昼休みの接客

2026/07/11|979文字

 

昼休み中の接客や電話対応が労働時間に当たるか、また会社に賃金支払義務が生じるかについて、労働基準法・行政解釈・裁判例を踏まえて整理します。

 

1.労働時間と休憩時間の基本

労働時間とは、判例上「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」とされます(最一小判平12.3.9)。

一方、労働基準法第34条が定める休憩時間とは、単に作業をしていない時間ではなく、「労働から離れることが保障され、自由に利用できる時間」です(昭和22年基発17号、最一小判平14.2.28)。

法定の休憩を与えない場合は違法となり、罰則の対象になります(労働基準法第119条)。

 

2.昼休み中の電話・来客対応の扱い

行政解釈では、休憩時間中に電話番や来客対応をさせている場合、その対応をした時間は労働時間とされています(昭和23年基収1196号、昭和63年基発150号、平成11年基発168号)。

したがって、実際に対応した分については賃金支払義務があります。

 

3.休憩時間に外出制限がある場合

問題となるのは、電話対応のために外出を制限している場合、休憩時間全体が労働時間になるかどうかです。

 

(1)京都銀行事件の判断

京都銀行事件(大阪高判平13.6.28)では、昼休み中の外出は「行き先を届け出て承認された場合のみ可能」としていたのが、顧客対応の便宜のためであったという状況で、「休憩中に労務提供義務を課していたとはいえない」と判断されました。

また、実際に電話対応があったとしても、「60分間の自由利用が保障されていなかったとはいえない」とされ、休憩時間性は否定されませんでした。

つまり、外出許可制であっても、休憩の自由利用が確保されていれば休憩時間として認められるという考え方です。

 

(2)外出制限が強すぎる場合

一方で、電話・来客対応を目的として外出を制限する、デスクで待機するよう指示といった場合は、労働から離れることが保障されておらず、「手待時間」と評価されます。

この場合、実際に対応していない時間も含め、休憩時間全体が労働時間となる可能性が高いとされています。

 

4.判断ポイント

外出許可制が「事業場の規律保持」の範囲にとどまり、自由利用が確保されているなら休憩時間と認められます。

しかし、実質的に「電話番として待機を命じている」状態であれば、休憩時間全体が労働時間と評価される可能性があります。

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