2024/01/07|745文字
<報連相は大事だが>
会社の物品が壊れた時に、すぐに報告せず遅れて報告したら、責任を問われ半額弁償するよう迫られたという相談がありました。
かなりメチャクチャな話であることは明らかです。
理論的に反論するなら、報告が遅れたことと会社の物品が壊れたこととの間に因果関係が無いので、物品の修理費用や新品の購入代金を基準に責任を負わされるのは不合理だということになります。
報告が遅れたから物品が壊れたわけではないのに、壊れたことに対して責任を負うのはおかしいのです。
<営業上の損害が発生する場合>
パン屋さんやピザ屋さんで、閉店間際にパンを焼くオーブンやピザを焼く窯(かま)が壊れたとします。
このときすぐ会社に報告して、修理の手配や代品の手配ができるようにしなかったため、翌日、臨時休業になったとします。
会社の損害は、その店舗の1日分の売上に基づく利益ということになります。
もし、会社に損害を加えようとして、わざと報告しなかったのであれば、不法行為としてこの損害を基準とする賠償を求められることもありえます。〔民法第709条〕
しかし、この場合でも、修理費用が賠償額の基準になるわけではありません。
また、その場にいる従業員だけで、何とか修理しようとして翌朝まで頑張ってしまい、会社に報告することなど思いもよらなかったというケースなら、故意はありません。
過失にしてはひどすぎますが、会社側の教育不足も原因だと考えられます。
就業規則の懲戒規定に従い、合理的な範囲内で懲戒処分を受けることになるでしょう。
<実務の視点から>
こんなとき報告を受ける側としては、ついカッとなってしまいます。
クビにしようか、全額弁償させようかと、極端な思考に走りがちです。
一呼吸おいて信頼できる社労士にご相談いただけたらと思います。