2026/06/19|892文字
たとえ、会社が不当な残業代カットをしていても、「残業時間の水増し」は懲戒の対象になります。
会社が残業代を正しく払っていないと感じれば、「こちらも少しくらい…」と思ってしまうのは自然なことでもあります。
しかし法律上は、会社の違法行為と、労働者の不正行為はまったく別の問題として扱われます。
会社が残業代を不当にカットしている → 会社の違法
労働者が残業時間をごまかす → 労働者の不正
これらは「お互い様」にはならないというのが法律の考え方です。
1 なぜ残業時間の水増しが重い処分になるのか
残業時間をごまかす行為は、会社から見ると次のように評価されます。
・賃金を不正に受け取ろうとした行為(給与の不正請求)
・勤怠記録の改ざんという信頼関係の破壊
・会社の管理体制を揺るがす行為
特に「お金に関わる不正」は、企業が最も重く扱う懲戒理由の一つです。
そのため、戒告、減給、出勤停止、重大な場合は懲戒解雇といった処分が科されることもあります。
2 会社の残業代カットが不当なら、別の手段で正すべき問題
会社が残業代を払わないのは、労働基準法違反です。
しかし、それを理由に労働者が不正をしてよいことにはなりません。
法律上は、「会社の違法行為を正す手段」は別に用意されていると考えます。
・労働基準監督署への相談
・タイムカードやメール記録などの証拠を基に未払残業代を請求
・労働局のあっせん制度の利用
こうした「正当な手続」で会社の問題を正すべきであり、不正で対抗すると、労働者側が不利になるだけです。
3 今後どうすればよいか(実務的なアドバイス)
① 処分内容が重すぎる場合は「処分の妥当性」を争える
懲戒処分は「重すぎると無効」になることがあります。
水増しの程度、会社の管理体制、過去の処分歴などを総合的に見て判断されます。
② 会社の残業代カットが不当なら、別途「未払い残業代」を請求できる
処分とは別に、未払残業代は3年分さかのぼって請求できます。
③ 今後は必ず「正しい手続」で問題を指摘する
不正で対抗すると、会社は「懲戒」という強いカードを使ってきます。
正当な手続で進める方が、結果的にご自身を守ることになります。