2026/09/13|1,060文字
上司が部下のメンタルヘルス不調を、完全に見抜くことはできません。しかし、早期の“気づき”につながる兆候を把握し、組織として仕組みで補うことで、見逃しを大幅に減らすことは可能です。
1上司が「見抜けない」のは当然である(前提)
メンタル不調は、次のような特徴があり、外からは分かりにくいものです。
・内面的な症状(不安、抑うつ、意欲低下)
・本人が隠そうとする傾向
・日によって波がある
・業務能力の低下が徐々に進む
さらに、厚生労働省の調査でも、次のような理由で症状を隠す傾向が強いことが示されています。
・本人が「周囲に知られたくない」
・「迷惑をかけたくない」
・「評価が下がるのが怖い」
したがって、上司が見抜けなかった=上司の責任ということにはなりません。
2それでも上司が気づきやすい「行動の変化」は存在する
上司が医学的診断をする必要はありません。
見るべきは「行動の変化」です。
- 業務面の変化
・ミスが増える
・作業スピードが落ちる
・判断が遅くなる
・報連相が減る
・遅刻・欠勤・早退が増える
- 態度・言動の変化
・表情が乏しい
・イライラしやすい
・ため息が増える
・会話が減る
・周囲とのトラブルが増える
- 生活リズムの変化
・朝起きられない
・体調不良の訴えが増える
・食欲・睡眠の乱れを口にする
これらは医学的知識がなくても気づける「観察ポイント」です。
3上司が“見抜く”のではなく、組織が“気づける仕組み”を作るべき
個人の能力に依存すると、どうしても見逃しが起こります。
企業としては、次のような仕組みで補うことが重要です。
①定期的な1on1面談
月1回でもよいので、業務以外の話題(睡眠・負荷感・困りごと)を聞く場を設ける。
②業務量・残業時間の見える化
「忙しすぎて気づけなかった」を防ぐため、数値で把握する。
③上司向けのメンタルヘルス研修
次のようなことを短時間で学べる研修を年1回実施します。
・兆候の見方
・声かけの方法
・産業医・人事への連携方法
④相談窓口の周知
上司に言いづらい場合でも、産業医、人事、外部相談窓口にアクセスできるようにする。
4上司が取るべき対応(企業に伝えるべきポイント)
上司は「診断」ではなく「観察」と「声かけ」が役割です。
①事実ベースで声をかける
「最近ミスが増えているように見えるけれど、何か困っていることはありますか」
「以前より元気がないように感じるけれど、体調はどうですか」
②評価と切り離して話す
「責めるためではなく、サポートのために聞いています」と明確に伝える。
③産業医・人事につなぐ
上司が抱え込まず、専門家につなぐことが最も重要です。