2024/10/09|1,229文字
<人事考課と給与>
給与というのは、今後1年間にどれだけ活躍するかを予測して設定するものです。
そうでなければ、新卒や中途採用では初任給が決まりません。
ベテラン社員であっても、これまでの実績を参考にして、今後1年間にどれだけ活躍するかを予測して設定するものです。
イメージとしては、野球選手の年俸制を思い浮かべると理解しやすいでしょう。
ただ、一般の労働者に年俸制を使うのはメリットが少なく、運用が違法になりがちなのでお勧めできません。
その証拠に、厚生労働省のモデル就業規則にも年俸制の規定がありません。
活躍を予測する場合、個人的な能力だけを見るのではなく、社内での協調性や社外との連携具合も評価する必要があります。
会社に社員が集まっているのは、チームプレーによって苦難を乗り越え、大きな成果を出すためです。
目立った個人プレーばかりを高く評価していては、社内の協調性が失われてしまうことになります。
たとえ個人プレーの能力が高くても、チームプレーの能力が低かったり、社外との関係を良好に保つ能力が低かったりすれば、長期にわたって活躍できません。
会社は可能な限り長続きしたいわけですから、社員に対しても長続きできる能力を求めることになります。
社内での協調性や社外との連携具合を見るのに、会社で決められている正しい仕事の仕方や就業規則などの社内ルールを守れるかどうかが、重要な目安となります。
<人事考課の前提となる教育訓練>
どんなに優れた人材でも、会社に合った正しい仕事の仕方や働く上での社内ルールを知らなければ、その能力を発揮することができません。
会社のルールと、各個人の常識とは異なるものですから、会社は会社のルールを社員に教育する必要があります。
これを怠っておいて、「常識だろ!」と叫んでも不合理なパワハラと評価されてしまいます。
コロナ終息後ということもあり人材難・採用難であり、物価高や業界格差など日本経済は大変な状態ですから、社員には1.5人分も2人分も活躍してもらわなければなりません。
長時間労働で倒れては本末転倒ですから、労働時間を増やさずに生産性を高めることを目指さなければなりません。
その手段としては、教育訓練をおいて他にはないでしょう。
しかも、会社にぴったり適合したカスタマイズされた教育訓練であることが必要です。
給与を決めるための人事考課は、この教育訓練が前提となります。
会社として、どのようにして欲しいのかを示さずに、評価だけをするのでは、社員は全く納得がいきません。
会社は学校ではありませんが、もし授業をせずに成績表だけを配布する学校があったなら、その存在価値は疑わしいものです。
<実務の視点から>
その会社に合った人事考課基準の作成、改定、教育、運用は、社労士ではなくてもコンサルタントにもできます。
しかし、就業規則とも連動させ、法令順守を前提とした健全な企業活動を目指すのであれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。