不合理な就業規則

2023/08/15|971文字

 

<一般常識>

就業規則には職場のルールが定められ、従業員にある程度共通する労働条件の統一的内容が示されています。

ですから、これに従うのが当然であるというのが、企業と従業員の共通認識だと考えられます。

 

<就業規則と校則>

しかし、就業規則は使用者が一方的に作成するものです。

労働基準監督署長に就業規則を届け出る場合には、労働者の過半数で組織される労働組合または労働者の過半数を代表する者の「意見書」を添付します。

この「意見書」は労働者側の意見を示したものですが、使用者はこれに従う義務どころか応答する義務もありません。

作成の経緯としては、中学校や高校の生徒手帳に書いてある校則と同じようなものです。

契約であれば当事者の合意を根拠として、その内容に従う義務を負うのは当然ですが、就業規則は契約ではないのです。

 

<法令の規定>

次の2つの条件を満たしている場合には、労働者も使用者も就業規則の規定に従う義務があります。〔労働契約法第7条〕

・合理的な労働条件を定めていること

・周知されていること

ですから、労働者は不合理な就業規則に従う義務が無いということになります。

しかし、「周知されていること」というのが、就業規則を見ようと思えば見られるかどうかで明らかなのに対して、「合理的」かどうかは簡単に判断がつきません。

 

<「合理的」の判断基準>

労働契約法は、裁判所が判断するにあたって形成してきた理論(判例法理)を立法化したものです。

そして、2007年の成立後も数多くの裁判例があらわれています。

それでも、統一的な基準ができているわけではなく、一つひとつの具体的な事例に即して判断する形がとられています。

ですから、社会人としての一般常識から「合理的」かどうかを判断するのは困難です。

多くの労働法と、さらに多くの裁判例を踏まえて、具体的な就業規則の規定の合理性を判断する必要があるのです。

ですから、社内で就業規則の規定について「合理性」の判断が分かれた場合、社内で解決することは困難です。

こうした場合には、専門家である社労士に判断を仰ぎ、わかりやすい説明を求めることで決着させるのが安心です。

もし、不合理な規定であったり、法令違反の規定であった場合には、会社の実情に照らしてふさわしい規定の提案も依頼できます。

信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

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