10年年金についての勘違い ― 10年納めればというのは老齢年金の話であって障害年金や遺族年金ではありませんし免除期間は10年にカウントされます

2024/03/06|1,052文字

 

<受給資格期間の短縮>

年金機能強化法の改正があって、平成29(2017)81日より老齢年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されました。

受給資格期間というのは、原則65歳から老齢基礎年金を受給するための条件となる期間で、次の3つの期間の合計です。

1.厚生年金保険や国民年金の保険料を納付した期間

2.国民年金の保険料の納付を免除された期間

3.合算対象期間(カラ期間)

結局、保険料を支払わず免除も受けていない期間は、原則としてカウントされないことになります。保険料を納めるのが難しい経済的事情があるのなら、免除を受けるための手続きが必要です。

 

<納付期間の勘違い>

国民年金(老齢基礎年金)は、国籍を問わず日本国内に住所があると、20歳から60歳になるまで強制的に加入することになります。

その間、保険料の滞納や免除期間がない限り、この満額を受け取ることになります。

令和6(2024)年度の場合、昭和 31 年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額 67,808 円(対前年度比+1,758 円)です。

昭和 31 年4月2日以降生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額 68,000 円(対前年度比+1,750円)です

たしかに、年金受給資格期間は25年から10年に短縮されたのですが、10年間だけ年金保険料を納めれば、あとは納めなくても良いというわけではありません。

10年を超えて年金保険料を納めても、40年に到達するまでは、満額受給することはできず、納付期間に応じた年金しか受給できません。

十分な年金を受給するには、なるべく長期間、年金保険料を納付することが必要です。

 

<保険料の免除についての勘違い>

国民年金の保険料の免除には、法定免除、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除、納付猶予、学生納付特例があります。

免除されたら、納付したのと同じ効果があるというわけではありません。

平成21(2009)4月分以降について、法定免除、全額免除は、納付した場合の2分の1の効果、半額免除は、納付した場合の8分の6の効果をもたらすことになります。

学生納付特例では、後から年金保険料を納めなければ、年金額には反映されません。

 

<実務の視点から>

年金について、個人の具体的なデータは、年金事務所や街角の年金相談センターで確認することができます。

ご自分で確認する時間的余裕がなかったり、年金事務所などで相談したけれども、今一つわからないときには、信頼できる社労士にご相談ください。

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