2023/12/11|1,083文字
<標準報酬月額>
厚生年金保険では、加入者(被保険者)が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を、一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を保険料の計算に用います。
令和2年8月31日までの標準報酬月額は、1等級(9万8千円)から30等級(62万円)までの30等級に分かれていました。
そして、毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われます(定時決定)。
また、報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合には、標準報酬月額の改定が行われます(随時改定)。
<標準報酬月額の上限の改定>
厚生年金保険法の規定に基づき、令和2年9月1日から、厚生年金保険の標準報酬月額の上限が変更されました。
【厚生年金保険法第20条第2項:標準報酬月額の改定】
毎年3月31日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。 |
厚生年金保険法における従前の標準報酬月額の上限等級(31級・62万円)の上に1等級が追加され、上限が引き上げられたのです。
【第31級】
標準報酬月額 620,000円
報酬月額 605,000円以上635,000円未満
保険料 全額113,460円 被保険者負担分(折半)56,730円
【第32級】
標準報酬月額 650,000円
報酬月額 635,000円以上
保険料 全額118,950円 被保険者負担分(折半)59,475円
<改定通知書の送付>
厚生年金保険の標準報酬月額の上限改定に伴い、改定後の新等級に該当する被保険者がいる対象の事業主及び船舶所有者に対して、令和2年9月下旬以降に日本年金機構より「標準報酬改定通知書」が送付されました。
このような標準報酬月額の改定に際して、事業主及び船舶所有者からの届出は不要です。
<給与計算上の注意>
保険料が9月1日に改定された場合、通常、給与から差し引かれる(控除される)保険料が改定されるのは、10月に支給される給与からです。
しかし稀に、9月に支給される給与から変更となる会社もあります。
変更時期を誤ったり忘れたりすると、所得税の社会保険料控除にも影響が出ますので、事前に確認し正しく計算しましょう。