シフト制だと困ること

2026/10/16|1,555文字

 

シフト制は繁閑に応じた人員配置が可能である一方、運用を誤ると労務管理上のトラブルや人材確保の問題が生じやすいため、メリットだけでなくデメリットも理解した上で制度設計することが重要です。

 

シフト制で従業員を雇うことの主な不都合

 

① シフト作成や管理の負担が大きい

シフト制では、従業員の希望、業務量、法定労働時間、有給休暇取得状況などを考慮して勤務表を作成する必要があります。

特に、急な欠勤、人員不足、繁忙日の偏り、有給休暇取得などが発生すると、管理者の負担は大きくなります。

 

解消法

  • シフト作成ソフトの導入
  • シフト作成ルールの明確化
  • 希望休申請期限の設定
  • 多能工化(複数業務を担当できる人材育成)

 

 

② 人件費が不安定になりやすい

シフトが多く入れば賃金が増え、少なければ減るため、人件費の予測が難しくなります。

また、繁忙日に人員を厚く配置しすぎると、人件費が予算を超過することがあります。

 

解消法

  • 月間の人件費予算を設定する
  • 必要人員数をデータ化する
  • 業務量予測に基づいてシフトを作成する

経験や勘だけでなく、来店客数や受注件数などの実績データを活用することが有効です。

 

 

③ 従業員の生活設計が難しくなる

勤務日や勤務時間が毎月変わる場合、従業員は家庭・副業・治療・学業などと両立できる予定が立てにくくなります。

そのため、不満や離職につながることがあります。

 

解消法

  • シフトを早めに公表する
  • 固定曜日勤務を一部取り入れる
  • シフト希望を十分に聴取する
  • 勤務パターンをできるだけ固定化する

従業員の予見可能性を高めることが重要です。

 

 

④ シフトをめぐる労使トラブルが発生しやすい

例えば、希望どおりにシフトが入らない、急にシフトを削られた、急な出勤命令があるなどの不満からトラブルになることがあります。

また、短時間労働者については、雇入れ時に労働条件通知書によって労働日数や労働時間の基本的な考え方を明示していなければ、法的問題に発展する場合があります。

 

解消法

  • 労働条件通知書や雇用契約書に勤務条件を明示する
  • シフト変更ルールを定める
  • シフト決定手順を周知する
  • 労使間のコミュニケーションを強化する

特に「会社が自由にシフトを増減できる」と考えるのは危険です。

 

 

⑤ 人材確保が難しくなる場合がある

求職者の中には、土日休み希望、固定勤務希望、夜勤不可などの希望を持つ人も多いため、完全シフト制は応募者を限定する場合があります。

 

解消法

  • 固定シフト枠を設ける
  • 曜日限定勤務を認める
  • 短時間勤務制度を導入する
  • 勤務パターンの選択肢を増やす

柔軟な働き方を用意することで応募者層を広げられます。

 

 

⑥ 法令違反のリスクがある

シフト管理がずさんになると、長時間労働、休憩の不足、時間外割増不払、法定休日の確保不足などの問題が発生します。

また、医療・介護・宿泊業などでは夜勤者の健康管理にも注意が必要です。

 

解消法

  • 勤怠管理システムを導入する
  • シフト作成時に法令チェックを行う
  • 管理職への労務管理教育を実施する
  • 定期的に勤務実績を監査する

 

 

実務の視点から

シフト制は、業務量に応じて必要な人員を配置できるため、人件費の効率化やサービス向上につながる有効な制度です。しかし、その反面、シフト作成負担の増加、人件費管理の難しさ、従業員の不満や離職、労使トラブル、法令違反リスクなどの課題があります。

これらの不都合を軽減するためには、「シフト作成ルールの明確化」「雇用契約における労働条件の明示」「シフトの早期確定」「多能工化の推進」「勤怠管理システムの活用」が重要です。

特に近年は、人材確保の観点からも、会社の都合だけでシフトを組むのではなく、従業員の希望や生活との両立を考慮した運用が求められています。シフト制を成功させるためには、労務管理の適正化と従業員満足度のバランスを取ることが重要といえるでしょう。

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