労基法と労働法の違い

2025/10/19|832文字

 

労働基準法(労基法)と労働法を混同している方がいます。こうした方には、専門的な視点と一般向けのわかりやすさを両立させて説明する必要があります。

 

<労働法とは何か?>

労働法とは、労働に関する法律全般を指す「総称」です。つまり、労働者の権利を守り、雇用主との関係を規律するための法律群のことです。

労働法は「法律のジャンル」であり、複数の法律を含みます。労働法の中には次のような法律があります。

・労働基準法(労働条件の最低基準)

・労働契約法(契約のルール)

・労働組合法(労働組合の権利)

・労働関係調整法(労使紛争の調整)

・男女雇用機会均等法(差別の禁止)

・育児・介護休業法(家庭と仕事の両立支援)

・高年齢者雇用安定法(高齢者の雇用確保)

・障害者雇用促進法 など

つまり「労働法」は、これらすべての法律を含む広い概念です。

 

<労働基準法とは何か?>

労働基準法(労基法)は、労働法の中の「中心的な法律」のひとつです。労働者の最低限の労働条件を定めており、すべての労働者に共通して適用されます。

施行:1947年(戦後の民主化の一環として制定)

目的:労働者の人間らしい生活を保障するため、最低限の労働条件を法律で定める。

・労働時間(原則1日8時間、週40時間)

・休憩・休日(週1回以上の休日など)

・賃金(割増賃金など)

・解雇(30日前の予告など)

・年次有給休暇(6か月以上勤務で10日以上の付与など)

・労働契約の明示(労働条件の書面交付義務)

労基法は「最低限の基準」を定めているため、これを下回る労働契約の内容は無効になります。

 

<違いを理解すると>

この違いの理解は、次のような場面で役立ちます。

労働者としての権利や義務を正しく理解し、関係法令の内容に従って主張することができます。

会社に労働条件の改善を求める際に、最低基準(労基法)とそれ以上の保護(他の労働法)、さらに上乗せされる恩恵的なものを区別して要求できます。

労働トラブルの発生時に、相談窓口に効率よく説明することができます。

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