就業規則はなぜあるのか?

2026/08/28|1,361文字

 

就業規則は「会社と従業員が安心して働くための共通ルール」を明確にするために存在し、労働基準法が作成・届出を義務付けているのは、そのルールが法律に適合し、従業員の保護と職場秩序の維持を確実にするためです。

 

1就業規則は何のためにあるのか

就業規則は、簡単に言えば「職場のルールブック」です。

会社と従業員の双方が、働くうえで必要なルールを共通認識として持つために作られます。

 

(1)働くルールを明確にする

就業規則には、始業・終業時刻、休憩・休日、給与の計算方法・支払方法、有給休暇の取り方、退職・解雇のルール、服務規律(守るべきマナーや禁止行為)、懲戒処分の種類と基準など、「働くうえで必ず必要になること」が書かれています。

これらを明文化することで、「知らなかった」「聞いていない」というトラブルを防ぎます。

 

(2)従業員を公平に扱うため

ルールが書面で統一されていないと、部署や上司によって扱いが変わり、不公平感が生まれます。

就業規則は、全員に同じ基準を適用するための仕組みです。

 

(3)会社を守るため

懲戒処分や解雇など、厳しい判断をする場合、就業規則に根拠がなければ裁判で会社が負ける可能性があります。

判例でも、懲戒規定がない会社は懲戒処分ができないとされています。

つまり、就業規則は従業員のためだけでなく、会社のリスク管理にも不可欠です。

 

2労働基準法が就業規則を義務付けている理由

労働基準法は、常時10人以上の従業員を雇う会社に就業規則の作成・届出を義務付けています(労働基準法第89条)。

その理由は大きく3つあります。

 

(1)労働条件を「最低基準」以上に保つため

労働基準法などの労働法は、労働者を守るための最低ラインを定めています。

1日8時間・週40時間以内の労働、年次有給休暇の最低付与日数、割増賃金の最低割増率、最低賃金など。

就業規則がなければ、会社がこの最低基準を守っているか確認できません。

そのため、法律は「必ず書面でルールを作りなさい」と義務付けています。

 

(2)多数の従業員を公平に扱うため

判例(秋北バス事件)では、次のように説明されています

近代企業では、労働条件は個別交渉ではなく、会社が統一的に決める必要がある。そのため、就業規則は社会的規範としての性質を持ち、合理的な内容であれば法的拘束力を持つ。

つまり、多くの従業員を雇う会社では、個別に契約内容を決めるのは現実的ではないため、統一ルールが必要という考え方です。

 

(3)会社が不合理なルールを作らないよう監督するため

就業規則は会社が作るものですが、内容が法律に反してはいけません(労働基準法第92条)。

そのため、法律は次の仕組みを設けています。

・労働者代表の意見を聞く義務(労働基準法第90条)

・労働基準監督署への届出義務(労働基準法第89条)

・従業員への周知義務(労働基準法第106条)

これにより、会社が勝手に従業員に不利なルールを作ることを防ぐ仕組みになっています。

 

3就業規則があることで得られるメリット

 

  • 従業員側

・ルールが明確で安心

・不当な扱いを受けにくい

・休暇や給与の仕組みが分かりやすい

 

  • 会社側

・労務トラブルの予防

・懲戒・解雇などの判断の根拠が明確

・労働基準法違反のリスクを回避

・組織運営が安定する

 

就業規則は、会社と従業員の双方を守る「安全装置」といえます。

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