2023/12/07|782文字
<やる気そのものは見えない>
いかにも「やる気」が無さそうな社員は、他の社員に悪影響を及ぼします。
しかし、「やる気」というのは、心の中のことですから目に見えません。
それでも、「やる気」のないことが客観的に外部に現れていれば、それを理由とする解雇も可能です。
<法的規制>
「退職に関する事項」は、就業規則の絶対的必要記載事項です。
就業規則に必ず規定しなければなりません。〔労働基準法第89条第3号〕
ですから、就業規則に定めていない理由での解雇はできません。
しかし、就業規則に定めれば、どんな理由でも解雇できるというわけではありません。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とするとされています。〔労働契約法第16条〕
<具体的な規定例>
具体的な就業規則の規定例としては、次のようになります。
「労働者が次のいずれかに該当するときは解雇することがある。
1.勤務状況が著しく不良で改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし得ないとき。
2.勤務成績または業務能率が著しく不良で向上の見込みがなく、他の職務にも転換できないなど就業に適さないとき。
1.は「やる気」の無さが、遅刻、早退、欠勤などに形となって現れた場合、
2.は「やる気」の無さが、仕事の成果に形となって現れた場合の規定です。
<実務の視点から>
労働法の改正が重ねられ、労働判例が集積されるにつれ、「不当解雇」のハードルが低くなっています。
つまり、「常識的に考えて解雇は当然」と思われる場合でも、法的には「不当解雇」であると判断されるケースが大半になっています。
解雇を検討する場合には、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。
いや、それ以前に、そんな人物を採用してしまうのはおかしいのですから、採用についてのご相談をしていただきたいです。