2026/10/07|1,331文字
会社が応募者の職歴に「空白期間(ブランク)」がある場合、その理由を確認することには一定の意味があります。ただし、応募者のプライバシーや人権に関わるため、法的な制限があります。
1 会社が空白期間を確認する意味
会社が職歴の空白期間を確認する主な目的は、応募者の適性や職務遂行能力を判断するためです。
例えば、次のような内容であれば、正当な理由として評価される場合もあります。
・病気やケガの療養
・家族の介護
・育児
・資格取得の勉強
・留学
・転職活動
・起業やフリーランス活動
一方で、次のようなことを確認したいという場合もあります。
・すぐに退職を繰り返していないか
・継続的に勤務できる状態か
・履歴書の記載に虚偽がないか
つまり、空白期間そのものが問題なのではなく、「その期間をどのように過ごしていたのか」を知りたいのです。
2 応募者は必ず答えなければならないのか
会社には採用の自由がありますので、業務との関連性がある範囲では、質問すること自体は原則として認められます。
そのため、「2025年4月から2026年3月までの期間は何をされていましたか」と尋ねることは通常問題ありません。
また、応募者が重要な事実について故意に虚偽説明をした場合には、採用後に問題になることもあります。
3 会社はどこまで聞くことが許されるのか
厚生労働省は、採用選考では応募者の基本的人権を尊重し、公正な採用選考を行うよう求めています。
そのため、空白期間の理由を確認する場合でも、職務との関連性を超えて私生活に立ち入ることは適切ではありません。
例えば、応募者から説明があった場合、さらに詳しく具体的な内容などを執拗に尋ねることは問題となる可能性があります。
・病気療養のため休職していたという説明に対して病名を尋ねる。
・家族の介護をしていたという説明に対して家族の病名を尋ねる。
・子育てに専念していたという説明に対して家族の生活状況を尋ねる。
4 会社が調査を行うことはできるのか
◯前職調査
応募者本人の同意を得て前職に照会することは可能です。
しかし、本人に無断で前職の会社へ連絡し、勤務状況や退職理由を調査することは、個人情報保護やプライバシーの観点からトラブルになることがあります。
そのため、実務上は応募者の同意を取ってから行うのが一般的です。
◯SNS調査
公開されているSNSを見ること自体は直ちに違法ではありません。
しかし、思想信条、宗教、労働組合活動、政治活動、家族関係など、採用の判断に不適切な情報を収集し、それを理由に不採用とすると問題になる可能性があります。
◯身元調査会社の利用
かつては身元調査が行われることもありましたが、現在では非常に慎重な対応が求められています。
特に、本籍地、出身地、家族構成、住宅状況、宗教、支持政党、などを調査することは、公正採用選考の観点から不適切とされています。
5 会社として望ましい対応
会社は空白期間を「疑うため」に確認するのではなく、「仕事への適性を判断するため」に確認することが重要です。
例えば、「この期間について差し支えない範囲で教えてください」 「現在の就労には支障ありませんか」という形で確認し、業務との関連がある事項に限定して評価するのが望ましいでしょう。