課長Bとの人間関係や力関係から、どちらか一方だけの意見が強く反映される危険もありますし、そもそも仲が悪くて協議しないという場合も考えられます。
<実務の視点から>
やはり、あらゆることについて、人事異動を想定した明確な規定を備えておくべきです。
また、少子高齢化対策によって、労働関連法令全体に急速な法改正が広がっていますから、会社がこれに応じて就業規則を改定していくのが大変になっています。
この機会に、必要な就業規則の補充と変更をまとめて行ってはいかがでしょうか。
こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご用命ください。