2026/07/03|1,198文字
令和7年の労働安全衛生法改正により、労働者数50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化されます(令和10年4月施行)。
■ストレスチェック制度の目的・意義
制度の目的は、メンタルヘルス不調の未然防止です。ストレスチェックにより労働者自身の気付きやセルフケアを促し、高ストレス者には医師の面接指導を提供します。また、集団分析により職場のストレス要因を把握し、環境改善につなげます。
精神疾患の発見が目的ではなく、一次予防を重視した制度です。小規模事業場では人材損失の影響が大きいため、制度の活用は経営上も重要です。
■実施義務
対象者は「常時使用する労働者」で、契約形態や国籍を問いません。派遣労働者は派遣元が実施します。受検義務はありませんが、全員の受検が望まれます。
医師の面接指導は申出があれば実施義務があり、集団分析・職場環境改善は努力義務です。
■実施準備
事業者は制度導入の方針を表明し、労働者の意見を聴取します。
その上で、実施体制・方法、情報管理、不利益取扱い防止などを定めた社内ルールを作成・周知します。
■実施体制・委託
小規模事業場では、プライバシー保護の観点から外部機関への委託が推奨されます。
事業場内には実務担当者を置き、外部機関には実施者(医師・保健師等)と実施事務従事者が配置されます。
委託先選定では、実施体制、調査方法、料金体系、情報管理、面接指導の依頼先などを確認します。
■ストレスチェックの実施
調査票は国が示す「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」の利用が推奨されます。紙・Webのいずれも可能です。
外部機関が調査票を配布・回収し、未受検者への勧奨も行います。
結果は実施者から本人へ直接通知され、事業者は個人結果を原則取得しません。
■面接指導・事後措置
高ストレス者には面接指導の申出を勧奨します。申出は事業者または外部機関経由で行えます。
面接指導は就業時間内に実施し、医師には必要な情報(労働時間、業務内容、健康診断結果等)を提供します。
医師の意見を踏まえ、必要な就業上の措置(労働時間の調整、配置変更など)を講じます。
面接指導結果は5年間保存します。
■集団分析・職場環境改善
個人が特定されない形で集団分析を行い、ストレス要因を把握します。受検者10人未満の集団は分析不可です。
結果を踏まえ、業務量の調整、設備改善、コミュニケーション改善など職場環境の改善に取り組みます。
■プライバシー保護・不利益取扱い禁止
個人結果は要配慮個人情報であり、事業者は本人の同意なく取得できません。
面接指導の申出や結果を理由とした不利益取扱いは禁止されています。
制度運用においては、情報管理の徹底が求められます。
■自社実施の場合の留意点
自社で実施する場合は、健康情報を扱うため厳格な体制整備が必要です。誤配布・漏洩リスクには特に注意が必要です。
小規模事業場では外部委託が現実的で安全とされています。