2026/07/08|1,165文字
会社が途中から一方的に「更新回数の上限」を設定したとしても、それが必ずしも労働者に当然に適用されるわけではありません。ただし、状況によっては会社の設定が有効と判断される場合もあり、個別の事情を丁寧に確認する必要があります。
- そもそも「更新回数の上限」とは
有期労働契約は、契約期間が満了するたびに「更新するかどうか」を会社と労働者が判断します。
その際、会社があらかじめ、更新する可能性、更新しない可能性、更新回数の上限などを明示することが望ましいとされています。
しかし、最初の契約時に更新上限が示されていなかったのに、途中から突然「更新はあと1回までです」などと一方的に言われると、労働者としては納得できません。
- 途中からの「更新上限の設定」は有効なのか
1.労働者がその変更を「合意」したか
労働契約は、基本的に会社と労働者の合意で成り立ちます。したがって、労働者が同意していない、説明が不十分、変更によって労働者に不利益が生じるといった場合、会社が一方的に更新上限を設定しても、必ずしも有効とはいえません。
2.就業規則の変更で一方的に適用できるのか
会社が就業規則を変更し、その中に「更新回数の上限」を書き込んだ場合でも、労働者に不利益が大きい、変更の必要性が弱い、説明や周知が不十分といった場合には、その変更が労働者に当然に適用されるとは限りません。
裁判例でも、「更新上限を途中から設定したが、合理性がなく無効」と判断されたケースがあります。
3.こんなことなら最初から入社しなかった
労働者にとって、契約更新の見通しは生活の安定に直結する重要な情報です。
本来、会社は採用時に更新の有無、更新基準、更新上限の有無を明確に説明する義務があります。途中から不利益な条件を追加することは、労働者の信頼を損なう行為であり、適切とはいえません。
- 実務的にどう対応すべきか
次の点を確認することが大切です。
・最初の契約書に「更新上限」や「更新基準」が書かれていたか
・途中で就業規則が変更されたのか
・その際、説明や周知はあったか
・労働者として同意した覚えがあるか
・実際の運用として、これまで更新を繰り返してきたか
これらによって、会社の主張が妥当かどうかが変わります。
- 労働者として取り得る選択肢
状況に応じて、次のような対応が考えられます。
・会社に「なぜ途中から更新上限を設定したのか」説明を求める
(今まで口頭でも説明が無かったのに、更新上限の「表示」が義務付けられたからというのは理由になりません。)
・契約書や就業規則の内容を確認する
・労働基準監督署に設けられている労働局の総合労働相談コーナーで相談する
・必要に応じてあっせんや労働審判を検討する
特に、更新を繰り返して長期間働いてきた場合、会社が突然「更新はあと1回」と言うことは合理性を欠く可能性があります。