2024/04/28|1,429文字
<Society5.0>
Society(ソサエティー)5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)をいいます。
第1段階の狩猟社会(Society1.0)、第2段階の農耕社会(Society2.0)、第3段階の工業社会(Society3.0)、第4段階の情報社会(Society4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において、日本が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。
内閣府は、Society5.0の社会を次のように想定しています。
<新たな社会>
Society5.0で実現する社会では、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、知識や情報が共有され、今までに無い新たな価値を生み出すことで、多くの課題や困難が克服されるでしょう。
また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されるでしょう。
<Society5.0のしくみ>
Society5.0では、フィジカル空間のセンサーからの膨大な情報が、ビッグデータとしてサイバー空間に集積されます。
このビッグデータを人間の能力を超えた人工知能(AI)が解析し、その解析結果がフィジカル空間の人間に様々な形でフィードバックされることで、これまでには出来なかった新たな価値が産業や社会にもたらされることになります。
<人間中心の社会へ>
Society5.0では、ビッグデータを踏まえたAIやロボットが、今まで人間が行っていた作業や調整を代行・支援するため、日々の煩雑で不得手な作業などから解放され、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることができるようになるでしょう。
これは、ひとり一人の人間が中心となる社会であり、決してAIやロボットに支配され、監視されるような未来ではありません。
先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、イノベーションから新たな価値が創造されることにより、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会が実現されると考えられます。
<これから求められる人材>
厚生労働省の、「今後の人材開発政策の在り方に関する研究会」でも、その報告書の中で、新型コロナウイルス感染症の存在を前提とした職業訓練の構築とともに、Society5.0の実現に向けた社会実装や第4次産業革命(IoT、AI、ビッグデータ等)に伴う技術革新の進展等に対応したデジタル利活用人材の育成が進み、国際競争力の維持・向上を実現している社会を目指すべきだとされています。
また、人生100年時代の到来による職業人生の長期化を見据え、労働者が在職中・離職中を問わず、若年のうちから主体的に自らの職業能力開発を継続的に行い、自身のライフステージに応じて、希望する職場で活躍し続けることができる社会になるべきだとしています。
つまり、Society4.0からSociety5.0への変革の中で、求められる職業能力が大きく変容するため、労働者自身が継続的に能力開発をする必要があり、国家も企業もその手助けをしなければならないということです。
これは、企業での教育訓練を優先課題とすべき時期が到来したことを意味します。