コミュニケーションコスト

2021/01/08|1,839文字

 

<コミュニケーション不足>

コミュニケーションというのは、人と人との間で行われる知覚・感情・思考の伝達です。

労働問題の原因の大半は、コミュニケーション不足にあると考えられます。

コミュニケーションの良い職場では、労働問題が少ないといえます。

しかし、「コミュニケーションを心がけましょう」と言ってみたところで、それは掛け声に終わってしまいます。

 

<コミュニケーションコスト>

コミュニケーションコストとは、知覚・感情・思考の伝達に必要な、時間・労力・精神的負担のことです。

短時間で手軽に気軽に伝われば、コミュニケーションコストが低いことになりますし、長時間にわたり苦労しないと伝わらないのは、コミュニケーションコストが高い状態です。

 

<伝え手のコミュニケーションコスト>

伝え手のコミュニケーションコストは、受け手に伝えるのに必要な時間・労力・精神的負担です。

主に受け手側に、忙しそう、嫌そうに見える、伝えると怒りそう、反論しそう、理解力が低いなどの問題があると、伝え手のコミュニケーションコストが高くなります。

受け手が、いつも機嫌良く、話しかけると嬉しそうに笑顔になって、反論せずに最後まで聞いて、「ああなるほど」と言ってくれる相手であれば、伝え手のコミュニケーションコストは極めて低くなります。

こういう受け手の所には、情報が集まります。

 

<受け手のコミュニケーションコスト>

受け手のコミュニケーションコストは、伝え手から知覚・感情・思考を受け取るのに必要な時間・労力・精神的負担です。

主に伝え手側に、遠慮している、自信が無い、感情的になっている、言語能力が不足している、論理的でない、話が脱線するなどの問題があると、受け手のコミュニケーションコストが高くなります。

伝え手が、自信を持って堂々と冷静に、分かりやすく論理的に手短に話してくれる人なら、受け手のコミュニケーションコストは極めて低くなります。

こういう伝え手には、協力者が集まります。

 

<職場のコミュニケーションコスト>

職場のコミュニケーションコストは、情報の共有と価値観の統一が進んでいて、メンバーが高い言語能力と理解力を備えていれば、全体に低くなります。

言語能力と理解力は、個人の資質と努力にかかっていますので、職場のコミュニケーションコストを下げるには、情報の共有と価値観の統一を図るのが合理的です。

価値観の統一を図るには話し合いが必要ですから、コミュニケーションコストが低い職場ほど、価値観の統一が進むことになります。

反対に、相手の立場に立って考えることが苦手なメンバーが多いと、価値観の統一を図るのは困難です。

 

<報連相の問題>

ある職場で、報連相不足が認識されたとします。

「報連相を心がけましょう」と言ってみたところで、それは掛け声に終わってしまいます。

もちろん、報連相をする部下の意識が低いだけであれば、こうした掛け声だけで改善されることもあるでしょう。

しかし、多くの場合には、部下のコミュニケーションコストが高くて、報連相がしにくいという実態があります。

つまり上司が、部下の前ではいつも忙しそうで機嫌が悪く、何か伝えても途中で反論しながら怒るというのでは、安心して報告も、連絡も、相談もできる筈がありません。

報連相不足が問題視される職場では、管理職が態度を改めることによって、改善が進みやすくなります。

 

<テレワークの問題>

テレワークでは一般に、コミュニケーションコストが高くなります。

リモート会議のツールを使っても、話し相手の反応にはラグ(遅延)が付き物ですから、コミュニケーションコストが高くなって当然です。

ましてやメールの場合には、相手の様子が分からないまま、文字だけで知覚・感情・思考を伝達するのですから、どうしてもコミュニケーションコストが高くなってしまいます。

当然のマナーともいえますが、メールを打ち終わっても、すぐに送信するのではなく、次のチェックを行いながら何度も推敲すべきです。

 

【メール送信前のチェック】

・可能な限り相手の立場に立って、分かりにくい点は無いか、誤解を招く点は無いか。

・論理矛盾は無いか。

・用件と無関係なことを書いていないか。

・相手がメールを読んで起こすべきアクションは明確か。

・誤字、脱字、誤変換、「てにをは」の誤りは無いか。

 

こうすることによって、コミュニケーションコストを低くすることができます。

もし、感情的になっていたら、一度冷静になってから上記のチェックを行うようお勧めします。

 

解決社労士

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