2024/02/13|844文字
<法律による制約>
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされています。〔労働契約法第16条〕
この条文を適用しても解雇が無効とされないケースは、かなり限られています。
つまり、簡単には解雇できないことになっています。
入社して間もなくの解雇は、「採用取消」などと呼ばれますが、実態は解雇ですから、解雇としての法的規制を受けます。
<詐欺のようなケース>
採用選考の段階で、労働者から会社に対して「業務に支障の出る病気は無い」「病気治療のための通院でしばしば欠勤するようなことは無い」と申し出ていたにもかかわらず、入社後の雇い入れ時健康診断で「要治療」の結果が出てしまい、仕事にも支障が出るし、通院のため毎週1回午後3時までに早退しなければならないことが発覚し、本人がこれを知っていて嘘をついていたというケースなら、解雇(採用取消)も正当なものと認められやすいでしょう。
もっとも、証拠を残しておくことを忘れていなければですが。
<業務の転換すらできないケース>
雇い入れ時健康診断であれ、定期健康診断であれ、その結果がかなり悪くて今の業務を続けさせることが困難であれば、会社は職務の転換をしてあげなければなりません。
しかし小規模な会社であれば、転換させようにも、適当な仕事が見つからないかもしれません。
会社は、新たに仕事を作るような義務までは負っていません。
このようなケースであれば、解雇も正当なものとして有効となることが多いでしょう。
ただし、会社に休職の制度があるのなら、それも検討したいところです。
<実務の視点から>
ただ単に健診結果が悪いだけで解雇を通告しても、不当解雇となり解雇は無効です。
具体的なケースで会社がどうすべきか、失敗しないためには、信頼できる社労士にご相談ください。
すでに、解雇があって不当解雇が疑われるケースでは、社労士の中でも、特定社労士の業務となりますので、特定社労士にご相談ください。