2026/09/10|1,316文字
流行は、会社の就業規則に、法的義務として影響するわけではありません。しかし、社会の流れ・働き方のトレンドが変わることで、結果的に就業規則の見直しが必要になるケースは非常に多いです。
つまり、流行は就業規則を変えるきっかけになり得るのです。
1.流行が就業規則に影響する3つのルート
流行といっても、単なるファッションやブームではなく、社会全体の働き方の変化を指します。これらは就業規則に次のような形で影響します。
①社会的な流行→法改正→就業規則の変更
社会で広く求められる働き方が広がると、国が法律を変えることがあります。
・テレワークの普及→労働時間管理の見直し
・ハラスメント防止の意識向上→パワハラ防止措置の義務化
・育児・介護との両立ニーズ増加→育児・介護休業法の改正
こうした法改正が起きると、会社は就業規則を必ず見直さなければなりません。
(法改正への対応が遅れると、コンプライアンス違反になります。)
②社会の流行→従業員の価値観の変化→就業規則の見直し
法律が変わらなくても、従業員の働き方の希望が変わることで、就業規則の改定が必要になることがあります。
・副業・兼業が一般化→副業規程の整備
・テレワーク希望者の増加→在宅勤務規程の追加
・ワークライフバランス重視→時差出勤・短時間勤務制度の導入
・メンタルヘルス重視→休職制度の見直し
従業員のニーズに合わせて制度を整えることは、採用力や定着率の向上にもつながります。
③技術の流行→業務の変化→就業規則の見直し
技術の進歩も就業規則に影響します。
・チャットツールの普及→勤務時間外の連絡ルールを明確化
・AIツールの導入→情報管理・機密保持の規程強化
・クラウド勤怠管理→時間管理の方法を規程に反映
デジタル化が進むほど、従来の就業規則では対応できない場面が増えます。
2.実際に「流行」が就業規則を変えた代表例
ここでは、近年の流行がどのように就業規則に影響したかを具体的に示します。
- テレワークの流行
コロナ禍をきっかけにテレワークが急速に普及しました。
その結果、多くの企業が以下の規程を新設しました。
・在宅勤務の対象者
・勤務時間の把握方法
・連絡手段
・費用負担(通信費・備品)
・情報セキュリティルール
- 副業・兼業の流行
政府が副業を推進したこともあり、副業規程を整備する企業が増加。
・副業の許可制か届出制か
・競業避止義務
・労働時間通算の扱い
・健康管理の方法
- ハラスメント防止の流行(社会的要請でもある)
SNSの普及でハラスメント問題が可視化され、社会的関心が高まりました。
その結果、パワハラ防止措置が法的義務となり、就業規則にも明記が必要になりました。
3.流行に合わせて就業規則を変えないと起きる問題
流行を無視して就業規則を放置すると、次のようなリスクが生じます。
①法令違反になる
法改正に追随しない就業規則は、コンプライアンス違反となり、是正勧告や罰則の対象になります。
②実態と規程がズレてトラブルが増える
「規程ではこう書いてあるが、現場では違う運用をしている」という状態は、労使トラブルの原因になります。
③従業員の不満・離職につながる
時代に合わない古い規程は、従業員の不信感を招きます。
採用にも悪影響が出ます。