就業規則変更と労働者の意見聴取

2023/12/20|1,179文字

 

<就業規則変更の手順>

就業規則変更の正しい手順は、次の通りです。

1.法改正や社内ルールなどの変更により就業規則変更の必要が発生

2.担当部署や社労士(社会保険労務士)が変更案を作成

3.社内での決裁

4.従業員への周知

5.労働者の意見書作成

6.労働基準監督署への変更届提出

このうち5.の意見書には、労働組合や労働者の過半数を代表する者の、就業規則変更についての意見を記入します。

変更後の就業規則が社内に周知され、多くの労働者の反応を把握してから意見書を書くようにしなければ、労働者を代表する立場で書くのは難しいでしょう。

ですから、上記の順番が正しいわけです。

 

<手順がおかしいと>

ところが実際には、5.意見書 → 6.届出 → 4.周知 の順番になってしまうことも多いようです。

法律上、就業規則が効力を発生するのは、従業員への周知の時なのですが、労働基準監督署への届出の時だという勘違いがあるのでしょう。

社内の一部の人や社労士が就業規則の変更案を作り、これが従業員一般に公開されないまま決定されて労働基準監督署に届出が行われるというのは良くないです。

「就業規則が変わりました。労働基準監督署にも届出済です。守ってください」では、唐突すぎて会社に対する不信感が生まれてしまいます。

たとえ従業員に有利な変更だったとしても、だまし討ちのように思われてしまいます。

やはり、正しい手順で行うことが大事です。

 

<一歩進んで>

就業規則の変更案を作る段階で、その変更により最も影響を受ける従業員から意見を聴き、それを参考にしたらどうでしょうか。

意見の内容はバラバラでしょうから、すべての意見を聞き入れることはできません。

それどころか会社の都合で、変更案に意見が全く反映されないこともあるでしょう。

それでも、一応、意見を聴いておけば、思わぬ勘違いを防げますし、より良い変更案のヒントが得られるかもしれません。

なにより、会社が従業員の意見を聴いたうえで、就業規則の変更を進めるというのは、民主的で良いことです。

このように、一手間加えることで、会社の態度を示すことができますし、従業員の皆さんも就業規則に関心を持ち、守ろうとする気持が高まることでしょう。

 

<実務の視点から>

就業規則が従業員に理解され守られるようにするのは、手間がかかることです。

たとえば、勤務先の店内でふざけた写真を撮りネットに掲示することが、就業規則の中の「会社の信用を傷付け・・・」にあたるとは思わない若者が多いのです。

新人が入ってきたら、就業規則について基本的なことは説明しなければなりません。

初めて役職者になった従業員に対しては、一段高いレベルの教育も必要です。

理想をいえば、毎年のように定期的な説明会を開きたいところです。

もし、社内でまかない切れない部分があれば、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

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