賞与の本質と決定方法

2021/01/29|1,319文字

 

YouTube労働条件を確認しましょう

 

<労働条件の明示>

労働基準法には、次の規定があります。

 

(労働条件の明示)

第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

 

そして賞与については、支給するのであれば明示するというルールです。

厚生労働省の公開している労働条件通知書には次のように示されています。

 

賞与( 有(時期、金額等        ) , 無  )

 

これは「ひな形」ですから、「金額等」と書いてあっても、必ずしも「5万円」とか、「給与の2か月分」などと記入する必要はありません。

ただし記入すれば、それが労働契約の内容となりますから守らなければなりません。

「会社の業績と個人の人事考課により決定される額」という記載でも良いわけです。

 

<給与の決定>

給与というのは、これから先、一定の期間の活躍ぶりを想定して決まるものです。

決して過去の実績に応じて決まるものではありません。

そうでなければ、新規に採用した人の給与や、課長から部長に昇格した人、営業職から事務職に異動した人の給与は決まらないことになってしまいます。

会社によっては、過去の実績を評価して将来の給与を決めていることがあります。

こうした会社では、過去の実績から将来の活躍を予測している建前になっています。

しかし、人事異動には対応できていないわけです。

 

<納得できる賞与の決定>

賞与は、将来の活躍に期待して支給するものではありません。

過去の一定期間の会社の実績、部門実績、個人の会社に対する貢献度、目標の達成度などを評価して支給するものです。

中には、「基本給の2か月分」など計算方法が決まっている会社もあります。

しかし、これでは、会社に貢献してもしなくても支給金額に違いはありません。

賞与の支給額だけを考えるなら、工夫して努力して会社に貢献する気にはなりません。

むしろ、貢献しただけ賞与が増える会社への転職を考えたくなります。

こうした賞与を喜ぶのは、サボっていたい社員だけということになりかねません。

 

<給与と賞与との関係>

給与は将来の活躍を予測して支給します。

この予測が外れることもあります。

良い方に外れたのであれば、それだけ高額の賞与を支給して調整すれば良いのです。

反対に、悪い方に外れたのであれば、それだけ低い金額の賞与を支給して調整したいところです。

結局、賞与は適正な人事考課に基づき、給与の不足や払い過ぎを調整する役割を持つべきものです。

これを実現するのは、具体的で客観的な人事考課基準の運用です。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

小さな会社では、個人の実績を考慮せず一定の基準で賞与の額を決定するということも行われます。

あるいは、支給しない会社も多数あります。

すると結果的に、賞与に見合った働きをしていない社員だけが残ることになります。

なぜなら、賞与以上の貢献をしている社員は、活躍に見合った賞与を支給する会社に転職するからです。

こうして、働き以上の賞与をもらえる社員だけが残り、「いい人材が集まらない」という状態になるのは人事考課制度が無いからです。

会社の現状にふさわしい人事考課をお考えでしたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

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