2026/06/21|965文字
結論として、最低賃金を下回る賃金で働かせることは法律違反になります。
ただし、賃金の引き上げ方法や手続にはいくつかの重要ポイントがあります。
1.最低賃金は「必ず守らなければならない下限」
最低賃金は、国が「これより低い賃金で働かせてはいけない」と定めた時間単価です。
時給制だけでなく、月給制の人も、時給換算して最低賃金を下回っていないか確認する必要があります。
万一、下回ってしまうと、労働基準法違反となり罰則が適用される一方、少なくとも3年間さかのぼって不足賃金を支払うリスクがあります。
2.最低賃金を下回る場合は労働条件通知書などの変更が必要
最低賃金が上がった結果、現在の賃金がこれを下回る場合は、自動的に労働契約の内容が変更されます。
賃金を「引き上げる」変更となるので、通常は労働者の不利益にならず、同意を得る手続は不要です。
しかし、会社には労働条件を明示する義務がありますから、就業規則・労働条件通知書・雇用契約書などの変更が必要になります。
3.賃金引き上げの方法は複数ある
最低賃金を上回るようにする方法は、会社の状況に応じて選べます。
・基本給を引き上げる(最も一般的)
・手当を新設する(ただし最低賃金に算入できない手当もある)
・固定残業代の内訳を見直す(注意が必要)
特に注意しなければならないは、最低賃金に算入できない手当(通勤手当、固定残業代など)を増やしても、最低賃金を満たしたことにはならないという点です。
4.労働契約変更の実務的な流れ
実務の流れを簡単にまとめると次のとおりです。
1.最低賃金改定額を確認する
2.全従業員の賃金を時給換算してチェックする
3.下回る従業員の賃金を引き上げる案を作る
4.就業規則・雇用契約書・労働条件通知書の変更が必要か確認する
5.労働者へ説明し、変更後の賃金を通知する
6.給与システムや勤怠管理を修正する
5.実務上の注意
- 賃金を上げたくない場合はどうすればよいか?
最低賃金は「絶対に守るべき下限」なので、賃金を上げない選択肢はありません。
月給を維持しながら、労働時間を減らすなどの調整もできますが、実質的に賃金が最低賃金を下回る働かせ方はできません。
- 手当を減らして基本給を上げてもよいか?
可能ですが、次の点から慎重な対応が必要です。
・労働者の不利益変更になる
・同意が必要
・トラブルになりやすい