旅館業法の改正

2024/01/06|848文字

 

<旅館業法の改正>

旅館業法等の一部改正を行う法律が成立し、令和5(2023)年12月13日に施行されました。

主な内容内容は次の4点です。

1 宿泊拒否事由の追加

2 感染防止対策の充実

3 差別防止の更なる徹底等

4 事業譲渡に係る手続の整備

 

<改正の経緯>

旅館業法は、旅館業の営業者は、公衆衛生や旅行者等の利便性といった国民生活の向上等の観点から、一定の場合を除き、宿泊しようとする者の宿泊を拒んではならないと規定しています。

しかし、新型コロナウイルス感染症の流行期には、国に対して、① 宿泊者に対して感染防止対策への実効的な協力の求めを行うことができない、② 迷惑客について、営業者が無制限に対応を強いられた場合には、感染防止対策をはじめ、本来提供すべきサービスが提供できない 等の意見が寄せられました。

こうした情勢の変化に対応するため、旅館業法が改正されることとなったのです。

 

<宿泊拒否事由の追加>

今回の法改正により、宿泊を拒むことができる事由として「特定要求行為が行われたとき」が追加されました。「特定要求行為」とは、カスタマーハラスメントに該当する行為等を指します。

この例として、厚生労働省からは、① 不当な割引、契約にない送迎等、過剰なサービスの要求、② 対面や電話等により、長時間にわたり、不当な要求を行う行為、③ 要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が不相当なもの等 が挙げられています。

 

<実務の視点から>

出張や社員旅行などで、会社が従業員の宿泊施設を予約することもあります。万一、宿泊予定の従業員が「特定要求行為」を行ったことにより、正当に宿泊を拒否されてしまった場合、代わりの宿泊施設を見つけるのは困難かもしれません。出張なら業務が滞りますし、社員旅行なら多くの人に迷惑をかけます。

カスタマーハラスメント対策というと、悪質顧客から従業員を守ることが中心となります。しかし、従業員がカスタマーハラスメントを行わないように教育することも、必要なことが分かります。

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