2024/06/10|1,057文字
<就業規則の存否>
入社したばかりの新人やアルバイトにとって、そもそも会社に就業規則があるのかないのか不明なこともあります。
労働基準法では、「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、…就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。…変更した場合においても、同様とする」となっているので、臨時で働く人を除き、従業員が10人未満の会社では、就業規則が存在しないこともあります。〔労働基準法第89条〕
こうした小さな会社で、就業規則の作成に社長が全く関わらないということは考えられませんので、社長なら確実に答えられるでしょう。
<保管場所について>
使用者は、就業規則を周知する義務を負っています。〔労働基準法第106条第1項〕
「周知」というのは、従業員が見ようと思えば見られる状態にしておくことです。
周知しておかなければ、たとえ所轄の労働基準監督署長に届け出た就業規則であっても、無効ということになってしまいます。
ですから、就業規則をどこでどうやって読んだら良いのかわからない従業員に対しては、会社は就業規則の効力を主張できません。
この場合でも、年次有給休暇、産休、育休など法定の権利については、就業規則の有無や内容に関係なく従業員に与えられています。
このように、周知は重要ですから、社内のどの従業員にたずねても、就業規則の保管場所はすぐに分かるはずです。
<どこを読んだら良いのか>
自分が疑問に思った点について、就業規則のどこを読んだら良いのか分からないことがあります。
この場合には、総務・人事の担当者に相談することになります。
ただ、就業規則が作られただけで、法改正や会社の状況に応じた変更がない会社では、社内に詳しい人がいないという困った事態もありえます。
この場合でも、いい加減に作られた就業規則は、労働基準法などによって労働者に有利な方向に修正されて効力を発します。
<読んでも意味が分からないとき>
必要な部分を読んでみたものの、その意味が分からないということがあります。
従業員が読んでも分からない規定のある就業規則というのは、それ自体問題ですが、この場合にも、総務・人事の担当者に相談することになります。
それでも、なお分からないことがあります。
特に法令やひな形を丸写しにしただけの規定であれば、会社の実情に合っているかどうかのチェックもされていませんので、会社にとってどういう意味があるのか、誰にも分からないということも稀ではありません。
こんな就業規則はトラブルの元ですから、信頼できる社労士にご相談ください。