実績だけで賞与を決める

2021/03/06|1,291文字

 

<人事考課と賞与>

賞与というのは、どれだけ能力があるかとは関係なく、どれだけの実績を上げて会社に貢献したかという結果を評価して設定するものです。

 

たとえば、5月から10月までの実績を評価して12月に冬期賞与を支給し、11月から翌年4月までの実績を評価して7月に夏期賞与を支給するという形になります。

上の例では、新卒採用で4月入社であれば、夏期賞与を支給するための十分な考課期間がありませんから、支給しないか金一封などの名目で一律の支給額にするのが一般です。

中途採用でも、考課期間の途中で入社したのであれば、最初の賞与支給については同様な扱いになるでしょう。

 

ここで注意したいのは、「結果がすべて」の評価にしないことです。

どれだけ社内外と協力したのか、そのプロセスを含めて評価しなければ、目的のためには手段を選ばない社員ばかりになってしまいます。

このような社員は、働く仲間である上司、同僚、部下を自分の道具として利用することしか考えません。

まともな神経を持った人ならば、こんな社員ばかりの職場には耐えられないでしょう。

人格的に円満な社員は退職していきます。

 

また、実績の良し悪しは運に左右されるものです。

何をどのようにしたらその実績が生じたのかというプロセスを重視しなければ、ラッキーで実績が上がった人は多額の賞与をもらい、不運な人の賞与は減額されてしまいます。

これでは、くじ引きで賞与を決めるようなものですから、運の悪かった社員は納得がいきません。

 

賞与を決定するために個人の実績を評価する場合には、社内ルールに則って正しい手順で成果を上げたのか、個人では対処できない運の良し悪しが関与していなかったかということも、十分に加味する必要があるのです。

 

<人事考課のフィードバック>

賞与の支給額は、基本給を基準に会社の業績を反映した支給月数、個人の実績を反映した考課係数を設定して、次のように計算されていれば納得しやすいでしょう。

 

個人の賞与支給額 = その人の基本給 × 支給月数 × 考課係数

 

これを個人ごとに面談で伝えることをお勧めします。

支給月数が多ければ「会社は経営状況が良い」とわかりますし、考課係数が高ければ「私は高い評価を得ている」とわかります。

支給月数が少なかったり、考課係数が低かったりしても、「次こそは!」という気持ちになります。

このことが、社員ひとり一人のヤル気に結びつくでしょう。

また、連続して考課係数が低い社員は、大いに努力するか会社を去るかの決断を迫られます。

これはこれで、効果が期待できると思います。

 

<解決社労士の視点から>

何となく決めた賞与額であっても、上の個人の賞与支給額の計算式で逆算すれば、支給月数と効果係数を求めることができます。

これを各社員に示すことで、大きな効果が期待できますからお勧めします。

 

ところで、その会社に合った人事考課基準の作成、改定、教育、運用は、社労士ではなくてもコンサルタントにもできます。

しかし、就業規則とも連動させ、法令順守を前提とした健全な企業活動を目指すのであれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

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