労働契約での「期間」の法的意味

2026/07/09|1,270文字

 

1.労働契約での「期間」の法的意味

期間は「法律行為に付される時間的制限」であり、労働契約では契約の存続期間を示します。期間満了で契約は原則として終了しますが、更新や黙示の継続により存続することもあります。労働契約には無期と有期があり、労働基準法第14条では有期契約の上限期間(原則3年、専門職等は5年)が定められています。

 

2.契約終了のルール

無期契約は民法第627条により、労働者はいつでも2週間前予告で辞職できます。有期契約は期間満了が原則ですが、民法第628条により「やむを得ない事由」があれば中途解除が可能です。ただし労働契約法第17条は使用者の中途解雇をより厳しく制限しています。また、労働者については1年超の有期契約では1年経過後はいつでも辞職できる特則があります。

 

3.雇止めの制限

有期契約でも、更新が反復されるなど、更新期待に合理性がある場合には、使用者は合理的理由なく更新拒否(雇止め)ができません(労働契約法第19条)。これは判例法理を成文化したものです。

 

4.無期転換

民法第629条は、期間満了後も働き続け使用者が異議を述べない場合、従前と同一条件で更新されたと推定する旨を定めています。これが無期契約への転換を意味するかは学説上争いがあります。

さらに労働契約法第18条では、有期契約が通算5年を超えることとなる場合には、労働者に無期転換申込権が発生し、労働者からの申込があれば、使用者は承諾したものとみなされます。

 

5.試用期間か契約期間かの判断

有期契約であっても、その期間設定の趣旨が「適性評価」である場合、原則として試用期間(無期契約+解約権留保)と解される可能性があります。重要なのは「期間満了で当然終了する明確な合意」があるかどうかです。

 

  • 神戸弘陵学園事件

1年契約の教員について、期間設定の趣旨が適性評価であり、期間満了で当然終了する明確な合意がなかったとして、有期ではなく試用期間と判断されました。

これによって、形式より実質を重視する判断枠組みが確立しています。

 

  • 福原学園事件

契約書に「更新上限3年」「無期転換は学園の判断」と明記され、労働者も認識していたため、期間満了で当然終了する明確な合意があるとされ、有期契約として扱われました。

この裁判では、書面の明確性と説明が「特段の事情」として重視されています。

 

  • TBWA HAKUHODO事件

採用面談で「長めの試用期間」「来年には正社員」と説明されていたことから、1年の有期契約は試用期間と判断され、無期契約が成立したとされました。

この裁判では、採用時の説明内容が契約解釈に大きく影響しています。

 

労働契約の「期間」は、契約終了・更新・無期転換・雇止めの可否に直結する重要な要素です。特に、有期契約が本当に「期間満了で当然終了する契約」なのか、それとも「試用期間としての無期契約」なのかは、契約書の記載だけでなく、採用時の説明・当事者の認識・運用実態などを総合して判断されます。裁判例は、形式よりも実質を重視する傾向が強く、企業側の説明や書面の明確性が重要な意味を持ちます。

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