会計検査院による調査は、労働基準監督署や年金事務所などの調査よりも厳しい傾向にあります

2024/09/07|1,484文字

 

<会計検査院の存在根拠>

会計検査院については、日本国憲法に次の規定があります。

 

第九十条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

 

憲法に規定された組織ですから、国家レベルで重要な組織であることは明らかです。

 

<会計検査院の役割>

会計検査院の組織及び権限は、憲法の規定に従い会計検査院法に定められています。

その中の条文を読んでも、会計検査院の役割は簡単に理解できるものではありません。

会計検査院のホームページの最初に記載されている次の説明がわかりやすいと思います。

 

会計検査院は、国の収入支出の決算、政府関係機関・独立行政法人等の会計、国が補助金等の財政援助を与えているものの会計などの検査を行う憲法上の独立した機関です。

 

結局、国に入るべきお金がきちんと入っていること国から出て行くべきではないお金が出て行っていないこと、この2つをチェックしているわけです。

国の財源は税金が中心です。

国のお金が不足すれば、増税されることになります。

国に入るべきお金がきちんと入らないと、増税に結びつくわけですから、我々国民も企業も大いに迷惑します。

また、国から出て行くべきではないお金が出て行ってしまっても、国のお金が不足することになり、やはり増税に結びつきます。

会計検査院は、こうしたことが起こらないように、国のお金の流れをチェックしているのです。

 

<国に入るべきお金がきちんと入っているかの調査>

たとえば、所轄の労働基準監督と会計検査院が一緒に企業の調査に入ることがあります。

企業が正しく労災保険や雇用保険の対象者を確定し、正しく保険料を納めていないと、国に入るべきお金がきちんと入らない恐れがあります。

そこで、労災保険と雇用保険の保険料を納める手続である労働保険年度更新が正しく行われている必要があります。

年度更新の手続を監督しているのは、基本的に所轄の労働基準監督署ですから、労働基準監督署が年度更新の内容を再確認するのを会計検査院がチェックするという二段構えになります。

こうした場合、当然ですが一番緊張するのは労働基準監督署の職員の方々です。

所轄の年金事務所と会計検査院が一緒に企業の調査に入る場合もあります。

社会保険の加入対象者や加入時期が正しいこと、保険料の計算が正しいこと、定時決定(算定基礎届)の内容などについて再確認が行われます。

 

<国から出て行くべきではないお金が出て行っていないかの調査>

所轄のハローワークと会計検査院が一緒に企業の調査に入る場合があります。

就職した後も失業手当(求職者給付の基本手当)を受給している人がいないか、関連企業への転職なのに再就職手当を受給していないかなど、給付すべきではないお金が支給されていないかをハローワークが再確認し、それを会計検査院がチェックするのです。

ここでも、一番緊張するのはハローワークの職員の方々です。

 

<実務の視点から>

社労士は会計検査院の調査や労働基準監督署の監督に立会うことも、国家資格者としての立場で業務として行っています。

もちろん立会いだけでなく、その後の報告書の作成・提出のフォローや代行も行っています。

きちんと対応しておくと、お世話になっている労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所の皆さんに感謝されるわけですから、メリットは大きいと思います。

調査が入るとわかったら、あるいは抜き打ちの調査を受けたら、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

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