勤務間インターバル制度

2023/09/03|1,457文字

 

<勤務間インターバル制度>

勤務間インターバル制度は、1日の勤務終了後、次回の出社までの間に、一定時間以上のインターバル時間(休息時間)を確保する仕組で、労働者の生活時間や睡眠時間を確保するうえで有効な制度です。

インターバル時間は、業務から離れて自由に過ごせる点で、休憩時間と同じ性質を持っていますが、業務の合間の休憩時間と区別するため、インターバル時間という用語が用いられます。

平成31(2019)年4月1日より、労働時間等設定改善法により、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務となりました。

働き方改革の一環で労働基準法が改正され、時間外労働の上限規制が導入されました。

しかし、この規制は、1か月間、1年間という長期間の労働時間の合計についてのものであり、特定の日に長時間労働となり十分なインターバル時間が取れないという問題を解消できません。ここに、勤務間インターバル制度の導入が求められる理由があります。

 

<制度導入の効果>

勤務間インターバル制度の導入により得られる効果として、従業員の健康の維持・向上、従業員の確保・定着、生産性の向上などが挙げられます。

インターバル時間と健康についての調査結果では、インターバル時間が短くなるにつれてストレス反応が高くなること、インターバル時間が12時間を下回ると起床時に疲労感が残ることが示されており、十分なインターバル時間の確保が、従業員の健康の維持・向上につながることが示唆されています。

日々のインターバル時間を確保することは、自分のためにつかう時間、家族や友人等と過ごす時間等が増えることにつながり、仕事と家庭の両立を容易にします。これは従業員にとって、働きやすく魅力的な職場の実現となりますから、企業にとって、人材の確保・定着に大きく資するものと考えられます。

勤務間インターバル制度の導入により、従業員は「仕事に集中する時間」と「プライベートに集中する時間」のメリハリをつけることができるようになります。従業員の仕事への集中度が高まれば、製品・サービスの品質が向上し、生産性の向上にもつながります。

 

<従業員の意識変化>

勤務間インターバル制度の導入により、従業員の意識にも変化が現れていることが紹介されています。

「予定が入ってしまっているから仕方ない」という考えから、「インターバル時間を意識しながらスケジュールの重要度や優先度を考えて調整する」という受け止め方に変わり、インターバル時間に重なる時間帯に会議等への参加が求められる場合には、スケジュール見直しの交渉が行われるようになった。

従業員の中に「勤務時間が終わったら、帰って休む」という意識が生まれ、職場全体の雰囲気が変化し、シフト勤務終了時刻には従業員間で「もう帰る時間だよ」という声掛けが行われるとともに、次のシフトの従業員が残った業務を引き継ぐ体制が整えられつつある。

 

勤務間インターバル制度の導入によって、従業員が自主的に改善に取組むようになる傾向は、このマニュアルの他にも多くの事例で見られます。

休暇の取得や労働時間の削減は、ともすると会社からの押し付けになりがちですが、自主的に取組みやすい制度としても、勤務間インターバル制度はお勧めできると思います。

 

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