2024/07/26|1,843文字
<コミュニケーション不足>
コミュニケーションというのは、人と人との間で行われる知覚・感情・思考の伝達です。
労働問題の原因の大半は、コミュニケーション不足にあると考えられます。
コミュニケーションの良い職場では、労働問題が少ないといえます。
しかし、「コミュニケーションを心がけましょう」と言ってみたところで、それは掛け声に終わってしまいます。
<コミュニケーションコスト>
コミュニケーションコストとは、知覚・感情・思考の伝達に必要な、時間・労力・精神的負担のことです。
短時間で手軽に気軽に伝われば、コミュニケーションコストが低いことになりますし、長時間にわたり苦労しないと伝わらないのは、コミュニケーションコストが高い状態です。
<伝え手のコミュニケーションコスト>
伝え手のコミュニケーションコストは、受け手に伝えるのに必要な時間・労力・精神的負担です。
主に受け手側に、忙しそう、嫌そうに見える、伝えると怒りそう、反論しそう、理解力が低いなどの問題があると、伝え手のコミュニケーションコストが高くなります。
受け手が、いつも機嫌良く、話しかけると嬉しそうに笑顔になって、反論せずに最後まで聞いて、「ああなるほど」と言ってくれる相手であれば、伝え手のコミュニケーションコストは極めて低くなります。
こういう受け手の所には、情報が集まります。
<受け手のコミュニケーションコスト>
受け手のコミュニケーションコストは、伝え手から知覚・感情・思考を受け取るのに必要な時間・労力・精神的負担です。
主に伝え手側に、遠慮している、自信が無い、感情的になっている、言語能力が不足している、論理的でない、話が脱線するなどの問題があると、受け手のコミュニケーションコストが高くなります。
伝え手が、自信を持って堂々と冷静に、分かりやすく論理的に手短に話してくれる人なら、受け手のコミュニケーションコストは極めて低くなります。
こういう伝え手には、協力者が集まります。
<職場のコミュニケーションコスト>
職場のコミュニケーションコストは、情報の共有と価値観の統一が進んでいて、メンバーが高い言語能力と理解力を備えていれば、全体に低くなります。
言語能力と理解力は、個人の資質と努力にかかっていますので、職場のコミュニケーションコストを下げるには、情報の共有と価値観の統一を図るのが合理的です。
価値観の統一を図るには話し合いが必要ですから、コミュニケーションコストが低い職場ほど、価値観の統一が進むことになります。
反対に、相手の立場に立って考えることが苦手なメンバーが多いと、価値観の統一を図るのは困難です。
<報連相の問題>
ある職場で、報連相不足が認識されたとします。
「報連相を心がけましょう」と言ってみたところで、それは掛け声に終わってしまいます。
もちろん、報連相をする部下の意識が低いだけであれば、こうした掛け声だけで改善されることもあるでしょう。
しかし、多くの場合には、部下のコミュニケーションコストが高くて、報連相がしにくいという実態があります。
つまり上司が、部下の前ではいつも忙しそうで機嫌が悪く、何か伝えても途中で反論しながら怒るというのでは、安心して報告も、連絡も、相談もできる筈がありません。
報連相不足が問題視される職場では、管理職が態度を改めることによって、改善が進みやすくなります。
<テレワークの問題>
テレワークでは一般に、コミュニケーションコストが高くなります。
リモート会議のツールを使っても、話し相手の反応にはラグ(遅延)が付き物ですから、コミュニケーションコストが高くなって当然です。
ましてやメールの場合には、相手の様子が分からないまま、文字だけで知覚・感情・思考を伝達するのですから、どうしてもコミュニケーションコストが高くなってしまいます。
当然のマナーともいえますが、メールを打ち終わっても、すぐに送信するのではなく、次のチェックを行いながら何度も推敲すべきです。
【メール送信前のチェック】
・可能な限り相手の立場に立って、分かりにくい点は無いか、誤解を招く点は無いか。
・論理矛盾は無いか。 ・用件と無関係なことを書いていないか。 ・相手がメールを読んで起こすべきアクションは明確か。 ・誤字、脱字、誤変換、「てにをは」の誤りは無いか。 |
こうすることによって、コミュニケーションコストを低くすることができます。
もし、感情的になっていたら、一度冷静になってから上記のチェックを行うようお勧めします。