2023/12/16|1,123文字
<雇用保険の基本手当>
会社などで雇用されていた人が離職した場合、失業中の生活を心配しないで再就職活動ができるよう、一定の条件を満たせば、雇用保険の「基本手当」を受けることができます。
「基本手当」は、50年前まで「失業手当」「失業給付」と呼ばれていたものです。
<基本手当をもらう原則の条件>
「基本手当」は、雇用保険の加入者(被保険者)が離職して、次の2つの条件を両方とも満たす場合に支給されます。
【基本手当の受給条件】
・ハローワークで求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること
・離職の日以前2年間に、「被保険者期間」が通算して12か月以上あること |
<基本手当をもらう例外の条件>
ただし、「特定受給資格者」または「特定理由離職者」については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合にもらえます。
ここで、「特定受給資格者」というのは、解雇・倒産等により離職した人をいいます。
また、「特定理由離職者」というのは、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した人などをいいます。
<離職の意味>
退職が「離職」に含まれるのは当然ですが、週所定労働時間が20時間未満になった場合も「離職」に含まれます。
勤務時間が少ないと、安定した雇用ではなく、転職先を考えながらの勤務が想定されるからです。
<被保険者期間の算定方法の変更>
基本手当をもらう条件の1つである被保険者期間については、次の算定方法が取られていました。
【改正前】
離職日からさかのぼって、1か月ごとに区切った期間に、賃金支払の基礎となった日が11日以上ある月を1か月として計算 |
この算定方法によると、出勤日や年次有給休暇取得日のみがカウントされ、労働時間が計算の対象外となってしまいます。
そこで、令和2年8月1日以降に離職する人については、次の算定方法が取られるようになりました。
【改正後】
離職日からさかのぼって、1か月ごとに区切った期間に、賃金支払の基礎となった日が11日以上ある月、または、賃金支払の基礎となった時間が80時間以上ある月を1か月として計算 |
<実務への影響>
離職日が令和2年8月1日以降の人について作成する離職証明書では、「(9)賃金支払基礎日数」欄や「(11)基礎日数」欄に記載する賃金支払基礎日数が10日以下の期間の「(13)備考」欄に、賃金支払の基礎となった労働時間数を記載することになっています。
対象者が限られているだけに、忘れることがないよう注意が必要です。